コンピュータ監視法案の廃案を強く求めます

JCA-NET理事会
2011年5月26日

衆議院法務委員会において、「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一
部を改正する法律案」(以下、「コンピュータ監視法案」と呼ぶ)が審議入りし
ました。以下で述べる理由から、本法案は、コンピュータを利用するすべての利
用者に対して、警察等捜査機関に著しく大きな監視と捜査の権限を与え、園結果
として、私たちの通信の秘密、思想信条の自由、表現の自由、プライバシーの権
利など憲法が保障している諸権利を著しく侵害するものであり、断じて認めるこ
とはできません。
(1)コンピュータ・ウィルス作成の犯罪化は、「作成」の現場への捜査当局に
よる監視を認めることとなります。捜査機関は「コンピュータ・ウィルスの作成
の疑い」を口実として、ユーザのコンピュータを監視できるということを意味し
ており、捜査機関に予防的な強制捜査の権限を与え、その結果として、ユーザの
通信の秘密を大きく侵害する危険性をもたらすものといえます。
(2)コンピュータ・ウィルスの作成罪にかぎらず、コンピュータ監視法案で
は、あらゆる犯罪捜査において、捜査機関によるコンピュータへのより自由な介
入を認めています。ユーザが利用している端末のコンピュータだけでなく、この
コンピュータを踏み台にして、一通の捜索押収令状で芋づる式に、ネットワーク
先のサーバに保管されているユーザのデータに対しても差し押さえ等が可能にな
ります。このよう捜査権限を捜査機関に与えることは、裁判所による捜査機関に
対するチェック機能を大幅に後退させ、捜査機関の独走を許すことを意味します。
(3)本法案によって、ユーザのデータや個人情報を管理しているプロバイダー
やネットワーク管理者は、通信記録を最大60日保全することを義務づけられた
り、ユーザのデータを複写して捜査機関に提供する作業をさせられるなど、捜査
機関の「手先」となることが強制されることになります。本来、プロバイダーな
どネットワーク管理者は、ユーザの通信の秘密を守り、ユーザによる自由なコ
ミュニケーション環境をサポートする責任を負うものですが、コンピュータ監視
法案では、ユーザのプライバシーよりも捜査機関への捜査協力を優先させること
が強制されます。情報流通及びコミュニケーションの担い手が捜査機関の手先と
なるような社会には思想信条、言論・表現の自由はありません。

JCA-NETは、民衆によるコミュニケーションの権利の確立と権力による監視・干
渉・検閲と闘ってきた進歩的コミュニケーション協会の日本におけるメンバー組
織として、憲法が保障する通信の秘密、思想信条の自由、言論・表現の自由な
ど、民衆の基本的人権を擁護する立場を改めて表明し、これら民衆の権利を著し
く侵害するコンピュータ監視法案を直ちに廃案とすることを強く要望するものです。

JCA-NET代表
小倉利丸
toshi@jca.apc.org

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