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JCA-NETは以下の声明に署名しました。
IGF2024のサウジアラビア開催に関する国連事務総長宛書簡
2023年10月12日(木)
アントニオ・グテーレス事務総長様
CC:
Mr. Li Junhua of China, UN Under-Secretary-General for Economic and Social Affairs
Mr. Vint Cerf, IGF Leadership Panel Chair, and Ms. Maria Ressa, Vice-Chair
Mr. Chengetai Masango, Head of Office / IGF Programme and Technology Manager
Mr. Paul Mitchell, Chair, Multistakeholder Advisory Group (MAG)
Ms. Carol Roach, Incoming Chair, MAG
私たちは、グローバル・インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)の次回年次総会をサウジアラビア政府が主催するという最終決定について憂慮を表明し、この決定を撤回し、 決定プロセスを早急にレビューするよう求めるため、グローバル、リージョナル、ローカルの市民社会組織のネットワークとして、書簡を送ります。サウジアラビアは、人権問題で深い問題を抱える国であり、次回の IGF をサウジアラビアで開催することは、市民社会が自由かつ安全に会議に参加することを事実上不可能にし、その結果、IGF の礎を形成し、チュニス・アジェンダのパラグラフ35が述べているように、「インターネットのマネジメント」にとって必須であるマルチステークホルダー・モデルの正当性を脅かすことになります。
私たちの組織は、毎年IGFの強化に尽力し、その国内、地域、そしてグローバル・フォーラムに多大な時間と希少な資源を投入しています。年次総会における市民社会の有意義な参加は、IGFのマンデートが前提とするマルチステークホルダー対話モデルを維持する上で、極めて重要な役割を果たしています。サウジアラビアで進行中の人権侵害を踏まえるとき、次回のIGFを同国で開催することは、物理的、デジタル上の安全およびセキュリティに大きなリスクをもたらすことから、市民社会が年次総会に参加する可能性を著しく損なうことになります。
サウジアラビア政府は、活動家、人権・女性の権利擁護者、ジャーナリストを黙らせ、迫害し、検閲、監視、強制失踪、超法規的殺害、拘禁、拷問を通じて市民の基本的権利を侵害してきた長い歴史があります。著名なサウジアラビア人ジャーナリストであり人権擁護者でもあるジャマル・カショギさんがサウジアラビア政府によって残忍にも殺害されてから5年、オンライン、オフラインを問わず、表現の自由に対する前代未聞の攻撃が続き、そして、ジャマールの正義はまだ確立されていません。毎年恒例のIGFの主催をサウジアラビアに授与することで、国連はSDGsの目標16.10を含め、報道の自由を守り、ジャーナリスト殺害の不処罰と闘うという表明した目標を愚弄することになります。今回の決定は暴力を常態化させ、人々が権力者に楯突かないようにするために使用される衝撃的で抑圧的な戦術を黙認しています。
最近の例は、サウジアラビアの抑圧の残酷な現実を物語っている。2023年7月10日、サウジアラビアの専門刑事裁判所は、同国の強権的な対テロ法に基づき、54歳の退職教師モハメド・アル・ガムディに対し、ソーシャルメディア上での平和的表現を理由に死刑判決を下しました。それに先立つ2022年8月9日、同裁判所は、サルマ・アル・シェハブ(34歳、2人の子どもの母親でリーズ大学の博士課程在籍者)に対し、著しく不公正な裁判の末、懲役34年の判決を下し、その後、同じ期間の渡航禁止を言い渡しました。その容疑には、サウジアラビアの良心の囚人への支持を表明した彼女のアカウントでの投稿に関して、「公序良俗を乱そうとする者を支持」し、「公序良俗を乱す」ツイートを投稿したことが含まれています。裁判所はまた、彼女のTwi
tterアカウントの閉鎖と電話番号の停止を命じました。サウジアラビアのウィキペディアボランティア2人が、同プラットフォームの情報へのアクセスを改善する活動で、不当に投獄されたままです。オサマ・ハレドは2020年7月23日にリヤドで逮捕され、2022年1月26日に禁固8年の判決を受けました。ジアド・アル・アル・スフィヤニは2020年9月26日に逮捕され、禁固5年の判決を受けましたが、現在は14年の刑となっています。
この事件は、表現の自由に対する憂慮すべき前例のない攻撃を示すものであり、市民社会が次のIGFにおいて、政府の報復、嫌がらせ、脅迫の脅威を受けることなく、これらの問題をめぐる対話にどこまで自由かつ安全に参加できるかについて、開催中も次のサイクルに移行した後も、深刻な疑問を投げかけるものである。
さらに、安全で自由で開かれたインターネットの未来は、嫌がらせや迫害を受けてきたLGBTQコミュニティや女性の人権団体を含む多様な団体の全面的な参加にかかっている。サウジアラビアは同性間の関係を非合法化し、様々なジェンダー表現を犯罪化している。また、女性の人権擁護者たちは、ハイテクを利用したジェンダーに基づく暴力、強制失踪、恣意的な拘束、拷問など、人権の行使の要求に対しする容赦ない弾圧に直面しています。私たちのコミュニティ、メンバー、スタッフは、このような状況下でサウジアラビアに住む自由も、サウジアラビアを訪問する自由もありません。
最後に、サウジアラビア政府は、自国の市民の個人情報への不正アクセスや、スパイウェアを使用して自国や亡命先のジャーナリスト、反体制派、人権擁護者を追跡・検閲するなど、自国の市民に対する広範なスパイ活動の実績があります。デジタル監視の侵襲的なレベル、国境を越えた抑圧に関する同国の計り知れない実績、オンラインおよびオフラインの市民スペースの閉鎖、そしてあらゆる形の反体制派に対する不寛容は、たとえ市民社会がオンラインを選んだとしても、同国で開催されるIGFに自由かつ安全に参加できる可能性に疑問を投げかけ、重要な会話から市民社会の声を事実上消し去ります。アフリカからの難民に対するサウジアラビアの執拗な暴力、南アジアからの移民労働者を保護しないこと、ウイグル人の引き渡しに関する中国政府との協力、そして中東・北アフリカ地域全体の出来事について発言する国民以外の人々に対する弾圧は、サウジアラビアの戦術が、IGFに参加しようとするグローバルな人権コミュニティ全体をいかにリスクにさらしているかを浮き彫りにしています。
IGFにおける市民社会の声の重要性を過小評価することはできません。例えば、私たちはIGF京都が、グローバル・デジタル・コンパクトについて広く市民社会と協議するための重要なプラットフォームを利害関係者に提供したことや、グローバル暗号化、プライバシー、そしてデータ保護に関する画期的な会話における市民社会のリーダーシップなど、名前を挙げればきりがありません。私たちは、IGFが私たちのデジタル・ガバナンスの基礎を形成する会議の中の1つでしかないことを理解しています。しかし、世界中の市民の空間に壁がたちはだかっている今、このマルチステークホルダー・スペースの完全性を守り、強化することは不可欠です。私たちは、基本的権利を求める活動家たちが無慈悲に標的にされ、黙殺され続け、抑圧的な法律が彼らの平和的表現と活動を犯罪化するために使用されるような環境では、私たちが望むインターネット、特に安全で、オープンで、セキュアで、権利を尊重するインターネットを構築することはできないと確信しています。
市民社会組織のグローバルなネットワークとして、私たちは以下のことを求めます:
- サウジアラビアにIGF年次総会のホスト国としての地位を与えず、その決定を直ちにレビューすること
- 今回の、そして今後の開催地決定のレビューに、強固で徹底した人権適正評価プロ セスを組み込むこと
- 市民社会が自由かつ安全に参加できる状況でIGFを開催することにコミットすること
- これらの公約に沿った2024年の開催地を特定するために必要な措置を講じ、リスクの高まりに直面する市民社会およびその他の関係者が有意義な関与の道を確保できるよう、場所と形式の両面において利用可能なすべての代替案を検討すること
- 強固な市民社会参加のためのセーフガードとともに、持続可能な資金調達と IGF のマンデートの更新を確保すること
サウジアラビアが、一貫した行動を通じて人権尊重の姿勢を明確に示すことは、このマルチステークホルダー・コミュニティーの信頼を得るための唯一の道であり、私たちは国連とIGFのリーダーシップに対し、そのメッセージを明確にするよう求めます。IGFのような強固で包括的な集まりを主催することは、表現の自由、結社の自由、平和的集会の自由を平和的に行使する人々に対する強制的な失踪、恣意的な拘束、報復とは相容れないものであり、検討に値するという以前に、サウジアラビア当局は、不当に拘束されている人々の無条件釈放を手始めに、緊急かつ長期的な改革を行わなければなりません。
[訳注]団体賛同を募集中。下記のサイトから署名してください。
https://www.accessnow.org/campaign/igf-reverse-saudi-arabia-host-decisi…署名団体[2023年10発13日現在]
Access Now
Africa Freedom of Information Centre (AFIC)
Agregar Asociación Trinidad/Paraguay
ALQST For Human Rights
Alternatives Canada
Associació Pangea Coordinadora Comunicació per a la Cooperació (Pangea)
Association of Progressive Communications (APC)
ARTICLE 19
The Calyx Institute
Center for Media Studies and Peacebuilding (CEMESP-Liberia)
Coalizão Direitos na Rede
Collaboration on International ICT Policy for East and Southern Africa (CIPESA)
Common Cause Zambia
Cooperativa Sulá Batsú
Derechos Digitales
Digital Action
Digital Empowerment Foundation
DiraCom – Direito à Comunicação e Democracia
Electronic Frontier Foundation (EFF)
Epicenter.works – for digital rights
European Center for Not-for-Profit Law (ECNL)
European Saudi Organization for Human Rights (ESOHR)
FairSquare
Fission Internet Software Services for Open Networks Inc.
Foundation for Media Alternatives (FMA)
The Freedom Initiative
Fundación Karisma
Hermes Center
Hiperderecho
Human Rights Online Philippines (HRonlinePH)
Global Digital Inclusion Partnership (GDIP)
Global Forum for Media Development (GFMD)
Global Voices
GreenNet
IFEX
IRPC
INSM Foundation for Digital Rights
Instituto Nupef, Brazil
International Press Centre (IPC)
InternetBolivia.org Foundation
JCA-NET(Japan)
Kandoo
KICTANet
LaLibre.net Tecnologías Comunitarias
Legal Resources Centre
Manushya Foundation
Measurement Lab
Open Observatory of Network Interference (OONI)
Paradigm Initiative
PEN America
Pollicy
Privacy International
Project on Middle East Democracy (POMED)
Red en Defensa de los Derechos Digitales (R3D)
Red Line for Gulf
Rudi International
Sarvodaya Fusion – Sri Lanka
SMEX
Southeast Asia Freedom of Expression Network (SAFEnet)
Tech4Peace
TEDIC – Paraguay
The Tor Project
Unwanted Witness
VOICE
Women of Uganda Network(WOUGNET)
Zaina Foundation – Tanzania