文際学園の不当労働行為 高裁判決より
なにわユニオンは今回の控訴審において、再雇用、財務諸表とも補助参加人として訴訟に参加した。
再雇用 義務的団交事項で検索すると、すぐに次の大阪府労働委員会の命令が出てくる。
今回の訴訟の元になった大阪府労働委員会命令
⇒ http://www.pref.osaka.lg.jp/rodoi/meirei/2757.html
労働条件が組合との義務的団交事項であるということは自明だが、文際学園は「定年時再雇用の労働条件に限り、組合との協議事項ではない」という主張を団体交渉で繰り返していた。
文際学園は、その根拠を聞く組合に対して、次のように答えた。
「弁護士や社労士に相談し、そのように考えている」と。
かつて検索した社労士のホームページには、「再雇用の労働条件は、一旦退職して新たに雇用するので、新入社員と同じ」という誤ったことを書いていたページもあった。
今検索しても、このようなページは出てこない。
そのページを参照して文際学園が言っていたのであれば、今回の高裁判決で明確に「定年後再雇用の労働条件は義務的団交事項に他ならず、文際学園の行為は労組法7条2号の不当労働行為に当たる」とその控訴を棄却されたのであるから、明確な組合への謝罪と過去の清算としての損害賠償が必要である。
その上で未来についての「二度と繰り返さない」という謝罪文(2018年9月18日付)の内容を労働協約として現実化していくことが必然である。
今後そのための団体交渉を組合は文際学園(伊勢洋治理事長)と行っていく。
訴訟費用の支払いは全て文際学園であるから、組合の完全勝利である。
そして、
財務諸表 合同労組 と検索すると次の大阪府労働委員会命令が出てくる
⇒ http://www.pref.osaka.lg.jp/rodoi/meirei/2649.html
高裁判決では、更に大阪府労働委員会命令での組合の主張が認められた。
その勝利度合いは訴訟費用の分割の度合いでわかる。
文際学園 4/5 大阪府労働委員会 1/5
であるから、大阪府労働委員会が勝利した。
さて
大阪高裁の示した判決では、以下の不当労働行為が認められた。
争点1
2013年(平成25年)8月28日付け団交申し入れに対する学園の団交拒否(労組法7条2号)
争点2
2013年9月4日付けの文際学園の組合に対する対応(回答)は、本件組合らを弱体化させるための支配介入の不当労働行為(労組法7条3号)
2014年(平成26年)2月20日付けの対応(回答)は財産目録等の開示を要求する本件組合らに対し、誠実に対応する意思がないことを示した(労組法7条2号)
争点3
文際学園の財産目録等の閲覧制度の説明は義務的団交事項に当たる。
争点4
2014年(平成26年)3月27日付け及び同年4月9日付け及び同ね5月21日付け団交申し入れに応じなかったことは、労働法7条2号(団交拒否)
争点5
補助参加人(なにわユニオン)と事前協議を行うことなく、昇給を行ったこと及び事前協議を行うことなく、「仮」の文字を記載しない給与明細を交付したこと
労組法7条3号(支配介入)
争点7
2014年(平成26年)7月10日開催の団体交渉における文際学園の対応は、合理的な理由を説明することなく財産目録等の閲覧および提出を拒んだことは不誠実団交(労組法7条2号及び3号)
争点8
文際学園が財産目録等の閲覧に当たり、条件を付していることは本件組合らの活動を妨害し、本件組合らを弱体化させる支配介入と言うべき(労組法7条3号)
このような不当労働行為のオンパレードという状況の中で、文際学園はどのように組合に謝罪し、社会的な責任を果たすのか。
補助参加人として訴訟に参加して本当に良かったと考えている。
結局今回の訴訟の主役はユニオンであり、その影響をまともに受けるのもユニオンである。
今後は組合と文際学園(伊勢理事長)との解決に向けた闘いである。