仰天!武蔵野市『民主主義』周遊記(その13)

借金火達磨・巨大政治犯罪都市

舌っ足らずの選挙争点「塩漬け用地」で各派を採点

1999.3.26

 前回で一応、武蔵野市「左ギッチョンチョン」箱庭紛争の現代史を駆け足で終了とし、再び、本連載の主眼、「副題:借金火達磨・巨大政治犯罪都市」の具体的な現れ、「塩漬け用地」問題に戻る。

 まずは、全国的な状況を見ると、日本経済新聞(1999.3.19)社会面に、つぎの記事が載った。

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3セクの未利用地/全国で情報公開請求

市民オンブズマン『塩潰け』実態解明へ

 全国の市民オンブズマン62団体が参加する全国市民オンブズマン連絡会議は18日、自治体の第3セクターが事業予定地として購入したまま長期間末利用になっている「塩漬け用地」の実態を明らかにするため、全国一斉に情報公開請求すると発表した。既に一部地域で請求を始めており7月末に結果を公表する。

 情報公開請求は都道府県と政令指定都市に加え、主要都市の自治体を対象に実施。士地開発公社が保有する土地の所在地や利用目的、取得価格などの公開を求める。

 7月末に横浜市で聞く市民オンブズマンの全国大会で公開度ランキングを公表する。

 同連絡会議の調べによると、全国に1596の土地開発公社があり、97年度末で約3万4500ヘクタールの土地を保有。簿価ベースで約9兆1040憶円の士地を抱えているという。

「塩漬け用地」は土地の値上がりを見越し先行取得したものの、使い道が決まらないまま放置されている土地。財政難の自治体にとって金利負担や過剰な支出が問題になっている。

 97年度から市民オンブズマンが情報公開に取り組んでいる川崎市では、市が「塩漬け用地」対策を提示。情報公開を機に全国の自治体にも早期処理の動きが広がる可能性がある。

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 この記事で見る限りではのことだが、この「全国市民オンブズマン連絡会議」の見解と方針には、不十分なところが、いくつかある。

 まずは、根本的な問題で、「自治体の第3セクターが事業予定地としで購入したまま長期間末利用になっている『塩漬け用地』の実態」と、「公開を求める」対象の「士地開発公社が保有する土地の所在地や利用目的、取得価格など」とが、同じ意味なのか。それらの土地が、「事業予定地としで購入した」ものなのか、「土地の値上がりを見越し先行取得したもの」なのか、などである。

 私は、少なくとも武蔵野市土地開発公社に関する限り、土地バブルの頂点における膨大な土地取得は、その半分以上をすでに市が買い戻しており、現在の「土地開発公社が保有する土地」の調査だけでは不十分、片手落ちだと主張している。すでに自治体が買い戻しながら「塩漬け」状態の土地も調査すべきである。また事実、武蔵野市の「塩漬け用地」の大部分は「事業予定地」とは言えない。目的を定めることができぬままに「代替用地」「諸用地」などの名目で購入している。しかも、不動産業界では何時暴落するかと危惧されていた時期から、誰の目にも暴落が始まっていた時期に掛けての土地取得を、「土地の値上がりを見越し先行取得したもの」などというのは、いかな土屋市長でさえも口に出せない強弁である。事実は、慌てふためいた銀行救済の「失政」でしかなかったのだ。

 以上と、その他の問題点について、上記の全国市民オンブズマン連絡会議に参加し、上記の記事の「川崎市」の実例を調査した旧知の「情報公開法を求める市民運動」事務局長、奥津茂樹に電話で質したところ、「書いた新聞記者の理解ではないか」という返事だった。一応、日経の社会部にも電話をして、すでにわがホームページによる記事作成をしたこともある同紙地方部とも相談の上で、もっと正確な調査報道をするように依頼した。

 さて、本連載既報、武蔵野市「左ギッチョンチョン」箱庭紛争の現代史の幕間に報じた予算本会議での「殿乱心!」の場面でも、市民の党所属の市議会議員、山本ひとみの媛が、これまでよりもさらに、わがホームページ記事の主張に近寄った意見を述べていたのである。

 山本ひとみの媛は、「武蔵野市の財政悪化を招いた最大の原因は土地開発公社による無謀な土地買いであったことは明らか」とし、つぎのように追及したのである。

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「[前略]

 市長は、バブルがはじけ、地価が暴落することが確実になっていた1990年に125億円、1991年に236億円もの土地を購入しました。1990年3月に不動産融資の総量規制が行われ、その後、地価は、急速に下落し、今や、1990年の3分の1以下となっています。

 1990年度には8億円、1991年度には10億8300万円もの利子を銀行に支払っています。

 こうした土地買いの結果、武蔵野市の土地開発公社は、190億円もの保有土地を抱え、予算との比較では36%に達しており、区画整理など特別な事業を抱える市を除き、東京都内で最も土地保有率の高い街になっています。[中略]

 この背景には、1987年ごろから、銀行やゼネコン業界の意向を受け、自治省がしきりに土地開発公社による公共用地の先行取得を推進していたことがあります。その結果、地方自治体は不要不急の土地を抱え込み、『塩漬け用地』が全国の自治体財政を圧迫することとなりました。土屋市長も、こうした国の要請に従い、しかも、井口道路(本連載既報)に見られるように、疑惑を持たれてもやむ得ないことも数多くあります。

 市長は、無謀な土地買いによって市の財政に多大な損害を与えたことを深く反省すべきです。

[後略]」

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 以上の質問演説の要所、要所では、私を始めとする市民有志の傍聴者から「そうだ!」「その通り!」などと短く鋭い「播磨屋!」型激励の言葉が掛けられたのは、言うまでもないことであった。実は、私の脳裏の観察記録によると、以上の内の「自治省云々」のくだりでは、いつもは無理にでもニヤニヤしてみせる「殿」こと土屋正忠の彦の顔が青ざめ、引きつったのである。彼は、以上のような主張を、かなり前から私がしているのを十分承知の上で、既報のような「よくする会」桜井国俊の彦らの弱腰を見抜いては、様々なごまかし方を研究してきたのだから、当然、ギョッとならざるを得ないのである。

 さらに続いて、我が家の郵便ポストには、一部既報の『民主』(1999.2.20.)号外が入っていた。発行元は「民主党広報委員会/東京都千代田区永田町1-1-1」である。

「財政政策特集号」と題し、「武蔵野発/財政改革!!/借金のない自治体」とある。

[裏面の一部]を、ああ、いやいやながらも、ついに習得してしまったスキャナーというカタカナ語だけに実に嫌な怠け者向きの、ずるがしこい手法により、以下に紹介する。

 曰く、

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武蔵野市の借金はどのくらいあるか知っていますか?!

 武蔵野市は長年“豊かな武蔵野の街”として知られてきました。しかし、今の武蔵野市はどうでしょうか。市債借入残高はなんと300億円を超えているのです。これは市民1人あたり約24万円、4人家族で約100万円の借金をしていることに値します。これだけで驚いてはいけません。市は今後、武蔵野市土地開発公社が購入した土地を買い取らなければならないのです。公社は銀行から250億円近い長期借入をしており、その利子数億円は市が毎年払うことになっているのです。

土地開発公社とは何?!

 土地開発公社とは市に代わって土地の購入を行っている外郭団体で、公社が購入した土地は今後市が買い取らなければなりません。その金額は数百億円と膨大なものですが、土地購人の詳細は市民に知らされておらず、正確には今後市がいくら払わなければならないかわからない仕組みになっています。市民にわかりやすい、もっと透明な市政を実現しましょう。

私たちの税金は有効に使われているの?!
例えば……
農水省食糧倉庫跡地

 武蔵野市は昨年約60億円を出して武蔵境駅南口駅前の農水省倉庫跡地を購人しました。財政が危機的状況にあり、しかも、これから更に地価が下がるかもしれないこの時期に、なぜ市は巨額な資金を投入してこの土地を購入しなければならないのでしょうか。国有財産法によると、国有財産は無償貸付や減額売却できる仕組みがあります。市はこの制度を利用しないでこの土地を購人しましたが、この点に関して市民が納得できる説明をするべきです。全く市民の感覚とかけ離れたことが行われでいます。

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 こうなってくると、「よくする会」の「武蔵野市内だけに限定する愚民政策」、または「保守票欲しさの」右顧左眄型の土地政策も、両側から挟まれて、少しは全国情勢を取り入れざるを得ないのではなかろうか。はたまた、「土地問題では市長の与党」とまで言われている日本共産党も、少しは考え直さざるを得ないのではなかろうか。それとも、誇り(埃)だけは高い彦および媛の各々方は、あくまでも「這っても黒豆」の意地を張り続ける気なのか、「下手の大連れ」をまとめ切れずに青島都知事の臨海副都心開発型の、ズルズル成り行き任せに堕するのか、はたまた、「沽券」町奴と「前進座」女将との、道成らぬ恋の清算の道行きとなるのか。ああ、空しい、空しい。

 なお、わがホームページ情報に関しては、エセ紳士こと朝日新聞とは違って、出典を明記すれば無料使用許可と宣言しているが、「塩漬け用地」を政党が利用する場合に限り出典を明示しなくてもいいと伝えてある。当方も、「ほら、また利用している」などとmailで自慢したりはしない。密かに楽しむことにしている。ただし、「よくする会」に関してのみは、前回に要約説明した「統一テーブル」とやらのイカサマ設定についての反省と謝罪が不十分なので、弁護士でもある事務局長、高木一彦の彦に「著作権違反は許さない」と通告し、「了解しました」というFAX(1998.9.7)を受けとっている。この「著作権違反」の経過は、後に詳しく記す。

以上で(その13)終り。(その14)に続く。


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