仰天!武蔵野市『民主主義』周遊記(その20)

借金火達磨・巨大政治犯罪都市

大手メディアの土地開発公社報道漸進状況

1999.9.17 1999.9.13.mail再録。

『武蔵野市民オンブズ』の木村愛二です。

 「マン」反対の声を配慮し、「パースン」はますます字数が増えるので、「オンブズ」に解消、快勝、快笑、いや、改称しました。

 このところ、別件のユーゴ戦争報道批判に掛り切りで、web週刊誌の連載、「仰天!武蔵野市『民主主義』周遊記」も休載のやむなきに至っていますが、その間、わがHP検索による大手メディア報道が続き、土地開発公社問題という地味なテーマが、少しづつ俗世間の話題にも浮上し始めました。朝日新聞と日本テレビの記者は、わが応接間こと三鷹駅前喫茶店まで、会いにきました。ただし、いかにも大手メディアらしく、コーヒー代を支払うだけなのですが、それでも、いわゆる「横並び報道」の状況下ながら、ジリジリと、自治省の責任、政府の財界奉仕の姿勢を問う論調が出始めました。

 以下に紹介するのは、現在、わが家で唯一宅配購読している新聞の記事ですが、「公社の存続を巡る論議が避けられなくなりそうだ」とする点など、また新しい前進、いや、漸進程度の新局面を見せています。

 もともと、私が気が付いたのも非常に遅れているのですが、それでも、及ばずながら土地開発公社の「逆さ利用」を指摘し、公社の設立根拠となっている公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)は、土地の値段の上昇を前提としているのですから、即刻廃止すべきであると主張し始めたのは、すでに3年半以上も前のことなのです。しかも、それを明記した紙印刷個人メディア、『フリージャーナル』30号(1999.1.23)は、地元の武蔵野市役所に、かの世界に冠たる大日本帝国以来の旧態依然たる「記者クラブ」様々に所属する大手メディアのすべてに、渡っているのだからです。あああ、とてもとても、疲れますね!

 漢数字をアラビア数字、そして恐怖の、または、より恐るべきは、危機管理を口実とする権力の動きも噂されるY2K問題にも鑑み、九七年度を1997年度などに変更しました。なお、ここでのY2K問題は軽い冗談ですが、Y2K問題発祥の地、本家のアメリカでは、ABCラディオのポール・ハーヴェイ・ニューズ・コメンタリーによると、ウォール・ストリート・ジャーナルがインターネットで1万人にアンケートした結果、60%が、政府とマイクロ・ソフトの共謀(conspiracy)を考えている(thinking)そうです。日本でも、大いに疑いましょう。


『日本経済新聞』(1999.9.6)

土地開発公社負債/総額4兆円超す
本社調査/自治体本体の6.3%相当

 大量の長期保有地を抱え、経営状況が問題になっている土地開発公社の財務内容が明らかになった。日本経済新聞社が道府県、政令指定都市の設立した58公社について1998年度決算(一部1997年度)を調べたところ、合計の負債総額は4兆円を越え、自治体本体の借金残高の6.3%相当に達した。川崎市のように市本体の2割に相当する借金を抱える公社もあった。福岡県は負債が資産を上回る債務超過に陥るなど、民間企業なら破たん状態の公社が少なくない。

 土地開発公社は自治体の全額出資法人。東京都を除く全道府県と1,550市区町村が設けている。自冶体の“不動産部”と呼ばれ、自治体の指示で事業用地を買収したり、工業団地を造成し売却している。地価下落による含み損と金利負担に苦しむ公社が多い。

 負債総額が最も大きいのは大阪府で4,266億円。横浜市の3,866億円が続く。増加率では鳥取県が前年度比61.2%、山形県も36.5%増えた。鳥取県ではダム建設の用地買収、山形県はニュータウン開発に伴う用地取得で借入金などの負債が急増した。

 公社の負債総額を自治体本体の借金である地方債残高(1997年度末)と比べると、川崎市の公社の負債が本体の20.2%相当に上っているほか、名古屋市17.7%、横浜市17.2%など、14府県7市で本体の1割分を超える。福岡県が1億9,200万円の債務超過になったほか、北海道、茨城県、兵庫県など8公社は、資本金に当たる基本財産や準備金を合わせた資本合計が、負債総額の1%未満と極端に少ない状況になっている。

 福岡県では国や県からの事務費収入が落ち込んでいることや、士地代金の租税負担を巡る訴訟で3億5千万円の賠償金を支払ったことが響いた。茨城県は常磐新線沿線の開発の遅れから用地の保有コストが膨らんだ。

 逆に、栃木、広島両県の公社のように「バブル期、以前の土地ストックを地価上昇期に工業団地として売却した」(栃木県)ことで差益を稼ぎ、財務内容が比較的健全なところもある。

公社存廃論議は必至

 自治体の要請で道路、学校などの用地を買収したものの、事業計画の遅れや財政難から自冶体が何年も引き取らなかったり、工業団地の売れ行き不振で、金利負担のかさんでいる公社が目立つ。中には、自治体が施設建設などに着手しているのに土地を引き取らず、事実上、赤字の押しつけになっているケースもある。

 山口県の公社が1988年以来保有している阿知須干拓地(270ヘクタール)の場合、一部で県によるスポーツ施設などの建設が始まったが、「予算の制約」(県阿知須干拓推進室)から土地は公社所有のまま。

 公社の借入金は自治体が債務保証しており、放置すれば自治体本体の財政危機につながる。自治省は長期保有地を早めに処分するよう年内に指針を出すが、簡単に売れる情勢ではない。

 公社による土地の購人は議会の承認が不要なため、機動的に取得できる利点があった。だが、土地取引が停滞している現状ではメリットは薄く、議会のチェックが働かない点も問題になっている。土地購入は自治体本体でもできるため、公社の存続を巡る論議が避けられなくなりそうだ。

数表を省略。


以上で(その20)終わり。(その21)に続く。


(その21)土地問題住民監査請求で期限後も正当の判決
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