武蔵野版『不祥事隠し』独自捜査シリーズ(その4)

市民「ネタ貧」で平気な「ボキャ貧」反市長派?

2000.1.11.mail再録。

 武蔵野オンバー、木村愛二です。

 本シリ-ズ(その3)既報の通り、武蔵野市議会で市民の党が提起した「真相解明決議」は、21民主・共産党の賛成で13対16、否決ではありましたが、決議の字句にイチャモンを付けて反対に回った中間会派の社会民主党・市民会議(2)をも含む多数派の他会派も、一応、市長に真相解明を求めざるを得ず、結果として、2月8日(火)午前10時から議会本会議場で「全体会議」が開かれることになりました。

 市民は傍聴できますが、本来ならば市民こぞって真相解明を求める運動を展開すべき事態なのに、下記『むさしの市民の党ニュース』のように「昨年の選挙結果がわずか2000票差の接戦」で現職市長、土屋正忠義の彦3選を脅かした桜井国俊の彦は4月から沖縄大学教授に転出、地元に骨を埋める覚悟無しを露呈。推薦母体「よくする会」は解散、「流れを変える会」に衣替え、やや小カリスマ的事務局長の弁護士・高木一彦の彦は4年前の第1回桜井国俊の彦落選後と同様に事務局長の座を放棄し、目下、事務局長回り持ちの事実上開店休業状態

 真相解明決議賛成派の中でも最大員数の21民主は実のところ寄せ集め、なにかにつけて中央政党を誇号する共産党(3)は、中央機関紙赤旗の拡大運動をしているだけで、足元の選挙民への議会報告は怠っています。武蔵野・三鷹地区委員会の武蔵野市政策委員長でもある市議、本間まさよの媛に聞くと、市長がまだ事情を明らかにすると言っているから、それを聞いてからと言います。この台詞は、とてもとても「ボキャ貧」なのでして、あの人は右翼ですよと評される議員までが加わる21民主代表の回答とまったく同じなのです。宅配で市民の目にふれる疑惑追及情報は、つぎの『むさしの市民の党ニュース21号』(2000.1.1)の記事のみの「ネタ貧」状況となっています。

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●不可解な市の答弁

2000万円税金横領事件の全容解明を

 7月1日、元納税課職員が6人の納税者から徴収した2000万円を超える税金を横領した事件について、市長は、議会に報告をしました。しかし、再発防止策の策定や関係者の処分はただちに行ったものの、事件の全容解明にはきわめて消極的な姿勢を現在までとり続けています。この事件について、市民の中から「市長は、4月の市長選挙前に知っていたが、選挙に影響が出ることを恐れて公表を選挙後に遅らせたのではないか」との疑問が出ています。昨年の選挙結果がわずか2000票差の接戦だったことを考えれば、このことは重大な問題です。市長は不祥事隠しの疑問に答えることを迫られています。

●事件の発覚は本当に5月17日?

 市民の党は、市がいつ横領を知ったのかという点にかかわるすべての事実の公表を求めてきました。なかでも、横領によって財産差し押えを受けた6人の被害者への、差し押さえ通知の送付年月日と、それに対する苦情の有無を明らかにすべきだと要求してきました。これまでの市の説明では、この事件が発覚したのは、5月17日。差し押さえ通知を送られた被害者が、市へ連絡したことによるとされています。確かに、税金を市職員に納めたのに財産差し押さえをされたら、市に苦情を言わずにはいられないでしよう。市は、残る5人の被害者についてはその誰からも、5月17日以前には、市に苦情も間い合わせもないと言っているのですが、その方々に対する差し押さえの年月日や、差し押さえ状況の具体的な答弁を避けるという態度をとり続けてきました。

●市民の党の追及で右往左往する市の答弁

 事件発覚とかかわる差し押さえ状況について、市民の党は独自の調査をし、市長や納税部長の答弁の矛盾を指摘しました。9月24日に部長は「差し押さえは全部で6件あった。平成10年度に差し押さえ通知を3件送った」と答弁していました。この点について、12月3日に市民の党の山本議員が「調査によれば、6人中2人は差し押えをしていない。答弁は事実と異なるのではないか」と部長に質問したところ、部長は答弁できなくなり、「整理して改めて報告する」というのが精一杯でした。そして、12月16日の最終本会議の冒頭、市長が「答弁の訂正をする」と切り出し、部長が「差し押えは4人だった」とつじつまが合うように訂正したのです。

 簡単な事実関係についての、このような迷走する答弁ぶりは、市当局の動揺を議員や傍聴していた市民に強く印象づけました。

●議会の取り組み前進

 その後、他の多くの会派からも、これまでの説明だけでは不十分であるとして、情報公開を市長に求める発言が相次ぎました。さらに、市民の党は、横領事件についての真相究明のため、議会決議をあげることを提案し、結果は13対16で残念ながら否決されたものの、21民主・共産党の賛成を得て、議会としての姿勢を示すことに努力しました。

●なぜ事実の公表ができないのか?

税金横領事件4つの疑問

 この事件が議会に報告されてから、すでに半年。裁判も2度開かれました。市民の党は全容解明のため、市長や納税部長に何度も質問をしています。しかし、答弁を避けたり、矛盾する答弁を繰り返すなど、市当局の迷走が続いています。

●疑問1.「平成10年度に3件差し押さえ通知を送ったが1件の苦情もない」というのは本当か?

 市は、1998年度(平成10)に3人に対し差し押さえ通知を送ったと説明しています。しかし、選挙後の5月10日に差し押さえ通を送った市民からはすぐ苦情が寄せられたのに、選拳前の1998年10月に差し押えをした市民の誰からも、問い合わせがないという説明には説得力がありません。この疑問に答えるためには、差し押さえの年月日や状況を公表すべきです。

●疑問2.なぜ、すべての横領被害を告訴しないのか?

 6人の横領被害者のうち、市は12月20日現在3人分の被害しか告訴していません。市民が大きな損害を被ったにもかかわらず、すみやかに全ての被害の告訴をしないのは不思議です。

●疑問3.いったいいくら横領されたのか?

 被害者3人分の横領金額は約210万円。市長の報告した2000万円を超える金額のわずか1割にすぎません。残る金額はどうなったのか? あと1回の公判(2月7日予定)で残りの1800万円のすべてが立件されるのしようか?

●疑問4.なぜ、調査ももせず職員の依願退職に応じたのか?

 横領を行った職員は、サラ金等からの借金を重ね、1999年3月下旬より休みがちになり、4月8日に退職願が出されて、翌日受理されました。事件の発覚前だったので、約1500万円の退職金も規定に従って支払われています。(ただし禁固以上の刑を課せられた場合は返納させることができる規定がある〉。現金を扱う部署に在籍していたにもかかわらず、職務上の十分な調査や事務の引継ぎすら行わず、依願退職を許可したのは、なぜでしようか?このような疑問に具体的な事実をあげて説明ができなければ、市長の不祥事隠しについての疑惑は解明されません。市長に対し、事件の全容解明のためのすみやかな情報公開を強く求めています。

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 なお、地方自治体、法律用語では「地方公共団体」に関する法律、地方自治法には、以下のごとく、市長が「虚偽の陳述をしたときは、これを3箇月以上5年以下の禁錮に処する」条項があるのです。


地方自治法

第100条[調査権、出頭証言及び記録の提出請求、刊行物の送付、図書室等

(1) 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。

(2) 民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊間に関する規定は、この法律に特別の定があるものを除く外、前項の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。但し、過科、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。(昭和22法169本項追加、昭和36法235本項改正)

(3) 第(1)項の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、6箇月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。(昭和22法169本項追加、平成6法48本項改正)

(4) 議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実については、その者から職務上の秘密に属するものである旨の申立を受けたときは、当該官公署の承認がなければ、当該事実に関する証言又は記録の提出を請求することができない。この場合において当該官公署が承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。(昭和22法169本項追加)

(5) 議会が前項の規定による疏明を理由がないと認めるときは、当該官公署に村し、当該証言又は記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求することができる。(昭和22法169本項追加)

(6) 当該官公署が前項の規定による要求を受けた日から20日以内に声明をしないときは、選挙人その他の関係人は、証言又は記録の提出をしなければならない。(昭和22法169本項追加)

(7) 第(2)項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、これを3箇月以上5年以下の禁錮に処する。(昭和22法169本項追加)

(8) 前項の罪を犯した者が議会において調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、その刑を軽減し又は免除することができる。(昭和22法169本項追加)

(9) 議会は、選挙人その他の関係人が、第3項又は第7項の罪を犯したものと認めるときは、告発しなければならない。但し、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。(昭和22法169本項追加)

(10) 議会が第(1)項の規定による調査を行うため当該普通地方公共団体の区域内の団体等に対し照会をし又は記録の送付を求めたときは、当該団体等は、その求めに応しなければならない。

(11) 議会は、第(1)項の規定による調査を行う場合においては、予め、予算の定額の範囲内において、当該調査のため要する経費の額を定めて置かなければならない。その額を超えて経費の支出を必要とするときは、更に議決を経なければならない。(昭和22法169本項追加)

(12) 政府は、都道府県の議会に官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に官報及び市町村に特に関係があると認める政府の刊行物を送付しなければならない。(昭和22法169本項追加)

(13) 都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。(昭和13法169本項追加)

(14) 議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前2項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。(昭和22法169本項追加)

(15) 前項の図書室は一般にこれを利用させることができる。(昭和22法169本項追加)


以上で(その4)終わり。(その5)に続く。


(その5)42,733,100円へと横領額倍増の奇怪な展開
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