武蔵野版『不祥事隠し』独自捜査シリーズ(その24)

>横領発覚の連絡が「相次いだ理由は先方に聞け」
珍答弁で市長は逃げたが

2001.1.1

 時間的な順序は逆になるが、1月15日号の「市報むさしの」に、下記の「市長と語る会」の報告が載った。「懇談内容の中から一部をご紹介します」とあるのだが、会の冒頭に、しかも、その翌日から始まった決算特別委員会でも報告と質問の冒頭になった問題、「税金横領事件」に関する私の質問は、まったく載っていなかった

 予期した通りではあったが、やはり、憮然とせざるを得ず、たまたま当日がプールの休日で午後の日課の水泳が不可能だったので、市役所に行って、市民部の前で大音声の批判演説を行い、以下の要約版を持ち帰った。市当局は、この要約版をホ-ムペ-ジで公開することさえしない。むしろ、「隠蔽工作の言い訳版」とでも言うべきシロモノである。

 そこで、仕方なしに、スキャナーで読み込み、校正の上、全世界に公表する。終りの方の市長の発言部分に記されているごとく、私が「質問したのは4点」であった。市長の最初の答弁では、この絞りに絞った4点に、まったく答えていない。この田舎(本当の上品な田舎には失礼!)芝居は、市議会では、そのまま通用してしまうのだが、私が「獲得目標」に定めていた表題の質問、「横領発覚の連絡が『相次いだ理由』」についてだけは、再三の質問の効果が挙がって、最後の「珍答弁」にまで追い詰めることができた

 以下、いささか冗漫なしゃべり言葉を刈り込み、説明の表現を加えたが、[中略][後略]などの表示部分以外は原文を生かした。


第53回:市長と語る会

(要約)

平成12年11月21日:実施[中略]

実施内容

1. 日時:平成12年11月21日(火)
  午後6時30分~9時
2. 場所:けやきコミュニティセンター
3. 参加市民:36人
4. 発言者:11人
5. 市側出席者:市長・土屋正忠
  [以下、部課長15名は略]

発言の要旨(敬称略)

1.木村・西久保1丁目……昨年起きた元職員による税金横領事件に関し、昨年8月1日号の市報で報告された内容についての質問。元職員の居場所はどうしてわかったのか。金融機関は調べたのか。事件がわかって議会にただちに報告しなかったのはなぜか。[中略]

【開会のあいさつ】

【市長土屋正忠】皆さんこんばんは。きょうは夜分にもかかわりませず大勢の方にご参加をいただきまして、まことにうれしく思っております。今はかなりコンピューターが発達をした時代で、Eメールもよく私のところにまいりますけれども、顔を見て話すことによってお互いに情報を共有して市政の参画を広げていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。

[中略]ここは御屋敷街の真ん中にあり、同時にこじんまりとしたコミュニティセンター、しかし、まとまりのいい、非常に美しいところでありますが、毎回30名から40名ぐらいのご参加をいただいております。どうぞ限られた時間の中でございますけれども、皆さんが日ごろ感じていることをざっくばらんに意見交換をしていければと、こんなふうに思っております。[中略]

【懇談内容】

【木村・西久保1丁目】皆さん新聞等でご存じでしょうけども、昨年税金横領事件というのが若干報道されて、今年の5月に元納税課員、Hさんにしておきますが、有罪判決を受けて3年の禁固刑ですね。そういう事態なんだけども、これが非常にわからないと思うんですよ。昨年の市報8月1日号で一応概略報道されましたけども、その後、新聞で断片的に出ているのは、横領金額が170万でしたかな。それから、4,300万まで何度も変わるんでずね。新聞というのは短い記事しか載らないし、テレビは報道しませんからみんなわからないけれども、議会では大分議論になっていて、私は傍聴に参加しておりますけど奇怪でございまして、住民監査請求しましたから、市長に対する措置要求ということになりますが、さっき言った昨年8月1日の「市報むさしの」、これで税金横領事件が報告されたけども、この市報では発覚したきっかけが、5月17日に納税者から税を既に納めているのに差し押さえ通知が釆たと書いてあるんですね。ところが、その後にほかの納税者からも相次いで問い合わせがあったと。このきっかけは何も書いてないんですね。これについては私は別途、個人別納税台帳の情報公開を請求しましたが、公開してくれない。小金井では出している。そういう事態なのでつかみようがない。

 しかし、滞納者に1年に2回、6月と12月に催告書が行って、それでどうしても納めなければ差し押さえすると、こういうことなんだけど、そういうきっかけについてほかの人については明らかでない。しかも、その後7カ月以上たって議会にやっと出た資科だと、一昨年の10月16日に差し押さえを受けた人がいるんですね。この差し押さえというのは滞納者に対する厳罰の行為ですから、市長が了解をしてなければ出さないんだそうですね。それが実は昨年の市長選の6カ月前なんですね。6カ月前に差し押さえ通知書を受けた市民がいて、三千数百万円ということになっていれば、それをこの納税課員に直接渡したのであれば、すぐ騒ぐはずですよ。これがおかしいね。

 市長は昨年の5月17日にわかったと言っている。しかし、7月1日に議会で行政報告するまでは少数の人しか知らないんですね。その間に武蔵野警察署と相談をして、そして業務上横領部分だけを告訴したと。これはHさんが納税課員だった時代ですね。しかし、最後の1年間は保険年金課員時代で、税徴収の職務権限がないわけですね。その部分は告訴しないで資料を警察に渡したと言っている。警察が独自捜査するだろうと言っているけど、警察は何もしないんですね。こんなおかしなことはない。

 だから市長は、最初には、いわば、職務権限のある部分とない部分を区別したことを主張した。ところが、明日から開かれる定例議会でも、その保険年金課員時代の分も含めて公金として扱おうとしているんですね。そういうことで矛盾があるんです。

 私ははっきり言って、これは詐欺じやないかと言っている。というのは、法廷へ行ったら弁護士が言っているんです。Hさんが、そんな金額多くないと、空領収書を渡したって、言っているんです。これは重大な発言です。Hさんは市の正規の領収書を持ち出していることを認めている。その領収書をだれかが巻き上げて金額を記入して、おれは渡したんだと称していると、私は確信しているんです。そうだとすれば、それをちやんと調べなければいかん。

 そういうことをちゃんとやってないんですね。こういう重大な問題なので、それについて、以下、質問をします。

 相次いで、というふうに8月1日の市報で言っている。相次いでのきっかけがあったんですか、ないんですか。それから、Hさんとすぐ接触しているけども、どうしてその犯人の居所がわかったんですか。住所不定となっているんですよ。それから、金融機関を調べているんですか。Hさんがサラ金から借りているというけど、サラ金の帳簿を調べているんですか。こういうのは犯罪捜査では直ちに調べる。金融機関はね、裁判所から捜査令状をとらなくても協力するんですよ、そういう基礎数字を全然押さえてない。そういうことについて議会で議論されてない。

 それから議会への報告の仕方ですが、これが一番重要です。小金井市では、直ちに報告をして、議会でかなり詳しい資科を報告しています。武蔵野市では、市長の言っているのは5月17日にわかったけど7月1日まで言わなかった。そして、その間に手続きをしちやったんですね。そこが問題。しかも、市長、あなた自身が市議会議員のときに、前の藤本市長時代に不祥事が4つあって、その中に税金消し込み事件というのがあったわけですね。納税課員が自分の税金を消しちゃったんですね。そのときあなたは追及の先頭に立っているんですね。そして、そのときに与野党全員含めて、藤本市長に対する問責決議を全員一致で採決しているんでずね。ところが、今度は真相究明決議すら否決される。

 直ちに報告してないんですね。そのことをはっきりしていただきたい。それから、弁護士が、その4,300万円という数字に対して、根拠ないという抗議文を送っている。この件については、議会で質問されているけど、市長は答えてない。それ、答えてください。

【市長】おそらく事情を知らない方はよくわからないと思いますので、整理をして申し上げたいと存じます。これはまことに申しわけないことでございますが、昨年の5月17日にわかったことでございますが、武蔵野市の元職員が、当時は二千数百万だと思っていましたが、後で全部調べたら4,200万だったんですが、納税課に勤務していて、その後に保険年金課に異動した職員が4,200万円の使い込みをいたしておりました。まことにこの件については申しわけなく、その事実といきさつについて市議会に報告をすると同時に、また直ちに法的な措置もとったわけであります。

 さて、そういうまことに申しわけない事件があったんですが、この職員は昨年の4月に自己都合の退職をいたしております。私どもは、中年の職員がみずから退職する例というのは毎年のようにあるわけでございますから、別にそれは何ら疑問を感じなくて、武蔵野市役所全体としてはリストラを進めているということもありまして、そこで私どもは直ちにこれを許可したわけであります。

 ところが、その職員が退職をした後に、その職員は滞納している税金を納税者から預かって,そして自分が持っていた領収書や、あるいは役所の内部で郵便振替とかいろいろな領収書、行政マンが見るとすぐわかるんですけれども、第三者が見るとそれも納税領収書と間違えるようなものもあるわけです。これは全部後で改善いたしましたが。いずれにせよ、そういうものを使って相手に対して領収書を出し、相手からいただいだ税金を市の金庫に納めずに自分で着服したと。こういうまことに残念な事件でございました。

 これが私のところへ上がってきたのは昨年の5月17日でございまして、それは差し押さえ通知書を出したことがきっかけになって、ある人から自分は払ったほずだけれども納められてないと、差し押さえが来たと。これはおかしいと言って連絡があったのがきっかけでありました。私どもとしては、普通そういう職員が犯罪を起こすということを考えておりませんから、まさか、それは何かの間違いだろう、よく調べろと、こう部下に指示をいたしまして、調べたわけであります。合計、自然人が4人、法人が2人で6納税義務者なんですけれども、確認をしても、領収書が手元にないとか、そういうことがあって、事実を確認するのに手間取りました。

 同時に、我々は何といっても、もしこれがほんとうだとすると刑事事件でありますから、業務上横領とか横領とか詐欺とか、罪名はともかく重大なこれは刑事事件であり、1人の人間を刑事告訴することになりますので、その事実を相手側からも確認をしなければということで、やめた職員を追ったわけであります。独身の中年の男子職員でありますけれども、この職員は遠く四国がふるさとで、結局住所不定のような格好でなかなかつかまらなかったわけであります。しかし、ようやく短時間ではありますが確認することができ、そして、その金額はその横領した職員も正確なことを覚えてない、右から左へ使ってしまったようでありますが、私どもとしては書類に残っているものとその職員とのことを突き合わせをして、きちっとした点検をした結果、これは犯罪だと、このように確信を持ちました。第一報があってから6月の初旬ぐらいに接触できまして、それからそれを点検いたしまして、短い期間ですけれども、そういうことになったわけであります。

 そこで、我々としては直ちに武議野警察署に対して告発をいたしました。ところが、警察としても、これは最初は告発を受けてやるわけでありますが、すぐ逮捕というわけにはまいりません。拘留期間というのは10日間2回で20日間と決まっておりますので、この20日間の間に犯罪が立証できなければいけないということで警察も調べ、その結果、犯罪の事実ありということで、私どもは文書で告発をしたわけであります。警察としては、金額が大きいわけでありますので、まず業務上横領というのは単なる横領事件より罪が重いわけでありますけれども、業務上横領でやりたいからということで改めて業務上横領で告訴をいたしました。その結果、これが受領され、私どもとしては、その元職員をこのまま逃げられたら大変なことになると思ったものですから、率直に言って。何といっても警察に出頭させろと、こういうことを言いまして、当時の納税課の担当課長がその職員と会って、その日、警察に出頭させたと、こういうことになるわけであります。それを受けて犯罪の容疑が確定したから、市議会に対して報告をすると、こういうふうなことをとった、わけであります。

 今、木村さんの話の中にありました小金井市は発覚してからそう何日もたたないうちに市議会を開いたじゃないかと、こういうことでございますが、小金井の場合にはやめた職員ではなくて、現職の職員でございます。ですから、それは呼べば簡単であります。ところが、私どもは1カ月半前ぐらいにやめた職員で、先ほど言いましたようにどこに行ったかわからないような存在でしたから、接触をして確認をする、そういうことに手間取るのは、これは当然であります。しかも、そういうことがあいまいなままやるわけにはいきませんから、当然警察とも連絡をとって正式な告訴状を出した段階でこのようなことをやったわけであります。木村さんが考えているようなことは単なるうがった話でございますので、そのようにご理解をいただきたいと存じます。

 その後、警察が全部捜査をして、その4,200万円なら4,200万円の犯罪を全部立証してくれるだろうと、犯罪イコール我々の損害額と、こう考えたわけでございますが、昨年の12月になって警察は、これは刑事上の問題で、ちょっと皆さんわかりにくいかもわかりませんが、業務上横領のほうが罪が重くて、単純横領とか詐欺のほうが軽いわけです。それで、これは累犯といいまして、同じ犯罪を2回、3回繰り返しているわけですから、業務上横領罪でもって警察は告訴しているから、詐欺罪とかそのほかの罪名で告訴をしてもしょうがないわけで、結局、武蔵野警察、正確に言うと検事は、武蔵野警察署から上がっていって警視庁の捜査2課が捜査したわけでありますけれども、検事は結局業務上横領だけをもって罰すると。あと、民事上の話は、それは武蔵野市役所のほうでやってくださいよど、こういうことになったわけであります。

 そこで我々としては当てが外れたわけで、警察が全部調べてくれて、それでもってやろうと思ったわけでありますので、改めて昨年の12月ぐらいから税務調査を各金融機関にもかけ、その結果、残念ながら最初は3,000万円ぐらいあると思っていたのが1,000万円増えてしまったんですけれども、そういうことがわかって、4,200万で改めてご報告した次第でございます。そこで犯罪が立証され、国家懲罰権の発動としての刑法犯は既に懲役3年の刑を受けて現在服役中であります。そこで、あとは民事上の4,200万円の損害賠償請求が残っているわけでございますが、この代理人の弁護士から、この元職員は今収監中で払えないし、また、同時に被産宣告をいたしておりますので、これらを含めてどうするかというと、これは弁護士や、あるいは都や国の関係者とも協議をしながらやっていきだいと、このように考えております。

 改めて申し上げますが、まことに残念な事件でございまして、申しわけなく思っております。これらについては私を含めて関係者全員処分をいたしました。私自身も10分の5給与カットと、こういうことで身を正し監督責任を示したわけであります。

 なお、今ご質問があったような、そういったことは、少なくとも警視庁の捜査2課が全部私どもから資料を押収して調べているわけでございまして、木村さんがおっしやったようなそういう事件があるならば、当然、警視庁は立件をしているわけでございます。

【木村】そういうことじやない。私が言ったポイントに答えてないじゃないか。その後相次いでのきっかけを言いなさい。それからね、金融機関、サラ金を調べたか。それが一番問題なんだ。空領収書という問題についてどう考えてるか。

【市長】あなたが質問したのは4点ですから、もう一回言いますよ。まず第一に、相次いで発覚をしたというけれども、それはどういうことなのかということですが、5月の17日に一番最初にある人から連絡がかかってきて、そして、それから二、三電話があって、そういうことで相次いでという表現をしたわけでありまず。

【木村】相次いで連絡があった理由を答えていただきたい。

【市長】いや、それは相次いであった理由は向こうに聞いてほしいということですね。それから、2点目の犯罪者であるHのサラ金を調べだかということですけれども、それは調べておりません。それはHの債務であって、市が調べる性格のものではございません。それから金融、銀行等について調べたかということでありまずが、これは調べております。これはきちっと税務調査ということで、あなたの言っている経済事犯というのは刑事上の経済事犯と、こうおっしやっているんですね、犯罪だから。我々は別に刑事上の取締権を持っているのではないわけですから、我々は税務調査権を使って金融機関をやったわけであります。それから、直ちに報告をしなかった理由は先ほど言ったとおりでございます。以上、これは皆さんに申し上げますが、木村さんは同様のことをたびたびいろいろな場面で言っております。これはこの件に限らず、この10年間ぐらいの間に言い続けおりますので、もしこれ以上あなたがこれを続けるなら、また別な機会にしてほしいと、このように思っています。

[後略]


以上で(その24)終わり。(その25)に続く。ただし未入力(結局続きませんでした)。


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