『電波メディアの神話』(7-6)

第三部 マルチメディアの「仮想経済空間
(バーチャル・エコノミー)」

電網木村書店 Web無料公開 2005.4.15

第七章 日米会談決裂の陰にひそむ国際電波通信謀略 6

初夢の正体見たり「携帯電話用」電波ジャック

 ではなぜ、視聴者または市民がもとめもしないのに放送を無線から有線にきりかえようとするのだろうか。だれの利益のための有線化なのか。放送の有線化になにか即効性のメリットでもあるのだろうか。そこが日経スクープ記事の最大の目玉である。

 中見出しには「移動体通信で電波利用」とある。「空いた周波数の電波を携帯電話などに振り向け移動体通信の普及に備える」というのだ。するとどうなるか。「放送用に使っている電波を転用すれば、現在は人口六〇人に一人程度の普及度にとどまっている自動車・携帯電話機を、将来一人一台まで普及させる余地が生れる」のだ。

 そこでふたたびさきの郵政省のアンケート結果をみると、すでに「光ファイバが全国的に整備された場合の無線系の放送と移動通信の周波数配分」という、これまた露骨に誘導尋問的な質問項目にたいして、「全体の三分の二以上が『放送用から移動通信用へ周波数を移行すべき』と回答。なお地上放送の周波数を動かすべきでないとの慎重論は比較的少数であった」と発表されている。郵政省もしくはその背後にひかえた関係業界は、自分の口から直接「有線化」をいわずに、このアンケート結果にものをいわせようとしているのだ。

 つまり、「放送の有線化」のねらいを一般庶民の立場からみてわかりやすくいえば、自動車・携帯電話機を普及するために一番好都合な周波数帯を確保するための「電波ジャック」の謀略にほかならない。ここ数年、低迷をかこっている電機業界にとって、携帯電話は唯一の成長商品といっても過言でないのだが、現在の周波数配分(第1章第1表:WEB未掲載)のままだと普及が頭打ちになってしまうのである。


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