『電波メディアの神話』(0-2)

電波メディアの国家支配は許されるか?……
マルチメディア時代のメディア開放宣言

電網木村書店 Web無料公開 2005.4.1

原本目次

はしがき

序 章 電波メディア再発見に千載一遇のチャンス

  『おしゃべりアンテナ』創刊三十周年を目前にして
  自民・産経・読売の反動トリオ・タッグマッチ
  国会喚問は日本版マッカーシズム「召喚」だ
  椿舌禍事件の複雑な構造の裏に隠れた真の狙い
  「公平原則」撤廃へむけての世論誘導のたくらみ
  当局発表うのみの「学説公害」オンパレード
  著名大学教授や著名評論家らの社会的役割
  国際的にも非常におくれた放送の歴史的研究
  アメション・ザアマス型のジャーナリズム論
  「ジャーナリズム本来」は、そんなに立派な仕事か
  歴史をしらべずに当局見解をなぞるエセ「理論」
  体制側の分裂によってはじめて表面化した矛盾
  メディアと言論の根底にひそむ人権と人類史の深淵

第一部 「電波メディア不平等起源論」の提唱

第一章 「天動説」から「地動説」への理論転換

  奇妙な矛盾におちいる反体制派の「公平原則」合唱
  「公共」を「希少」にスリかえた公認「模範回答」
  国家による電波ジャックをおおいかくす「希少性神話」
  「基本事項」=「放送事業ハ公共的性質ヲ有スル」
  「厳重な監督」方針で当局が放送を一本化した真相
  禁固十年の重罪でおどしつけた国家の電波ジャック
  検閲ずみ新聞記事の朗読から大本営発表への一本道
  ラディオ放送の独占化と非民主的な社会主義の関係
  立派な理論と実例がある「放送時間の分割使用」
  オランダ人の近代的な個性が放送制度にも反映
  「四次元空間神話」がささえる独裁的な「編成権」

第二章 「公平原則」の玉虫色による民衆支配の「奇術」

  「公共性」「不偏不党」「公平」「公正」「中立」
  「多様性の確保」や「複数意見の提出」は可能か
  無自覚または中途半端な「不偏不党」論議
  「不偏不党」を守れと力説する大学教授
  米騒動と日本新聞史上最大の筆禍「白虹事件」
  朝日新聞が権力に救命を懇願した屈辱の誓約
  戦後の「新」朝日新聞綱領に復古調の隠し味
  金髪で色白、ブロンド優先の言論の自由に疑問
  「公平原則」の現実にみるアメリカ民主主義の限界

第三章 内務・警察高級官僚があやった日本放送史

  「羊頭狗肉」の詐欺にひとしい『放送論』のたぐい
  『テレガラーフ古文書考/幕末の伝信』発見の衝撃
  東京放送局初代総裁・後藤新平は露骨な侵略主義者
  関東大震災の内務省「虐殺コンビ」が陰の仕掛け人
  新聞社側と実業家側が競合中に正力が読売乗りこみ
  「武器」として建設された日本のテレヴィ放送網
  「テレビカメラはどこかね。そっち?」と首相言い

第四章 権力を守護する象牙造りの「学説公害」神殿

  放送を片手間に論ずる失礼なジャーナリズム関係者
  明治維新の元勲伊藤博文以来の「学説公害」の実例
  当局見解にうたがいをさしはさまない「封建的」学界
  周知だった「ナレアイ性」マスコミ研究の弊害
  「象牙の塔」研究所が守護する伝統的公式見解
  電波の「政治的」特性を理解することの重要性
  神話のカラクリがはてしなくつづくカラクリの秘密

第二部 「多元化」メディアを支配する巨大企業

第五章 「打って返し」をくう「公平原則」信奉者

  「公平原則」の霞につつまれたまま「再検討の時期」
  法学的な抽象用語だけで議論する世界の限界
  無線も有線も「すべてエスタブリッシュメント」
  「多元化神話」にひそむ電波主権要求ガスぬきの罠
  古今東西、勝利の秘訣は敵の本陣を衝く基本戦略
  情報不足の危険なものまね論議に「ちょっとまった!」
  貧富の差がかつてなく拡大したレーガン政権時代
  議会は「公平原則」復活まで放送関係の審議を拒否
  二重の神話利用による逆ハンディレースのおしつけ

第六章 レーガン政権下で激変したアメリカの放送

  巨大軍需会社がテレヴィ全国ネットワークを買収
  大手メディアによる「無視」という方法の隠蔽機能
  表面だけの議論のうらで「公平原則」廃止へ世論誘導
  弱肉強食政策でマスコミ企業をにぎる力強いアメリカ
  湾岸戦争報道批判でみずからの手ぬき調査の告白と反省
  三匹の盲目のネズミにも似た「ネットワーク」の迷走
  資産売却やレイオフやり放題のアメリカ式残酷物語
  ケーブルテレヴィとCNNの台頭によるはさみうち
  規制緩和を推進したFCCの実態に重大な疑問
  「市場の魔術」によるドンデンがえしの結果を予測か
  多国籍巨大企業が演出するメディア の魔女の祭典

第三部 マルチメディアの「仮想経済空間(バーチャル・エコノミー)」

第七章 日米会談決裂の陰にひそむ国際電波通信謀略

  携帯電話機の脅迫セールスと「国賊」小沢一郎
  CIA委託報告書『日本二〇〇〇年』のアジア戦略
  奇怪な日本経済新聞のスクープと郵政大臣発表
  郵政省に免許権をにぎられた腰ぬけ大手メディア
  異例の世論調査、実は世論操作を実施した郵政省
  初夢の正体見たり「携帯電話用」電波ジャック
  紋章の主はマイクロソフトの「成金」ゲイツ会長?
  日米ともニューメディアで政策的詐欺と失敗の歴史
  ピザの宅配注文なら電話で十分、パソコンは不要

第八章 巨大企業とマルチメディアの国際相姦図

  スポンサーの電機メーカーに遠慮する既得権の主張
  NHK「解説員室」のモゴモゴ「怪説」で疑問増大
  「高画質動画」受信に九〇分相当で四万七〇〇〇円
  三〇万円前後のマルチメディア専用パソコンが必要
  「公共性が高い」NHKが生きのこる「住み分け」作戦
  規制緩和政策でメディアの国際的大手支配は野ばなし
  「独占集中排除」のおざなり堤防は完全に決壊状態
  「今様関東軍」総合商社が時を得顔で国際・国内制覇
  ソフトの確保なら日本国内よりもハリウッドへ進出
  ゲーム、カラオケ、アダルトまでが茶の間に乱入

終 章 送信者へのコペルニクス的転回の道

  自らを組織してこそ本物の電波メディア主権者
  湾岸戦争からつづいて発展する「民衆のメディア連絡会」
  マスメディアの限界を知りつつ批判と啓発を追及
  印刷・活字をふくむ「公共性」メディア全体解放の視点
  民衆の側にたつプレスマン(印刷兼著述業)の伝統
  市民トム・ペインと『コモン・センス』の時代
  カレー選出のフランス国民議会議員と恐怖政治
  奴隷制大農園主・初代大統領ワシントンの背信
  奴隷制反対の筆をふるったペインの葬列に二人の黒人
  人間と市民の権利宣言の基本に立ちもどる議論展開を

[資料1]椿・前テレビ朝日報道局長の発言[全文]

[資料2]椿・前テレ朝局長証人喚問の主な内容

[資料3]放送法[抄]

[資料4]無線電信法[官報から罰則条文のみ抜粋]

[資料5]戦後日本の放送局における解雇事件

主要参考資料

あとがき


序章 電波メディア再発見に千載一遇のチャンス
(0-31) おしゃべりアンテナ』創刊三〇周年を目前にして