ユーゴ空爆の背景 利権と歴史と謀略と侵略とメディアの嘘と(39)

ユーゴ戦争:報道批判特集

ユーゴ発表:ユーゴ戦争の被害と告発

1999.9.10 WEB雑誌『憎まれ愚痴』37号掲載

1999.9.3.mail再録・訂正・増補。

 昨晩、1999.9.2.(木)22時、このところ監視せざるを得なくなったNHK衛星第1:BS22ニュースの特集項目を新聞の放送番組欄で点検すると、「復興への助走コソボの新学期」とあるので、今度は録画しつつ見ました。すると、案の定、ほとんどアルバニア側の一方的で歪んだ主張のみを紹介するばかりで、間違いだらけ。再び「NHK『お利口』特集」批判をしなければならないのですが、その前に、2、3、基礎資料を整備します。

 まずは、ユーゴ大使館で唯一人の日本語ができる三等書記官、ヤンコヴィッチさんが訳したユーゴ連邦政府による被害報告と、国際社会への告発の声明を、スキャナーで読み込み、数字の表記と記号のみを若干変更したほかは、原文のまま送信します。

 転載は大歓迎です。わがHPにも入れ、今後の議論、引用の材料とします。NHKなどの大手メディア関係者に、特に目を見開いて読み、今後の自戒として壁に貼ってほしいのは、この声明の中に出てくる次の括弧内の言葉です。

「昔のラテンのことわざは言っています……争いの全当事者のいうことを聞くことによってのみ真実に到達し得る」

 どんな極悪人でも、たとえば現在、日本で刑事裁判の被告、希代の詐欺師、不気味なポア殺人命令者のオウム教祖でさえも、建て前上は推定無罪で、言い分を平等に聞くのが、真実発見のための原則なのです。この原則を守らない大手メディア報道が横行している現状を、私は、今後、「ヘソの無いメディア」(「俺は、星の無い、星の無い男さ」のメロディ)と呼ぶことにしました。

 昔々、その昔、「おめえヘソがねえじゃねえか」という、確か、漫画の蛙がキャラクターの風邪薬ケロリンのCMの文句が、流行ったことがあるのですが、「本当にヘソがない爬虫類や両生類にはゴメン!」、取り澄まして重々しく「解説」をして下さるNHKの「お利口」なキャスターなどは、実は、仮面を被っていて、同じ人間でも哺乳類でも無いのだという、恐怖の「異星人」SFの構造で理解していれば、間違いないのです。

 以下、ユーゴ政府声明です。


ユーゴスラビア連邦共和国に対する
NATOの侵略の結果としての
民間部内の破壊の概観

 ユーゴスラビア連邦共和国に対するNATOの侵略の79日間に《1999年3月24日から6月8日まで》NATOは12,000回以上の犯罪的攻撃を行いました。軍事基地30ケ所とアドリア梅上の軍艦6隻を母艦として軍用機1,200機以上とへリコプター206機が使用されました。巡航ミサイル30,000発以上が発射され、79万トン以上の爆薬が投下されました。

主な悲劇的な民間部内の死傷損害

★1,700人以上の民間人が殺され、6,000人以上が重傷を負いました。

★3百万人の子供が危険にさらされています。

★数十万の市民が毒ガスにさらされました。

★石油精製施設および化学工場の爆撃は、国境を知らない破滅的な環境汚染と影響をもたらしました。

★約百万の市民が飲料水に不足しています。

★約5百万の市民が一時的に電気を奪われています。

★約50万の労働者が失職し、2百万の市民が個人収入を失ってしまいました。

 全体の物的損害は外国の専門家によって400億ドルから1,000億ドルと見積もられています。

破壊されたり、被害を受けたもの

★50以上の工場および産業施設、産業基盤が破壊され、国民経済の規模は半滅しました。

★66ケ所の橋。

★23の鉄道駅。

★50の主要道路。

★14の空港。

★23ケ所の精製所および倉庫。

★34病院および健康介護センター。

★480校以上の学校。

★数万の公共および住宅施設。

★主要電気供給ネットワークと発電所…数ケ所。

★56ケ所の修道院および聖堂。

★数十の文化的歴史的記念物および博物館

NATOの所謂誤爆

★4月5日:アレクシナツ住宅街空爆…死者17人

★4月12日:グルデリチュカクリスラで鉄橋で列車破壊…死者55人

★4月14日:コスメトで難民の2列の隊列を襲う…死者75人

★4月28日:スルドウリツア住宅街爆撃…死者20人

★5月1日:ルジヤネで橋を渡っていたバスを襲う…死者60人

★5月3日:ペチとモンテネグロ国境との間のバス破壊…死者20人

★5月7日:ニスの中心部《市場、病院、大学および民間住宅》爆撃…死者15人

★5月14日:コスメトのコリシヤ村爆撃…死者、帰村途中のアルバニア系住民79人

NATOのいわゆる欠陥情報と悲劇的誤り

★5月7日:ベオグラードの中国大使館爆撃…中国人館員、新聞記者、市民3人殺され、20人負傷

報道戦争

 ユーゴスラビア連邦共和国内の10ケ所のテレビ、ラジオ局とテレビラジオ送信機23台を破壊することによってNATOは言論報道の自由を抑圧し、世界の世論の操作を拡大しています。異なった意見を述べる権利および争いでは相手方の声を聞く権利は一体どうなったのでしょうか。昔のラテンのことわざは言っています…争いの全当事者のいうことを聞くことによってのみ真実に到達し得る。

NATOが使用した禁止されている武器

★クラスター爆弾および活性化の遅い爆弾。対人地雷のように、戦いが終わった後も数年にわたって民間人を殺傷する。クラスター爆弾約1万発を収める容器100ケ以上がユーゴスラビアに対して発射されました。

★劣化ウラン弾が国中に放射能分子を撒き散らしています。地中に入った爆弾は放射能を恒常的に放出するいわゆる熱点《ホットポイント》を作ります。

★グラファイト爆弾《黒鉛爆弾》最新鋭の武器で、セルビア共和国の電力供給ネットワークに漏電を起こさせ、供給を遮断します。

 そのような蛮行に対する憂慮、遺憾、陳謝は十分ではありません。このNATOの挑発されたわけでもない、正当化し得ない侵略と凶暴な爆撃は国際社会によって強く非難され、即時無条件に停止されなければなりません。悲劇的な死傷者と破壊に責任あるものは裁判にかけられ、すべての損害と経済再建のために弁償しなければなりません。この方向への第一歩はハーグの国際司法裁判所と国連安全保障理事会がとることが期待されています。


 以上。


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