木村愛二の生活と意見 2001年2月 から分離

平和のペンは強くもなく遅きに失したり敵に騙された手先ならかえって惨い

2001.2.10.(土)(2019.6.20分離)

 昨日、旧知の元新社会党の衆議院候補(落選)、富山栄子さんから、大型の郵便が届いた。中身は、本文がA4判20頁の冊子、2001.1.26.「寺子屋21世紀」発行の『国際政治情報資料』NO.4(頒布価格500円)であり、ワープロ文字の印刷による「贈呈」の挨拶状が添えられていた。

 この号は、「劣化ウラン弾」の特集であるが、いささかこだわると、ユーゴで使われたことがヨーロッパで問題になって、それで初めて日本の大手メディアにも記事が出現して以後に編集された記事である。このような「贈呈」に関しては、お返しに、私の個人新聞などを「交換謹呈」として送ることにしている。今度は、ユーゴ戦争の際に発行した印刷物の『憎まれ愚痴』号外、『歴史見直しジャーナル』などを送るが、一言しないわけにはいかない。

「民族浄化は嘘」の主張が無いのも道理で『しんぶん赤旗』が情報源

 富山栄子さんとは、先の衆議院選挙の前に、民衆のメディア連絡会の例会で会い、二次会で懇談した。だから、この冊子の発行についても、富山栄子さん自身による英語のホ-ムペ-ジ記事などの訳出の努力に対しても、一応、ご苦労さん、と申し上げる。しかし、このところ、味方に、ナア、ナア、とか、議員政党とかを、厳しく批判し続けている都合上、遠慮のない意見を添えないわけにはいかない。

 私は、ユーゴで劣化ウラン弾が使われた問題について、すでに1998年のホ-ムペ-ジで報じている。ところが、この『国際政治情報資料』NO.4の20頁に列挙された「日本で報道された劣化ウラン弾についての主な記事一覧」には、2000年10月28日以降の『しんぶん赤旗』『毎日新聞』『朝日新聞』の記事の見出しだけしか載っていない。つまり、すでに私がホームページで皮肉ったことだが、白人の西ヨーロッパ人が被害を受けて初めて大袈裟な騒ぎになって以後の報道でしかない。イラクでの劣化ウラン弾使用の問題では、日本の大手報道は、ほぼ完全にアメリカの手先でしかなかった。「寺子屋21世紀」の21世紀への抱負は載っていないが、やはり、遅きに失すると言わざるを得ない。

 特に困るのは、私が一番力を入れた「民族浄化は嘘」の問題が、この『国際政治情報資料』のシリーズ全体を通して、どこでも取り上げられていないらしいことである。ともかく、裏表紙の「バックナンバ-」、No.1~No.4の見出しには、まるでないのである。

 この件では、いわゆる商業紙でも、いわゆる右の『読売新聞』が、フランスの3紙の疑惑報道を要約して紹介していた。ところが、いわゆる左の『しんぶん赤旗』は、ヨーロッパに特派員まで送っていながら、かえって現地の欧米の主流のメディア報道に、まんまと騙されて、いわゆる商業紙よりも大袈裟に「民族浄化」を事実と断言していたのである。それらの状況についても、足掛け3年前にホーム頁に入れてある。しかも、私が、上記の『読売新聞』の記事の存在などを指摘して、調べ直せとよと助言したのに、日本共産党は、いつもながらの沽券に固執して、記事の訂正どころか、見直し報道もしていない。

 新社会党は旧社会党の末期とは違って、日本共産党と提携することもあるらしいが、日本共産党は、今や、自衛隊利用論にまで現実路線の堕落を続け、傲慢極まりない悪質な裏切り者集団と化した。有象無象の寄せ集め連携は、傍迷惑の蟷螂の斧でしかない。

「ペンは剣よりも強い」の出典は「ペンは剣よりも惨い」だった

 特に自称左のメディア関係者は、偉そうに胸を張って、しかし、事実は馬鹿のひとつ覚えで、「ペンは剣よりも強い」というが、たいして強くはないし、しかも、この格言の出典のラテン語では、「ペンは剣よりも惨い」だったのだそうである。私自身が出典を確かめていないから、格言ならぬ確言は留保しておくが、メディア関係の教授が書いていることだから、真っ赤な嘘ではないだろう。古代ローマ人も日本の武士とかと同様に野蛮だったから、侮辱を受けたら真剣勝負、腹切り、ペ、ペン、ペン、ペン…………ああ、命よりも名を惜しむ古武士とか、陰で文字に書かれたり、落書きされたりする方が、ずっと惨いことだったのだろう。

 私は、この「ペンは剣よりも惨い」の格言を、自称平和主義者や自称左翼にも、厳しく適用する。状況証拠から見て、ほとんどの場合、弁解無用の勉強不足である。特に指摘するのは、基本的な状況認識の欠落である。なぜ、劣化ウラン弾を使おうが、ミサイルを浴びせ掛けようが、一応は国際法上でも違法の炸裂性のクラスター爆弾を大量散布しようが、まるで国際世論が沸騰しなかったのか。アメリカが巧妙な「民族浄化の嘘」の「悪魔化」宣伝を先行させ、それに、自称平和主義者や自称左翼までが、まんまと引っ掛かっていたからである。湾岸戦争における油まみれの水鳥の映像などの利用の場合も、その典型だった。

 特に、「惨い」鈍刀は、味方の振りをして他人を騙すほどの悪知恵が働くわけでもなく、傲慢にも人助けを気取りながら、無自覚に敵の手先に使われてしまい、それを反省も謝罪もしないで既得権確保の居直りを続ける運動中毒患者や左翼商売人の「ペン」である。こういう連中ほど、これは理の当然の法則通りなのだが、たとえば、私の「ガス室は嘘」論に対して、居丈高に下品な牙を剥くのである。まさに虎の威を借る狐でしかないのだが、この下品な傲慢さの根源に、私は、カール・マルクスの決定的な誤りとしての階級闘争・暴力革命思想、そこから必然化する亜流の権力主義の条件反射を指摘する。この種の無自覚な権力主義者は、地獄の道連れにもしたくないド馬鹿、阿呆、かつ、不愉快極まりない下司な連中である。私は、こういう連中を、左翼政治ゴロと呼ぶ。失せろ!

「寺子屋21世紀」と新社会党の関係は知らないが、旧社会党の四分五裂の廃墟から、1人でもいいから、ましな仲間が生き延びて、21世紀に羽ばたくことを期待する。