東京地方争議団共闘会議「独占と権力の対応」

総行動11年の原点に立ち返って教訓を学ぶ

[1983.12.10-12.東京地方争議団共闘会議:第22回総会議案書]
[第3章(続)私たちをめぐる動き:副議長・法廷闘争対策担当・木村愛二執筆]

二、労働行政反動化の背後に独占の「血みどろ」の魔手

2000.11.4 WEB雑誌『憎まれ愚痴』60号掲載

 以上のような警察庁を尖兵とする動きは、昨年(注:1982年)二月二六日に「田中曽根」=「警察」内閣が成立して以来、増長の度を加えています。しかし、この「警察」内閣は、「田中曽根」であることからも明らかなように、同時に、「金権」内閣でもありました。

 つまり、一般国民と下級の警察官向けにつくられた「治安対策」云々の美辞麗句の裏側には、露骨極まりない「金権」・独占の利益擁護の本昔が隠されていました。それが、労災患者の一方的切り捨て、労基法や職安法改悪の動きに代表される労働行政の反動化です。

『警備警察全書』という警察官向けの教科書に、


「警察の目標は、暴力革命を圭張する革命勢力を弱めることであり、それは彼等を一般大衆から孤立させることにある」


と明記されています。相も変らぬ戦前派の反共理論ですが、世間知らずの警察学校の生徒が、あることないことの反共攻撃や右翼暴力団への恐怖をネタに、労働運動全体への反感を植え込まれて警備の実務につくわけです。わたしたちも社会人の先輩として、彼等の立場を冷静に受け止め、大人の対処をする必要があります。とくに、出世欲でこり固った一部高級官僚組と、現場の労働者である警察官とを、区別していくべきでしょう。

 すでに欧米の先進諸国では、警察官ばかりか兵士の労働組合が結成されています。西ドイッの反核運動に関しては、内務省の方が警察官の「中立」を唱えており、反核運動で警察官側との無用な衝突を避げるために、対話の場がつくられています。

 街頭における右翼の動きも活発化している現状にかんがみ、総行動などの実施に当っての決然たる行動の体制づくりと同時に、広く市民に理解を求め共闘をよびかける宣伝活動も重要さを増しています。独占の「血みどろの正体」を暴き、反戦・反核の世論にもアピールしながら、争議団の要求の根本を訴えていかなければなりません。

以上で「二」終わり。「三」に続く。


三、旧体制側の計画性と組織性、企業ファシズムの位置づけに注意

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