『亜空間通信』654号(2003/08/29) 阿修羅投稿を再録

酸化ウラン・セラミック・重金属・毒性の検索で2年前発行パンフ発見に想いなかば

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『亜空間通信』654号(2003/08/29)
【酸化ウラン・セラミック・重金属・毒性の検索で2年前発行パンフ発見に想いなかば】

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 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 私は、丁度一週間前(2003/08/22)、ことが重大だから、やむを得ずの覚悟で、しかし、実は、「憎まれ愚痴」屋としても、非常に辛い想いを噛みしめながら、以下に抜粋する内容の通信を発した。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku652.html
http://www.asyura2.com/0306/war38/msg/643.html
『亜空間通信』652号(2003/08/22)
【劣化ウラン弾批判運動が疫学知らぬと驚き電網調査でさらに驚く似非紳士朝日の重罪】

[中略]

8月21日(木)第78回いろりばた会議にご参加を
 イラク反戦と劣化ウラン弾について、最新情報も含めて、山崎久隆さん(劣化ウラン研究会代表・たんぽぽ舎運営委員)が8月21日(木)の第78回いろりばた会議で話します。ご参加下さい。会場:たんぽぽ舎 時間:18時30分~21時 資料代:800円

 上記の会での「劣化ウラン研究会代表」の報告は、非常に詳しかった。とりわけ、劣化ウランの重金属としての化学毒性は、劣化ウランの放射能の毒性の数倍という研究もあるとのことで、わが長年の主張の新たな裏付け情報の存在が確認できたことになり、この点は久々の収穫だった。

 ところが、集会が終わってから、その講師に、「重金属毒性に関する疫学的な研究はないのか」と聞いたところ、彼は「疫学」の意味を正確には知らなかった。若いから仕方がないが、彼一人の問題ではなくて、「劣化ウラン研究会」などという運動が、ここ十年は続いているのだから、そのどこでも、特に、重金属毒性の疫学的研究の必要性を痛感する議論はしていなかったと推測できる。私は、偶々でもあるが、不当解雇撤回闘争の時期に、水俣病と呼ばれた有機水銀中毒患者とその家族の闘いを身近に知り、一緒に闘ったから、こういう「難病」とか「奇病」とされる病気に関して、医学の基本でもある疫学が持つ意義を、実感として知っていた。劣化ウランの場合にも、この調査が不可欠である。これなしには説得力がないので、いささか驚き、以下の電網検索を実施した。結果は予想通りだった。

全言語のページから劣化ウラン、重金属、化学毒性、疫学を検索しました。約17件中1-10件目・検索にかかった時間0.12秒
[後略]

 要するに、劣化ウランそのものについても、説得力のある疫学的な調査研究はないのであり、ましてや重金属毒性については、ほとんど医学の基本の疫学的調査研究どころか、議論すらが行われていないのである。

 この状況では、似非紳士朝日などに、口先だけのお得意の「調査報道」をさせるように追い込む世論は形成できない。その後、私自身は、地元問題など野暮用続きで、かなり遅れたが、昨夜、上記の講師の話の中に出てきた2つの重要と思われる鍵言葉の検索を、追加して実施した。

 上記の例会で配布された印刷物には記されていなかったのだが、口頭の説明では、戦車などに着弾すると超高温を発して燃焼する劣化ウランは、各種の酸化ウランとなり、水溶性ではないセラミック状に固まるので、人間の体内に入った時、体液にとけ込んで循環し、排出されることなく、肺などに止まり、化学的毒性を発揮し続けると言うであった。これは初耳であった。私は、前回の例会で、同じ講師が、重金属は小便や汗などで体外に排出されるから長期間の毒性はなくて、放射能の方が半減期が長いから危険という主旨の説明を聞いたのだった。

 結果は、以下のごとく、「想い半(なか)ばに過ぐ 」結果となった。政党でもメディアでもなく、首都圏の東京でもなくて、大阪の市民運動の方が先に、この問題を調べ、2年前にはパンフレットを発行していたのだった。私は、即刻、電話して、2冊のパンフレットを注文した。郵便振替用紙を同封して、すぐに実物を郵送してくれる約束である。

全言語のページから酸化ウラン、セラミック、重金属、毒性を検索しました。5件中1-5件目・ ・検索にかかった時間0.04秒
http://www.jca.apc.org/mihama/index.html
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
http://www.jca.apc.org/mihama/pamphlet/pamph_d_uran.htm

パンフレット
『劣化ウラン弾-被害の実態と人体影響』
A4版 70頁
頒価700円
送料240円(冊子小包)
第1刷 2001年4月
第2刷 2003年1月
目次
○増刷にあたって
○はじめに
○劣化ウラン弾による被害の実態と人体影響
○[翻訳資料]湾岸戦争帰還兵と劣化ウラン(ロザリー・バーテル博士)
○中国新聞「知られざるヒバクシャ-劣化ウラン弾の実態」嫡要
○BNFLが劣化ウラン弾を製造していた
○[解説]劣化ウラン弾とはどのようなものか

本文目次
米帰還兵の間での被害
(1)約43万人の米兵士が汚染地帯へ投入され、退役兵士の約45%、26万人以上もが健康被害を訴え、医療を要求している。
(2)多くの帰還兵が、癌・白血病、免疫不全や極度の慢性疲労等、様々な疾病、深刻な後遺症に苦しめられている。
(3)それだけではない。戦争後に産まれた子供達の間で先天性の障害が多発している。
(4)同盟国イギリスでも約3万人の兵士が汚染地帯に投入され、8千人が健康被害を訴えている。
(5)30万人以上の兵士とその家族の訴えが因果関係の最大の証明である。
(6)劣化ウラン弾を製造する兵器工場周辺でも住民被害が発生している。
(7)20万から30万人の兵士が劣化ウランに被曝した。
(8)アメリカ政府・軍当局には、疫学調査・実態調査を実施し、医療と補償を行う責任がある。

イラクにおける深刻な被害の実態
(1)湾岸帰還兵の何倍も何十倍も深刻なイラクにおける劣化ウラン被害。
(2)戦場となったイラク南部では、癌・白血病が3~7倍に増加している。
(3)戦争後産まれたイラクの子供達の間で先天的障害が多発している。
(4)先天性障害の多発、癌・白血病の増加について多くのイラクの医師達が証言している。
(5)劣化ウランはすでに1万人以上の癌患者を生み出した。
(6)癌は被害全体の氷山の一角に過ぎない。劣化ウランは50万人以上の乳幼児の死亡の最大の原因の一つである。

コソボ・ボスニアでの被害
(1)コソボ・ボスニア現地でも癌・白血病の増加が人々を襲いはじめている。

二つの地域、四つの集団で同一の被害-原因はただ一つ、それは劣化ウランである。

劣化ウランの危険性とその影響を知悉していたアメリカ政府と軍。
(1)「低摂取量の長期影響は癌を引き起こし、一方、高摂取量の短期影響は死をもたらす」-軍のSAIC報告書は、湾岸戦争開始半年前に、すでに劣化ウランによる被害の発生を予言していた。
(2)弾道学研究所(BRL)の報告でも軍は劣化ウランによる人体影響と汚染を知っていた。
(3)さらに英国原子力公社(UKAEA)は「50万人を死亡させる」と警告。
(4)米英政府と軍当局は、劣化ウランの危険性を十分知った上で大量使用し、敵兵士と現地住民を被曝させたばかりか、自国兵士をも被曝するにまかせた。確信犯的な犯罪行為という他ない。
(5)劣化ウラン弾を使い続けることに固執するアメリカ政府・軍当局

劣化ウランはどのようにして人々を被曝させ、環境を汚染したか。
(1)総量320?dの劣化ウランがイラクに対して使用された。
(2)イラクで使われた劣化ウランの総量は英国原子力公社の評価で700万人の死亡、
  NRCの年摂取限度では45億人分となる。
(3)劣化ウラン弾は目標に当たると激しく燃焼し、70%が酸化ウランのエアロゾルとなる。
(4)エアロゾル化した劣化ウランは風に乗って広範囲に拡散する。
(5)微粒子となった劣化ウランの約50~90%は非常に小さく、呼吸と共に肺の中に侵入する。
(6)肺に入った劣化ウランの微粒子は肺組織に付着し、長期間残留する。
(7)長期に渡る慢性的被曝
(8)セラミック形態の劣化ウラン粒子の長期残留性-生物学的半減期の長期化
(9)経口摂取による劣化ウランの体内への取り込み
(10)傷口からの劣化ウランの吸収
(11)危険なのはエアロゾルだけではない。破片からベータ線も重大な影響を及ぼす。
(12)長期にわたるイラク、ボスニア・コソボの汚染

重金属としての毒性と、アルファ放射能としての毒性の二つの複合した毒性を発揮する劣化ウラン
(1)重金属としての劣化ウランの毒性
(2)アルファ放射能としての劣化ウランの毒性

細胞と動物実験のレベルで明らかになりつつある放射能・化学的毒物としての劣化ウランの生体への影響
(1)劣化ウランは癌・白血病を引き起こす
(2)劣化ウランの生殖と胎児への影響
(3)劣化ウランが引き起こす脳・神経系への影響
(4)劣化ウランの免疫系への影響
[後略]

http://www.jca.apc.org/mihama/pamphlet/pamph_d_uran_hajimeni.htm
パンフレット
『劣化ウラン弾-被害の実態と人体影響』
はじめに
1.年初早々、欧州のメディアは一斉に、コソボ・ホスニア従軍兵士の間での白血病死の多発を報じた。これを引き金に、劣化ウラン弾と「バルカン・シンドローム」問題が焦点化し、欧州全体を揺るがすような大きな政治問題へと急速に発展した。また、バルカン帰還兵の間での被害の発生は、すでに先行して起こっているイラク現地と湾岸戦争帰還兵の間での健康被害の実態にも光を当て、その原因が劣化ウラン弾にあることを裏付ける強力な証拠となった。

 アメリカはイラクに対して320?とも700?ともいわれる膨大な量の劣化ウランを使用した。イラク南部の何十万、何百万もの住民が、エアロゾル化した劣化ウランの微粒子、劣化ウランに汚染された食物や水からの被曝の脅威にさらされ続けている※。癌・白血病、免疫不全、神経系疾患をはじめとした様々な疾病が多発している。特に子供達の間で、先天的異常という深刻な被害が発生している。癌に限っても、すでに1万人以上のイラクの人々が劣化ウラン弾が原因で死亡したと推定される。劣化ウランと「制裁」による乳幼児死亡数は50~60万人にも上る。イラクと旧ユーゴに対するアメリカ・NATOの侵略戦争は、重大な環境破壊を引き起こし、今でも子供達を殺し続けている。許し難い戦争犯罪である。

※:4月15日のサンデー・ヘラルド紙は、ミドルセックス大学のニック・プリースト教授によって行われたボスニア・コソボでの研究について報じている。調査の結果、住民の尿中から劣化ウランが発見された。プリースト教授は劣化ウランが食物連鎖の中に入り込んでいる可能性を指摘している。

2.アメリカ政府・軍当局とNATOは「劣化ウランの放射能は弱く安全」「こんなに早く白血病が出るはずがない」と因果関係を一切否定、国連もグルになって隠蔽工作に狂奔している。3月13日、国連環境計画(UNEP)は、劣化ウラン弾被害を改めて否定する現地調査報告書をとりまとめた※。マスコミ報道も2月をピークに、一旦は収まったかに見える。しかし、現実の被害そのものが消え去ったわけではない。帰還兵と支援団体、欧米の反核、反原発、環境諸団体は粘り強い闘いを持続している。「騒動」の大きさは、この問題の広がりと深さを示している。事あるごとに再燃し、被害の実態の解明につれ、アメリカとNATOの戦争責任を問う声はさらに大きなものへと成長していくに違いない。

※:「空爆地点で汚染を発見したが低レベルであり、人体影響はない」これがUNEP報告書の結論である。これに対して3月23日のWISEニュースコミュニケの記事は、調査の欺瞞性を鋭く批判している。エアロゾル化した劣化ウラン弾はすでに広範囲に拡散してしまっている。それにもかかわらずUNEPは、攻撃があったとされる地点のみに限定した汚染調査しか実施していない。また調査地点の数も、攻撃があった112地点のうちのわずか12%、11地点のみであった。しかも11地点のうち7地点は敷設された地雷のために完全には調査されなかった。完全に調査することができたのは、すでにNATOによってクリーンアップされた地点だったのである。汚染が見つからないのは当たり前である。

3.劣化ウラン弾とは、原発で使用する核燃料の製造過程で生み出された廃棄物=劣化ウランを金属ウランに加工し、砲弾化したものである※。装甲貫徹能力に優れ、しかも「ゴミ」の再利用であるがゆえの低コストから、アメリカは、対戦車砲弾をはじめとして、装甲、巡航ミサイル=トマホークまで、ありとあらゆる兵器に劣化ウランを大量使用している。冷戦後のアメリカの対途上国侵略戦争は、この劣化ウラン弾の大量使用を前提条件としている。湾岸戦争然り、ユーゴ空爆然りである。劣化ウラン弾による戦争は、放射性物質による大量無差別殺戮であり、「もう一つのヒロシマ」=新しい型の核戦争に他ならない。

※:劣化ウラン弾は、ウラン濃縮の過程で大量に生み出される核のゴミを原料としている。天然ウラン(ウラン235:0.7%)を濃縮して核燃料(ウラン235:3~5%)を作る過程で、天然ウランよりもウラン235の含有率が、0.2~0.3%と低いウランが副産物として大量に生み出される。これがいわゆる劣化ウランである。1kgの核燃料を作るのに、5~10kgの劣化ウランが廃棄物として作り出される。濃縮業務のトップリーダーであるアメリカは、50万?もの劣化ウランを蓄積している。そして、この溢れかえる劣化ウラン=核のゴミ問題の行き着く先が、核廃棄物を砲弾化し、環境中へバラまくという常軌を逸した「処分」方法なのである。末期状態の原子力は、その非人間的な本質を、よりグロテスクで陰惨な形で体現し始めた。

4.核のゴミの軍事転用という側面からも、また放射能による被害という点からも、劣化ウラン弾問題は私たち反原発運動に携わるものにとって、重大な関心事である。年初以降私たちは、海外報道を中心に情報を収集し、海外の諸団体が明らかにしてきた諸事実、良心的な科学者、研究者が提起している新たな知見を学び取ることに努めてきた。
 作業を開始してみて驚いたのは、欧米の反原発諸団体や、ロザリー・バーテル博士をはじめとする戦闘的な科学者・研究者が、劣化ウラン弾問題に精力的に取り組み、劣化ウラン弾の製造と使用の禁止、環境の回復、被害者への補償・医療と全面的な調査の実施という要求を掲げ、アメリカとNATOに対する厳しい批判を展開していたことである。欧米では、劣化ウラン弾問題を結節点の一つとして、反原発運動と反核平和運動との結合関係がより一層強固なものへと成長している。

5.調査の過程で、BNFLが劣化ウラン弾の製造に深く関与していたという事実が明らかになった。その内容については美浜の会ニュース61号に記載した通りである。グリーン・アクションと共同でおこなった4月2日の第2回交渉の中で関西電力は、「BNFLに問い合わせたところ、過去に劣化ウランを国防省に納入したとのこと」と、すでに明らかになっている事実関係については認めた。兵器以外の使い途はない。劣化ウラン弾製造へのBNFLの関与は明らかである。しかし関電は「劣化ウラン弾として使われたかどうかについてはBNFLに確認していない」と逃げ回り、とにかく「我が社は平和利用の側面でBNFLとつきあっている」の一点張りであった。まったく無責任極まりない居直りである。

6.追及の結果さらに、関電と劣化ウラン弾のより深い結びつきが明らかになった。日本は核燃料製造のための濃縮の大部分を、米国USEC社(民営化されたDOEの濃縮部門)に委託しているが、その結果生じた劣化ウランを、不要物としてアメリカに「ただで譲渡している」ことを関電は認めたのである※。米国の劣化ウラン弾の原料はこのUSEC社が供給している。「ただ」で譲り渡した関電・日本の核のゴミが、劣化ウラン弾の原料として混入し、使用されている可能性は否定できない。それにもかかわらず関電は「すでにアメリカに所有権を移転しているので関知しない」と居直っている。しかし「知らない」ではすまされない。アメリカが劣化ウラン弾の製造・使用国であることは周知の事実である。関電のやっていることは確信犯的な犯罪的行為という他ない。これが関電の言う「平和利用」の実態なのである。劣化ウラン弾問題は、BNFLの犯罪的性格を暴き、関西電力の加担と無責任を追及し、まずは、プルサーマル計画を断念へと追い込んでいくための批判材料の一つという実践的な意義を持っている。

※:ウラン鉱石から取り出されたウランは気体である六フッ化ウランに転換され、濃縮工程にかけられる。そして一部は燃料用の六フッ化ウランとなり、残りは使い途のない六フッ化劣化ウランとなる。燃料用の六フッ化ウランは再転換されて二酸化ウランとなりペレットへと加工される。一方、六フッ化劣化ウランは、ボンベに詰められ濃縮工場の敷地内に野積みされている。関電はオーストラリア、アフリカ等からウラン鉱石を調達し、主としてアメリカに濃縮役務を委託している。関電所有のウラン鉱石から関電の燃料を作る過程で副産物として生み出された劣化ウランは、当然関電の所有物であるが、それを関電はアメリカに「ただ」で「所有権を移転」=譲り渡しているのである。

7.また、劣化ウラン弾問題は、低線量被曝の危険性を新たな見地から検証し直す必要があるという極めて重大な問題を提起している。アメリカ政府・軍当局とNATOは口を揃えて「理論的にありえない」「従来知見では説明できない」として、被害を全否定している。従来の知見の一面化、悪用が彼らの常套手段である。確かに、劣化ウラン弾による環境と人体への影響は、ICRPがオーソライズしているような低線量被曝に関する現在の知見の延長線上からは想像することもできないような大きさと深さを持っている。多くの点が未解明である。しかしだからこそ、現実の被害に即して、低線量被曝の危険性に関する知見をより正確にし、豊富化していくことが必要なのである。それこそが真に科学的で責任ある態度である。劣化ウラン弾による深刻な被害の解明は、ゴフマンをはじめとする良心的で戦闘的な科学者・研究者達が警告し続けてきた低線量被曝の危険性、プルトニウムやウランなどのアルファ放射能の危険性、特に内部被曝の特別の危険性を裏付けることになるだろう。さらに劣化ウランの問題は、プルトニウムやウランの内部被曝による被害という点で、セラフィールド、ラ・アーグ等、再処理工場周辺での白血病等の被害、アメリカやオーストラリア、インドなど、ウラン鉱山周辺での被害、人形峠での被害の解明にもつながっていく問題である。

 それだけではない。この問題は、東海臨界事故の被曝影響評価とも結びついている。なぜなら中性子線は、体内を貫通し、その時はねとばされた陽子は、アルファ線と同様の影響を生体に及ぼす。外部被曝であっても、内部被曝と類似の効果を引き起こす。これが中性子線の特徴であるからだ。

8.本パンフレットの目的は、まず第一に劣化ウラン弾による被害の実態を、事実資料や証言に即しながら明らかにすることである。さらに、良心的な医師や科学者、研究者の最新の知見を整理し、人体と環境に対する劣化ウランの恐るべき毒性を科学的に論証することを目指した。なぜならBNFLと関電の犯罪性をより一層リアルな形で暴き、批判するためには、被害の実態とその全体像を明らかにする必要があるからだ。そして被害とそのメカニズムの解明は、低線量被曝の危険性を明らかにする作業の一環でもある。
(1)まず、湾岸戦争帰還兵、イラク現地、ボスニア現地での被害の具体的実態についてまとめた。苦痛を訴える数多くの被害者が現に存在するという事実こそが因果関係の最大の証明である。
(2)次に、アメリカ政府と軍当局が、劣化ウラン弾の危険性を、具体的な形で知悉していたという事実について述べている。被害者と支援団体の調査が明るみに出した軍の報告書がそのことを明らかにした。これこそ、劣化ウランの危険性と被害との因果関係を証明し、彼らの隠蔽工作を暴く動かぬ証拠である。「長期健康リスクが使用継続に対する圧力を生み出すかも知れない」ことを恐れる政府と軍は、劣化ウランの危険性を知りながら、イラクと旧ユーゴ地域にまき散らしたばかりか、自国兵士にすら警告を与えず、防護策を講じず、被曝するにまかせたのである。
(3)劣化ウランによる被曝と人体影響について述べている。
戦場で使用された劣化ウラン弾がどのように環境を汚染し、被曝を引き起こしたのか、そのメカニズムについてまとめた。
水銀やカドミウムと同じ重金属としての強い化学的毒性と、放射能としての毒性という二つの毒性を併せ持ち、この複合した作用を及ぼすという、劣化ウランの毒性の多面的な性格と、二つの毒性の相乗的な作用の可能性について一項取って触れている。
劣化ウランを用いた試験管内での細胞実験とマウスを用いた動物実験が、発ガン、神経系への影響、免疫系への影響、胎児の発生異常といった劣化ウラン被曝に特徴的な症状、人体影響を再現するという最新の知見についてまとめた。基礎研究のレベルではあるが、90年代後半の新たな研究が、劣化ウランの毒性と、被害の因果関係を証明しつつある。
(4)以上を踏まえた上で最後に[?]では、先に少し述べたように、低線量被曝とウランの危険性に関する現在の知見を、被害の実態に即して再構築する必要性があるのではないかという問題を提起し、まとめとした。

9.また、今回の作業の出発点ともなったロザリー・バーテル博士の論文『湾岸戦争帰還兵と劣化ウラン』を翻訳資料として収録した。不溶性のセラミック形態の劣化ウランダストの長期残留性、劣化ウランの化学的毒性と放射能の複合した毒性など、劣化ウランの人体影響の全面的な解明から、ICRPと政府側見解への批判、そして具体的な被曝調査の項目と手法の提起に至るまで、第一線で活躍する専門家であると同時に、反核の闘士としての氏の、私たちが規範とすべき戦闘的姿勢が貫かれた論文である。
 さらに、中国新聞に掲載されたシリーズ『知られざるヒバクシャ-劣化ウラン弾の実態』の嫡要資料を収録した。このシリーズは、被曝者、被害者の貴重な証言をベースに、劣化ウラン弾の非人道性、被害のリアルな実態に迫っている。そして末尾は、劣化ウラン弾製造へのBNFLの関与を証明する資料とその解説である。
 このパンフレットが、原発に反対する運動、被ばくに反対する運動、反核・平和運動の一助になれば幸いです。
2001年4月-チェルノブイリ事故15周年を前にして[後略]

 さて、次なる問題は、この大阪の市民運動が、東京の市民運動と連携しているかどうか、である。以下の検索をした。

全言語のページからたんぽぽ舎"劣化ウラン弾"、美浜の会を検索しました。 約9件中1-5件目 ・検索にかかった時間0.32秒
[後略]

 これを見ると、どうやら、双方は互いに電網宝庫リンクを付けているようであるが、連携は十分ではない。どなたか、アメリカの破落戸の手を、ふんじばるために、まずは、「劣化ウラン・リンク集」でも作って下さらんかな。

 以上。


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