わたしの雑記帳

2012/7/6 学校は「警察ではないから」と調査をせず、警察は少年事件を扱いたがらない

滋賀県大津市のいじめ自殺事件で、大津署が、男子生徒が亡くなったあとに、父親が3回出した被害届の受け取りを拒否したという。

「男子生徒の父親は、複数の同級生から独自に聞き取った暴行の証言と学校の調査結果を基に、生徒が自殺した後の昨年10月に2回、同12月に1回、大津署に出向き、暴行容疑の被害届を提出したいと申し出たという。
しかし、関係者によると、対応した署員は「犯罪としての事実認定ができない」として受理を断ったという。
(2012/7/5京都新聞より)

警察ではない学校でも

子どもが自殺などで亡くなったとき、遺族が調査を依頼しても、学校・教育委員会は「われわれは警察ではないので、取り調べのようなことはできない」と言う。
しかし現実には、学校で器物が破損された、お金がなくなった、カンニングが行われた、教職員の車がいたずらされたなどの時には、誰がやったか調査もするし、子どもたちから聞き取りもする。
教師が怪しいと睨んだら、部屋に連れて行って、数人の教師で取り囲んで刑事ドラマの真似事のような取り調べも行う。


そして、学校が子どもに事情聴取できないかといえば、昭和23年12月22日付け「国家地方警察本部長官・厚生省社会局・文部省学校教育局あて 法務庁法務調査意見長官回答」「児童懲戒権の限界について」のなかで、次のようなやりとりがされている。(一部を抜粋)

第5問
ある児童が学校の施設もしくは備品、または学友の所有にかかる物品を盗み、またこわした場合に、これに対する懲戒として、この者を放課後学校に留め置くことは許されるか。

回 答
盗取、毀損等の行為は刑法上の犯罪にも該当し、従つて刑罰の対象となる得べき行為でもあるが、同時にまた、懲戒の対象となり得べき行為でもある。刑罰は、もちろん、私人がこれを課することはできないが、懲戒を行うことは懲戒権者の権限に属する。故に懲戒のために所問ごとき処置をとることは、懲戒権の範囲を逸脱しないかぎり、さしつかえなく、これについては第1問回答の3、4と同様に解してよい。

第6問
第4・5問のような事故があつた場合に、誰がしたのかをしらべ出すために、容疑者および関係者たる学童を教職員が訊問することは許されるか。また、そのために、放課後これらの者を学校に留め置くことは許されるか。

回 答
1 所問のような、学校内の秩序を破壊する行為があつた場合に、これをそのまま見のがすことなく、行為者を探し出してこれに適度の制裁を課することにより、本人ならびに他の学童を戒めてその道徳心の向上を期することは、それ自体、教育活動の一部であり、従つて、合理的な範囲内においては、当然、教師がこれを行う権限を有している。従つて、教師は所問のような訊問を行つてもさしつかえない。ただし,訊問にあたつて威力を用いたり、自白や供述を強制したりしてはならないことはいうまでもない。そのような行為は、強制捜査権を有する司法機関にさえも禁止されているのであり(憲法第38 条第1項,第36条参照)いわんや教職員にとつてそのような行為が許されると解すべき根拠はないからである。
2 上記のような訊問のために放課後児童を学校に留めることは、それが非行者ないし非行の内容を明らかにするために必要であるかぎり、合理的の範囲内において許される。もつとも、これは懲戒権の行使としてではなく、前記のごとき教育上の目的および秩序維持の目的を達成する手段として許されるのである。どのくらいの時間の留め置きが許されるかは、第1問回答の4に準じて考えられるべきである。


警察は学校問題に介入すべきではないのか

警察は、「民事不介入」といって、学校問題にも首を突っ込みたがらない。
しかしそれは、民事だからというより、少年事件だからであって、面倒なだけで加害者にも大した罰則もなく、警察の手柄にもならないこととも関係していると思われる。
今回、大津署は被害者が自殺していることを理由にしているが、被害者が生きていても、面倒くさがって積極的に取り組もうとしなかったり、被害届を平気でロッカーにしまいこんで処理しないということが各地の警察で行われていたりする。(me031229 参照)
また、加害者が警察官の身内だったり(981008)、柔道関係者だったりすると(041224)、不起訴処分になったり、異例に軽い措置になったりする。

では、警察は学校問題に介入すべきではないのか?
平成7(1995)年には、以下のような文書が出されている。これは、おそらく前年の大河内清輝くんいじめ自殺事件(941127)とその後のいじめ自殺多発したことから、出されたと思われる。

児童・生徒間におけるいじめ問題への対応について

 

平成7.11.9. 警察庁内少発第20号 警察庁生活安全局長から

各地方機関の長、各都道府県警察の長、各方面本部長あて

 

 近年、いじめに起因する少年の自殺や悪質ないじめ事案が続発し少年の健全育成上極めて憂慮すべき事態となっている。特に、近年のいじめは学校外で行われるものや外見上遊びの形をとって行われるものが多く実態把握が困難であること、重大な結果が生じた場合にも加害少年な罪の意識が希薄であることなどの特徴がみられ、学校や家庭のみでは対応が困難な事案が増加しているものと考えられる。こうしたいじめ問題の深刻な現状にかんがみ、下記の事項に留意して適切に対処されたい。

 なお、「児童・生徒間におけるいじめ問題への対応について」(昭和60118日付け警察庁内少発第28)は廃止する。

 

                                       記

 

1. いじめ問題への対応の基本的考え方

 警察は、これまでいじめ問題について家庭、学校、地域社会等が一体となって解決すべきものとしてきたが、学校や家庭のみでの対応が困難ないじめ事案の増加に伴い、従来の対応では被害少年の保護の観点からはもとより加害少年の補導の観点からも不十分なものとなるおそれがでてきた。そこで、犯罪の予防、少年の人権の擁護の職責を有する警察としては、刑事手続きを最大限に活用していじめ事実の真相究明を徹底し、それを通じて得た資料・情報等を関係方面の諸活動の利用に供することなどにより、加害少年に対する責任の追求といじめによる被害の回復及びその拡大防止のために必要な諸対策を継続的に推進するなど被害少年の保護対策の万全を期するものとする。

 

2.いじめ事案の早期把握

 少年相談活動はいじめを認知する重要な機会であることから、その充実に努めるほか、連絡責任者による学校等との連携、ボランティア及び地域住民に対する協力要請等によりいじめ事案の早期把握に努める。

また、補導、家出人の保護等少年事案の処理に当たっては、その背景にいじめが潜在している可能性があることを配慮する。

 

3.積極的かつ的確な事案処理

 いじめ事案を認知した場合は、何らかの犯罪が潜在しているのではないかとの前提の下に積極的に刑事手続きを推進し、それを通じて事態の真相究明に努める。

 いじめ行為が犯罪等に該当する場合には、法の手続きに従って厳正に事案を処理することはもとより、そうでない場合であっても、捜査(調査)活動で得たいじめの原因、実態等に関する情報について、関係者のプライバシーに配慮しつつ、積極的に関係者に提供するなどの配慮をすることにより、いじめの解決対策及び再発防止策を講じる。

 

4.関係少年等に対するフォローアップ

 被害少年に対しては、保護者及び関係機関・団体との連携を図りつつ、当該少年の性格、環境、いじめ被害の原因・背景、ダメージの程度、保護者の監護能力等に応じ、婦人補導員、少年相談専門員によるカウンセリングを継続的に実施するなど、きめ細かなフォローアップを行う。

 

5.いじめのない社会づくり

 パンフレット、広報誌等を活用して、いじめの実態、いじめに起因する事件や自殺の悲惨さ等について活発な広報啓発活動を行い、いじめ対策の必要性を訴える。

 広報に当たっては、警察の基本的立場を明確にし、地域社会の理解と協力が得られるよう配慮する。

 地域の関係機関・団体との連携を強化し、いじめ問題を中心とした非行防止教室を開催するなど、いじめのない地域づくりのための諸対策を推進する。

 



児童生徒の自殺後に警察が捜査した例

実際に、暴力や恐喝の疑いがあれば、児童生徒の自殺後、警察が動く例も少なくない。
(近年は、インターネットの書き込みでも動いてくれる場合もある。相談した警察官にもよるが)
家裁で不処分になったものの、過去には滋賀県のいじめ自殺でも警察は関与している。930618

とくに、自殺の直後であれば、教師や生徒も素直に、警察の事情聴取に対して、自分の知っていることややったことを話すことが多い。
「被害者が亡くなっているから証言がとれない」「証拠がない」ではなく、警察の機動力で、証言、証拠を集めるべきである。初動調査が何より大切なことは言うまでもない。
今回、学校や教育委員会がいじめと自殺との因果関係を否定しているが、初期に警察の関与があれば、隠しきれないと覚悟を決めて、きちんと事実調査し、結果を報告、謝罪と再発防止策に取り組めていたかもしれない。いじめていた子どもたちと同様に、大人たちもまた、隠しきれると思えば嘘をつくし、隠しきれないと思えば真実を話す。

不起訴になれば、その情報を入手することは難しいが(それも、警察の判断による?)、起訴されれば遺族はその内容を情報公開で見ることができ(ただし、これも警察の判断による)、かなりの事実を知ることができるし、民事裁判に使うこともできる。
学校が事後調査とその報告を果そうとしないなかで、警察の事実調査は実効性が高い。

また、学校も家庭も加害者をかばい、きちんと反省するよう指導さえなされないなかで、警察の関与だけが唯一の反省の機会だったりする。


年月日 自殺事案と警察の捜査・ほか 参照
1980/9/16 大阪府高石市立高石中学校の中尾隆彦くん(中1・12)が、同級生や上級生からの暴力や恐喝を苦に、自殺。

高石署は当初、「同級生とプロレスごっこをして殴られから、学校に行くのがいやになったのが原因らしい。気の弱い生徒だったようだ」と発表。遺族が問題の生徒の告白を含む調査結果をまとめて警察に行き、事件を調べ直すよう訴えてから、ようやく捜査に乗り出す。
12/5 調査の結果、「暴行・脅迫の事実があった」と認め、高石中の男子生徒(中1)5人を大阪府堺児童相談所に送致、1人を訓戒処分にした。
800916
1985/12/9 青森県上北郡野辺地町の野辺地中学校の熊沢憲くん(中2・14)が、「死にたい、死にたい、絶対に死んでやる 学校にいえばいったでワ(方言で自分という意)と友だちが仲間と一緒に殴られる。何が何でものろってやる。これから青春したかったのにお前たちのせいで この野郎」と書いた遺書を残して自殺。

警察はいじめていた6人の少年を書類送検。
851014
1986/2/1 東京都中野区立富士見中学校の鹿川裕史(ひろふみ)くん(中2・13)が、「このままじゃ『生きジゴク』になっちゃうよ。」と遺書を残して自殺。

1986/4/2 警察は、生徒16人を書類送検。
1986/2/1 少年A、Bは家裁で、傷害罪・暴力行為等処罰に関する法律違反により、保護観察処分。
860201
1989/12/15 福岡県福岡市東区で、中学校の光安真由美さん(中3・14)が列車に飛び込み自殺。遺体からは、殴られた跡とみられる多数のあざが見つかった。
遺書には同級生数人の名前をあげて「学校で殴られたり、いじめられた 体が痛い」「死にたい」「22日までに十万円を用意しろといわれた」「おじいさんの財布から1万3千円を抜き取りました。ご免なさい」など書いてあった。


1990/2/4 警察は同級生5人を書類送検。
891215
1993/6/18 滋賀県伊香保郡高月町の町立高月中学校吉内庄司くん(中3・14)が自宅2階の物置で自殺。
町教委は当初、「生徒間トラブルでいじめではなかった」と県教委に報告していたが、報道で事件が明らかになった結果、「いじめはあった」とする報告を提出。


庄司くんの自殺後、警察は同級生(中3)を殴ったなどとして、暴行・傷害容疑で書類送検。
1993/10/ 大津家裁で「不処分」の審判。

930618
1994/5/29 岡山県総社市で、組合立の総社東中学校の菅野明雄くん(中3・14)が、同級生5人の名前と、暴行の様子、家から持ち出した金の使い道を欠いたメモを残して、自殺。

同級生8人を暴行・恐喝の疑いで、家裁に送致。
1994/11/21 岡山家裁は、いじめと自殺の関係を認定し、7人を短期保護観察処分。1人を不処分。
処遇理由として、「被害者の自殺は、長期間にわたる多数からのいじめがその要因になっているものの、そのほかにも被害者に対する家庭の対応の仕方、被害者の性格、学校の教育のあり方など種々の事柄が原因をなしていること、また少年らは多数の弱い者いじめの行動に無分別に同調し他人に対する思いやりを欠いてはいたが、いずれもこれまで処分歴もなく非行性もさして高くないことなど」が考慮された。
940529
1994/6/3 愛知県安城市の県立高校の男子生徒Aくん(高1・15)が、飛び降り自殺。
「中学時代の同級生にたかられたり、殴られた。いやになった」「いじめに遭い、死にたい。毎日が地獄のようだ」などと書いたノートが自宅で見つかる。3人の名前があげられていた。

愛知県警は、暴行と5500円を脅し取った疑いで3人を書類送検。
1995/3/29 名古屋家裁岡崎支部は、3人を恐喝罪により短期保護観察処分。
3人が真面目に学校生活を送っていること、遺族との示談が成立していることを考慮。
940603
1994/11/27 愛知県西尾市立東部中学校の大河内清輝くん(中2・13)が、暴行や恐喝などいじめの詳しい内容を書いた遺書を残して自殺。

1995/2/10 愛知県警と西尾署は、男子生徒11人の内4人(中2・14)を恐喝の疑いで書類送検。恐喝に積極的でなかった7人は補導にとどめた。
4/4 同級生3人を初等少年院(2人は長期、1人は短期)、1人を教護院(現・自立支援施設)に送致
※長期少年院送致の平均在院期間は約1年、短期は約5カ月。(「いじめ問題ハンドブック」/日本弁護士連合会)
名古屋家裁岡崎支部の裁判官は、「4人は、事件の重大さにしおれ切っている。が、長期間にわたる暴行やいやがらせを執拗に繰り返していた点を総合的に考慮した」「長い間、清輝君の苦しみに気が付かなかった重みを受け止めて欲しい」と述べたという。

家庭裁判所に対する送致事実は、原付自転車の窃盗と7件の恐喝。
恐喝の内訳は、主犯格のAが7件で44920円、共犯のBが2件で7700円、Cが1件で12500円、Dが1件で10000円。(恐喝は6カ月でおよそ120万円あると思われるが、裏付け証拠が十分でなかったため送致事実は7件にとどめたとされる。矢作川での事件は、かかわった生徒たち一人ひとりの認識や行為の特定が困難なことから暴行容疑の立件ができない)

少年院送致処分となった3人の内1人の付添人は処分を不服として抗告。
名古屋高等裁判所は抗告棄却。

941127
1995/4/16 福岡県豊前(ぶぜん)市で、市立角田(すだ)中学校の的場大輔くん(中2・13)が、暴力をふるった上級生5人と同級生4人の名前やいじめの詳細を書いたメモを残して、自殺。

バスケット部の先輩で主犯格のE(中3・14)のみを書類送検・保護観察処分(1999年春まで)。
ほかの生徒は、犯罪行為とするほどの違法性はなかったとの判断で書類送検されず、その他一切処分な
し。
950416
1995/11/27 新潟県上越市の春日中学校の伊藤準(ひさし)くん(中1、13)が自殺。
「生きているのがこわいのです。あいつらは僕の人生そのものをうばっていきました。」と遺書を書き残していた。


1996/1/29 上越南警察署は本件を調査し、いじめの事実が確認されたこと並びにいじめが自殺の要因であったとの見解を発表。遺書に名前のあった5人のうち2人と、遺書に記載はないがいじめに関与した生徒の計3人を補導処分にした。(13歳以下は、犯罪としての事件処理はできない)
951127
1996/1/22 福岡県三瀦(みづま)郡の城島町立城島中学校の大沢秀猛(ひでたけ)くん(中3・15)が、自殺。「うでをおるぞと言われた」「またお金をようきゅうされた しかしそのお金がないので死にます。」等と書かれた遺書があった。

1996/3 県警は、「遺書の内容はほぼ事実だった」として、同級生男子生徒DE(共に15)の2人を恐喝容疑で書類送検。
Bをはじめ、入学当初から殴られ続けていたと書かれていた生徒については、「古い話で生徒の記憶もあいまい。事実確認が難しい」として立件を見送った。

1996/7 福岡家裁久留米支部は、「2人が自殺直前の約3カ月間に大沢君から十数回にわたり現金計約30万円を脅し取っていた」「執拗にいじめ、恐喝した態様は悪質で、自殺という取り返すことのできない重大な結果を生じた」としながらも、「2人とも高校へ進学し、示談への話し合いも始まっている」として、保護観察処分にした。
(DE2人の両親とは示談成立)。
960122
1996/9/18 鹿児島県知覧町立知覧中学校の村方勝己くん(中3・14)が、近所の公民館の外壁の非常用梯子に、自分の布製ベルトをかけて首吊り自殺。「死ねばいじめは解決する」との遺書を残していた。

1996/9/22 知覧署が、遺書に名指しされた生徒らを事情聴取。
10/25 少年事件として取りあげられ、少年6人を暴行容疑で書類送検。
1997/3/17 4人が保護観察処分。他2人は不処分。
960918
1997/4/13 静岡県駿東郡御殿場市の私立高校の男子生徒(高2・16)が、中学時代の同級生2人(17)に恐喝や暴行され自宅で首吊り自殺。

1997/5/7 沼津署が、少年2人を恐喝と傷害容疑で逮捕。
静岡家裁沼津支部は、2人を中等少年院送致を決定。
970413
1998/3/20 千葉県成田市立遠山中学校の鈴木善幸くん(中2・14)が、先輩からの現金恐喝を苦に、自宅敷地内の倉庫で首吊り自殺。「せんぱいにおどされ、8万円払った。そしてあと4万円がはらえない。ぼこぼこにされるなら死んだほうがましだ」などと書いた遺書を残していた。

1998/3/25 在校生を使って恐喝行為をしていた卒業生の無職・少年A(17)を恐喝未遂と傷害、強要の容疑で逮捕。男子生徒B(中2・14)を任意で取り調べ。
1998/5/8 千葉家裁で飯島敬子裁判官は、「生活費や遊興費を得るために中学の後輩を脅すなど非行態様は悪質、執拗(しつよう)」「他者の気持ちを考える力を身につけさせることで、更正を図る必要がある」として、Aを中等少年院送致の保護処分に決定。
980320
1998/7/ 広島県立沼南高校の金高(きんたか)慎くん(高1・16)が、同級生ら7人からの度重なる暴行を苦に自殺。

暴行した男子同級生2人を少年院に送致。
1998/8/6 新潟県岩船郡朝日村の朝日中学校の男子生徒Aくん(中2・13)が自殺。
男子生徒は同級生から暴力的ないじめを受けていた。保護者同士が話し合い、クラス内のいじめは沈静化したが、部活で陰湿ないじめが続いていた。

1999/7/ いじめた同級生のうち2人が暴行容疑で家裁新発田支部に書類送致され、1人が不処分、1人が試験観察処分。
2000/ いじめた側の生徒3人の親と話し合い、それぞれが和解金を支払って示談になった。
980806
1998/12/26 福岡県飯塚市内の私立飯塚高校の古賀洵作(しゅんさく)くん(高2・16)が、同級生に60万円要求され、自殺。

同級生6人を恐喝未遂等で中等少年院に送致。
981226
1999/7/6 愛知県岡崎市で、中学校の男子生徒(中2・13)が自殺。
周囲に「(仲間に)殺されてしまう」と冗談まじりに話していた。

8/3 男子生徒に盗みを強要したり、自殺の前日(7/5)に集団暴行をしていた少年2人(中3・14)(中3・15)を逮捕。暴行に加わった容疑で、少年2人を書類送検、少年1人(中2・13)を児童相談所に通告。
 
1999/11/8 千葉県山武郡の高校の男子生徒(高3・18)が首吊り自殺。
家族にあてた遺書に、同級生の名前をあげて「お金を払う事にもうたえられませんでした」「十万円借りがあり、二万円払ったのですが、残り八万円を返しといてください。ちなみに、おどしとられていました」と書かれていた。

11/24 同級生の男子生徒(高3・18)を暴行と恐喝容疑で逮捕。
 
1999/11/26 栃木県鹿沼市立北犬飼中学校の臼井丈人くん(中3・15)が、自宅の押入の取っ手にタオルをかけて首吊り自殺。同級生2人に下着を無理矢理ぬがされたり、「肩パンチ」というゲームにかこつけて肩を殴られたりしていた。

県警は元同級生の男子生徒(15)2人を暴行容疑で宇都宮地検に書類送検。
2000/11/ 宇都宮家裁は、いじめと自殺の関連については判断を留保し、2人を暴行の非行事実で保護観察処分。
991126
2000/4/28 福岡県太宰府市の高校の男子生徒(高2)が自宅の納屋で首吊り自殺。

6/14 2月から5月まで、この生徒を含む知り合いの高校生3人を自宅や公園などに呼びだして殴るけるの暴行を加え現金30万円を恐喝していた容疑で、私立高校の男子生徒(高2・16-18)4人と県立高定時制の男子生徒(高2・18)を逮捕。
 
2000/7/26 埼玉県川口市立中学校の大野悟くん(中1・13)が、自宅2階の納戸にあったスチール製の棚にズボンのベルトをかけ首吊り自殺。自殺の前日、電話のメモ用紙に生徒が書いたと見られる「HELP」という文字を家族が見ていた。

川口署は、暴力などのいじめを繰り返していた(常習暴力)とし、同級生9人を県浦和児童相談所に通告。(9人は14歳未満で、刑法の適用を受けない)
8/4 川口署はいじめをしたとされる同級生8人を順番に、保護者同伴で事情聴取。
10/4 同署は、同級生男子9人(中1・13)を児童福祉法に基づき、県浦和児童相談所へ通告。
いじめと自殺との因果関係については触れられていない。 
000726
2000/10/11 福岡県北九州市小倉南区の中学校の男子生徒(中3・15)が、恐喝を苦に、「僕はもう疲れました」などと遺書を残して、自宅で自殺。

警察は、同区内の会社員(19)、専門学校生(19)、アルバイト店員(15)、無職少年を含む9人(15-19)を暴行や恐喝容疑で逮捕。
 
2006/10/11 福岡県筑前町の町立三輪中学校の森啓祐くん(中2・13)が、自宅納屋で首吊り自殺。「いじめられてもう生きていけない」「いじめが原因です。さようなら」などと書いた遺書があった。中学1年生のときの担任教師から「偽善者」などと言われていたことが発覚。

2007/2/ 啓祐くんを羽交い絞めにしてズボンを脱がそうとした5人の生徒について、「いじめの中心グループではなが、いたずらの3限度を超えた」暴力行為処罰法違反(共同暴行)の容疑で、14歳だった3人を福岡知見に書類送検。13歳だった2人を児童相談所に通告。
2007/6/18 「3人は内省を深めており、再飛行の危険性は減退した」として、不処分の決定。
13歳だった2人については、反省の気持ちをつづった誓約書を受け取って、指導を終了。
061011
2006/11/12 埼玉県本庄市で、市立本庄東中学校の男子生徒Aくん(中3・14)が、別のクラスの生徒らに金銭要求されたことなどを苦に、自殺。

2007/3/ 加害生徒を男子生徒らに対する恐喝未遂容疑で書類送検。
2007/6/ さいたま家裁熊谷支部は、加害生徒を保護処分にする。
0611121
2007/7/3 兵庫県神戸市須磨区の私立滝川高校で、男子生徒(高3・18)が、校舎から飛び降り自殺。ズボンのポケットに「金を要求されたが払えない。成績も下がり、死ぬしかない」などと記したメモが残っていた。
男子生徒は2年生の頃から、同級生グループ内で仲間の食料を買いに行かされたり、全員の飲食代を支払わされたり、日常的に嫌がらせを受けていたという。

同級生の男子生徒ら4人が家裁送致される。
2007/9/ 恐喝未遂容疑で逮捕される。
12/4 神戸家裁は、恐喝と脅迫の非行事実で少年審判を開き、Bを中等少年院送致とする保護処分を決定。
2007/9/25 同級生の男子生徒2人(高3・17・18)を恐喝未遂容疑で逮捕。
2008/3/10 残り3人を保護観察処分とする。
0707031
2007/10/31 岡山県岡山市の女子生徒(中3・14)がJR山陽線で列車に飛び込み自殺。
9月中旬、女子生徒が開設していたインターネットの掲示板に、「それこそ嫌われ物間違いなしね もう既に嫌われ物かッ」などの内容が書き込まれていた。

12/ 母親がサイトの書き込みを発見し、容疑者不詳のまま告訴。
2008/2/28 同級生(中3)を侮辱の非行事実で岡山家裁に書類送致。
 
2007/11/16 岡山県岡山市の公立中学校出身の私立高校の男子生徒(高1・16)が自殺。
遺書にいじめに関する記述はなかったが、ほぼ全身に多数のあざがあった。


2007/11/19 中学校時代の先輩で、土木作業員の少年(18)と、自殺した生徒と同じ私立高校に通う男子生徒(高2・16)が、後輩ら3人を河川敷に呼び出し暴行を加えたとして傷害容疑で逮捕。自殺した男子生徒も暴行などの被害にあっていた。
 
2008/2/6 北海道芽室町の私立白樺学園高校の男子トイレで、男子生徒(高1・17)が首吊り自殺。
男子生徒は2006/5/頃から2年生3人に殴られるなど暴行を受け、教師らが指導した。2007/1/末には校外の少年に金をせびられたとして、母親が担任教師に相談していた。


警察は男子生徒の遊び仲間の板金工の少年(17)と無職少年(16)を傷害容疑で逮捕。「最初は冗談でやっていたことがエスカレートしてしまった」と話した。
自殺の2日前に、無職少年の部屋で男子生徒に「耳のピアスの穴が小さい。大きくしてやる」と言って、ピアス用の器具を入れて無理やり広げた疑い。また、飲酒を強要していたことも判明。
 
2010/6/7 神奈川県川崎市多摩区の市立中学校の篠原真矢(まさや)くん(中3・14)が、自宅トイレで硫化水素自殺。
遺書に「死ぬことについてごめんなさい。友達をいじめから助けられなかった。14年間生きていて楽しかった」などと、4人の実名をあけて男子グループのいじめを告発していた。


2010/8/25、神奈川県警は今年2月に教室でズボンやパンツを無理やり脱がすなどの暴力行為法違反の疑いで3人を書類送検。1人(2月時点で13歳)を児童相談所に通告。
4人は、いじめた側として遺書に実名が挙げられていた。
2011/3/3 横浜家裁川崎支部(大伴慎吾裁判官)は、送致された同級生の男子生徒3人を保護観察処分に決定。 処遇期間は通常の1年程度より短い「一般短期」とし、約半年間、保護観察官らと面談し、指導を受ける。
大伴裁判官は決定理由について「総合的に考慮して3人が更生できると判断した」と説明。
 


警察と学校との連携が言われるようになって久しいが、日頃の交流が逆作用して、一緒になって隠ぺいするようでは、困る。検証できるシステムと周囲の関心が必要だ。

警察には、放置されてしまう可能性のある「被害届」ではなく、調査の義務が発生する「告訴状」を出すように、私は被害者には勧めている。
ただし、刑事告訴するには、何年、何月、何日、何事頃、誰が、どこで、誰に、どうされたなどの具体的な事実が必要。
すべてではなくとも、まずはつかんでいる事実をもとに、動いてもらう方法もある。
警察は、被害届と告訴状の違いを教えてくれないことが多いと聞く。
最寄りの警察でだめなら、ほかの部署に相談してみるのも方法。結局、最初に誰が相談を受けたかの運・不運もある。
学校だけでなく、警察とのやりとりも、しっかり記録に残しておこう。


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