木村愛二の生活と意見 2000年12月 から分離

真珠湾謀略判明で右が浮かれ左が黙る阿呆天国日本に怒りの原点は食い物の恨み

2000.12.14(木)(2019.6.19分離)

 2000.12.22.訂正。最初は「飯の恨み」と記したが、どうも座りが悪い。その後、突然、ああ、「飯」ではなくて、「食い物」だったと、この下品な言葉を思い出したので、素性が知れるのも恐れず、慎んで訂正する。もっとも、「飯」の方も、決して上品な言葉ではないのだろうが、この場合は、むしろ、下からドドッと、恨みつらみを低音の「食い物の恨みは恐ろしいぞ!」に込める方が効果的であろう。その他、ついでに細部の字句訂正をしたが、主旨に変更は無いので、挨拶は省く。

 このところ、『正論』『諸君!』『サピオ』など、いわゆる右の雑誌に、真珠湾攻撃の誘い込み謀略が判明したとの記事が氾濫している。ところが左は沈黙している。馬鹿な話だ。真珠湾攻撃は、1941年12月8日、1937年1月17日生まれの私が4歳11ヵ月未満の頃に起き、来年で60周年を迎える事件である。アメリカで当時の真珠湾の軍司令官の名誉回復がなされたなど、ようやく、極秘情報も公開される時期になったようである。しかし、すべては歴史の細部に過ぎないのである。どうせ細部ならば、私には、もっとずっと細くて、わが身に起きた事実の方が重要である。そこが私の視点の置き場所なのである。

「戦争などによる食料難が影響」した世代の悲憤

 というのは、この問題でも一言せねばと思いつつ、多事多端の折、『日本経済新聞』(2000.12.14)の「文部省調査」による記事、「17歳男子/100年間で12.9センチ背高く」に、以下のグラフが出現した。1950年までにガックリと身長が低くなった日本人男子、1950年には早生まれの私は、まだ13歳だったのだが、14歳男子とは、中学校での同学年か1年上の学年なのだ。少なくとも近似値だし、私は特に背が低かった。ウ、ウッ、畜生!

 これこそが、わが人生の腹の底からの怒りの原点なのだ。御年8歳の砌、中国は北京からの引き揚げ者の子供と致しましては、君、知るや、南の国ではない。アメリカの馬の餌だったトウモロコシの粉を溶いた収容所の飯のまずさよ。君、知るや、薩摩芋の種芋まで食ったことがあるか。ああ、あの臭さ。君、知るや、時折、教室中に広がった芋っ屁の臭さ。その上に、君、知るや、現人神と崇めさせておいて、奇妙な発音でケロケロと人間宣言しくさった天皇の野郎は、戦争中も、フランス料理を食っとったと知った時の、ああ、あの怒り。ああ、食い物の恨みは恐ろしいのだ!

「一週間以内に日本軍が真珠湾を攻撃する」と記した手紙

 ここで私は、上記の雑誌に記された重箱の隅ほじくり情報を、繰り返しはしない。真珠湾攻撃は、アメリカが石油をネタに使った謀略の結果であることなどは、細部は分からずとも先刻承知のことである。1992年発表の拙著『湾岸報道に偽りあり』でも明記した。

 ところが、上記の雑誌を斜め読みしたところ、私が、米軍放送傍受で得た逸話が、載っていないようなので、それだけを記す。

 アメリカで『黄金時代』(The Golden Age)と題する本が出ているらしく、その著者との対話が放送された。本の訳出の情報は得ていないが、題名は、どうやら、皮肉を利かせたものらしい。アメリカが孤立主義を標榜しながら対外侵略を続けてきたことへの批判のようである。その放送によると、民主党のローズヴェルト大統領は、共和党の有力者に、「一週間以内に日本軍が真珠湾を攻撃する」との予告の手紙を出していた。インタヴュアーは、ローズヴェルトが、真珠湾の司令官には予告していなかったという事実を、念を押して確認した。軍の最高指揮官でもあるローズヴェルトは、多数の部下が攻撃で死ぬことを知りつつ、日本軍が釣針の餌に食い付くのを待っていたのだ。

 私は、この手紙を、最も重要で決定的な物的証拠と評価する。ヒトラーと同様にラディオ放送による世論操作に長けていたローズヴェルトのことだから、おそらく、議会での有名な「汚辱の日」の演説の草稿も、早くから練りに練っていたのであろう。その演説によって野党の共和党の賛同をも獲得し、挙国一致で、対日、実は対独が主眼の参戦世論を形成することが、ローズヴェルト、もしくはその背後の財界の念願だったに違いない。

日本の軍部・天皇制官僚・財界の阿呆さ加減の追加情報

 アメリカが常に謀略を操る国だということは常識中の常識である。今回の新情報でさらに明確になったのは、むしろ、日本の方のお粗末さの程度の酷さである。真珠湾攻撃の計画が漏れていたこと、艦隊の並び大名の将軍たちが恐怖に駆られて無電封鎖を破っていたこと、軍の暗号無線もすべて解読されていたこと、などなどの実に実に、お粗末極まる実情であった。

 私は早くから、子供の頃に軍神と教え込まれた山本五十六の深層心理について、自説を語ってきた。日本海での日露の海戦の英雄、東郷元帥に憧れ、自分も戦史に名を残したいばっかりに、真珠湾攻撃の狂気の計画を立てたに違いないのである。こんな真相は、明らかになればなるほど、阿呆な右翼の不名誉が増すばかりなのに、やっぱりか、などと喜んでいる馬鹿な右翼が多い。煽って稼ぐメディアも、メディアで、実に、こすからい。その一方で、この最大の矛盾に気付かず、ただただ沈黙を守っているだけの左翼も、同程度の阿呆揃いである。

ああ、ああ、同じ阿呆なら、踊らにゃ損、損。

 偉い奴っちゃ、偉い奴っちゃ、よい、よい、よい、よい。

 ともかく、覚えておれ。食い物の恨みは恐ろしいのだ!