「ガス室」裁判を歴史的勝利で終結

 1999年2月16日、2年前に提訴した名誉毀損・損害賠償請求事件の判決が出た。

 まず冒頭に基本的な評価を記す。私は、この判決を「歴史的勝利」と位置付け、終結を宣言する。

『週刊金曜日』の記事を「名誉毀損」とする「損害賠償請求」を「いずれも棄却する」という主文なので、形式的には敗訴であるが、「ガス室」問題、もしくは政治的シオニストのパレスチナ侵略のための謀略をめぐる国際的な状況から見れば、画期的な勝利と言っても過言ではない。

 歴史的勝利として位置付ける最大の理由は、「裁判所の判断」の冒頭の「基本的な考え方」が、つぎのようになっているからである。

「このような『歴史解釈』をめぐる論争は、我が国の法体系の下においては、本来見解が対立する者同士の自由な議論に任せられるべき分野の問題であって、法が濫に介入すべきものではない」

 日本国内だけで考えれば、これは明らかに「逃げ」ではあるが、裁判所たるもの、何の理由も示さずに逃げるわけにはいかない。一応の理屈をこねると、必然的に、こうなってしまうのである。ところが、どっこい、国際的な状況かすれば、この理屈を明文化させたことが、大変な勝利なのである。だから、急いで英語版を作って送る用意をする。ホロコーストに関する言論弾圧法が存在するドイツ、フランス、オーストリア、スイスなどを始め、特に国益が掛かるイスラエルなどは、「ジャップ奴、裏切りやがったな」とでも言い出し兼ねない判決なのである。

 私は昨年の1月、パリ地裁で、拙訳『偽イスラエル政治神話』の原著者、ロジェ・ガロディらが被告の刑事裁判を傍聴してきた。被告側の主張の基本は、被告を有罪として告発するゲーソ・ファビウス法がフランスの歴史と憲法に違反する悪法だということだった。もしも、上記の日本の裁判所の「基本的な考え方」を援用することができれば、被告は無罪、ゲーソ・ファビウス法は憲法違反で廃止となるのである。

 とりあえず概略のみを紹介すると、裁判所の執筆による本文が全部で206頁、1頁に11行、1行33字である。単純計算では、7万4千778文字が入るスペースであり、400字詰め原稿用紙で186頁の計算になる。206頁の内、双方の主張の紹介が118頁までである。残りの88頁が「裁判所の判断」の部分となっている。そこで、裁判所はまず、言論事件の最高裁判例に添った論理を展開している。この最高裁判例の要点は、すでに本誌の「連載:本多勝一『噂の真相』同時進行版」で紹介した。

 だが、こう長くなると、ワープロで入力する気にはなれない。もともと、こういうこともあろうかと、裁判所の広報課に押しかけて、「フロッピー」の交換、E-mail、ホームページ発表を急げと要求していたのだが、念のために書記官に確認すると、現場には、そういう意見さえまだ届いていない。仕方がないので、本誌の今週号を入力してから、まずは、懸案のスキャナーによる文字読取りを勉強し、次号に向けて詳しい論評を準備する。

 全文を紹介した上で論じたいので、今回は、以上の要点だけを指摘するに止める。

 なお、上記の国際的な状況からすれば、実に些細なことだが、この間、「共同不法行為」の主犯、本多勝一については、別途の本誌連載等で明らかなように、一挙に化けの皮が剥がれており、岩瀬達哉が訴えた名誉毀損事件が追撃している。私は、自分の位置を、源平合戦における木曽義仲の挙兵にたとえている。義仲も義経も、頼朝に討たれ、頼朝の子らは北条一族に主導権を奪われるのであるが、私の場合は、討たれる心配はない。

 以上。


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