連載:シオニスト『ガス室』謀略の周辺事態 (14-3)
「ガス室」裁判 判決全文 3

1997.4.18. 提訴
平成9年(ワ)7639号 名誉毀損・損害賠償請求事件

判決全文 3 被告金子の主張 被告会社の主張

読みやすくするため、文字の色・大きさ等を変えています。

事実(続き)

第二 事案の概要(続き)

二:被告金子の主張

1 ナチスのユダヤ人の迫害・殲滅の事実は、戦後ニュールンベルグの国際軍事裁判所において人道に対する罪として裁かれ、その規模及び組織性において人類史上未曾有の非人道の記録となった。明らかにされた残虐な事実は国際社会に大きな衝撃を与え、ニュールンベルグ裁判条例によって認められた諸原則が国際法上の犯罪として処罰されることを確認する決議が国連においてなされたばかりか、ジェノサイド条約(1948年「ジェノサイドの防止及び処罰に関する条約」)の採択や国際人道法の改定(1949年ジュネーブ条約)、さらには「戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用条約」(1968年)などに結実し、これらの国際規範の前提をなす歴史的事実となっている。

  中でも、アウシュヴィッツ収容所におけるガス殺は、象徴的事実とされている。アウシュヴィッツにおけるユダヤ人殺害は、ニュールンベルグ裁判で裁かれたのみでなく、ドイツ国内裁判所においても、繰り返し様々な記録が厳密に検討され裏付けられた。これを受けて、ドイツ(西ドイツ)では、1985年の第21次刑法改正により、ナチ支配下で行われた犯罪を否定することは被害者に対する侮辱罪として処罰されることになった(刑法194条)。さらに、ドイツ統一後の1994年には、ユダヤ民族殺戮(ホロコースト)の否定や矮小化が民衆煽動罪と構成されることになった(刑法131条3項)。なお、同様の行為は、オーストリアにおいても処罰される(1992年「ナチス禁止法」の追加条項)。これらは単にドイツなどの国内秩序だけでなく、その趣旨は既に国際公序となっていると解される。

  しかし、一方で反ユダヤ主義と同様にユダヤ人に対する迫害・殲滅の歴史的事実を否定したり、矮小化したりする試みは、戦後の国際社会に根強く残存していたことも事実である。これらの言説者は「修正派」と呼ばれているが、平成7年1 月に発行された雑誌「マルコポーロ」2月号に掲載された西岡昌紀の「戦後世界史最大のタブー。ナチ『ガス室』はなかった」と題する記事は、欧米の「修正派」の議論が日本にまで及んだものとして内外に大きな反響を呼んだ。この記事は、明らかにアウシュヴイッツ収容所の解放50周年を意識して発表されたものであり、抗議を受けた出版社は、右「マルコポーロ」誌の廃刊を余儀なくされた。

2 原告の著書である「アウシュヴイッツの争点」は、前記西岡の記事のまさに続編ともいうべきものである。原告は、西岡の記事については、「発表場所」や「政治的スタンス」の不明確さを批判しながら、「マルコポーロ」廃刊に至った内外の反響を十分承知して、西岡から提供を受けた資料によりつつ、必ず物議をかもしだすと予期して本書の発行に及んだものである。単に、問題提起とするには本件は余りに重大であり、ユダヤ人被害者の人格や名誉に対する配慮の観点が欠落しているといわざるを得ない。ドイツやオーストリアなどの国内問題に止まらず、現代社会が負うべき歴史事実を真っ向から否定し、被害著を侮辱する言説を敢えて挑戦的かつセンセーショナルに公表する以上、厳しい批判に晒されるのは当然のことである。このような主題をめぐる論争にあっては、勇気ある反論者の存在が社会的に有用である。論争は激烈かつ辛辣になされなければならないが、これはまた原告自身が予期したことでもあり、一知半解の言説が流布されることが及ぼす害悪の危険性を考えれば、容赦する必要は全くない。

  原告が本件において問題にする被告金子の反論文は、それを通読吟味すればおのずから明らかなように、その内容は、極めて真摯かつ学問的であって、論争の態様も控え目すぎるほどのものである。論争が可能になるのは、脈絡を離れた言葉の綾ではなく、核心の論点を維持することである。被告金子の論評は、本件のごとき事項の重大性を考慮すれば、公正な論評として法的保護に値する。

三:被告会社の主張

 原告は、本誌に掲載された原告に対する表現が原告の名誉を毀損していると主張するが、これらは、いずれも原告の著作に対する批判として、あるいは批判の中で述べられたものであって、社会的相当性の範囲内に属するか、あるいは正当な理由がある表現であるから、原告の非難は全く当たらない。仮に、原告が主張するように原告の掲記する表現が名誉毀損を構成するというのであれば、評論に対する批判・論評すら封殺されることになり、表現の自由は、まさに画に描いた餅に過ぎないことになろう。

 本件は、言論の場で言論をとおして処理されるべき間題である。まして本誌は、原告も認めているように、論争することを標榜して創刊されたものであるから、ときに筆者の表現がいささか激烈になることもあるとしても、これらは「投書」欄や「論争」欄などにおける応酬の中で解消されるべきものである。

 以上。


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