『電波メディアの神話』(7-5)

第三部 マルチメディアの「仮想経済空間
(バーチャル・エコノミー)」

電網木村書店 Web無料公開 2005.4.15

第七章 日米会談決裂の陰にひそむ国際電波通信謀略 5

異例の世論調査、実は世論操作を実施した郵政省

 郵政省が直接「有線化」問題にかかわったことが明白な物的証拠は、昨年末におこない、電気通信審議会に結果を提出したインタヴューの報告書である。私の手元には『情報通信基盤の整備に関するインタビュー結果概要(要旨)』と題するA4版で二五頁の冊子がある。これを手渡してくれた郵政省の若い担当官に「こんなことやったのははじめてでしょ」と聞くと、遠慮がちに「ええ」とうなずいた。

 「郵政省本省の課長などと各地方電気通信監理局の局長らが直接訪問、意見を聞いた」(電波新聞94・1・18)という異例の熱心さで、「昨年十月から十二月まで全国の有識者および企業、地方公共団体等のトップ三七二人にインタビューを実施」したのだ。この種の直接訪問では質問者による誘導がおこなわれる可能性がたかい。私の考えでは、この場合はとくに「世論調査」というよりも「世論操作」のためのネタづくりと断定すべきである。ともかくその結果たとえば(光ファイバ網整備の)「コスト負担の方法」という質問にたいしては、「『原則として受益者負担』が全体の半数。ただしこのうち『公的助成も必要』と留保する意見が約三分の二。『公的負担』は全体の半数弱」と発表されている。

 現在、銅線のケイブルによるCATV加入契約料の相場は約五万円、工事費が約三万円、合計約八万円といったところ。今後は「最新型のマルチメディア機器も」となるのが目にみえている。ほとんどの家庭では子供からせがまれるだろう。マルチメディアで一番市場化がすすんでいるのはゲームだからだ。


(6)初夢の正体見たり「携帯電話用」電波ジャック