┃憎まれ愚痴入口木村書店戻る┃  第4章┃1┃

詳細目次
はしがき
序章
第1部:解放50年式典が分裂した背景
  第1章
  第2章
第2部/冷戦構造のはざまで〜米ソ賛成、アラブ総反対のパレスチナ分割決議の背景〜
  第3章
  第4章
第3部:隠れていた核心的争点
  第5章
  第6章
第4部:マスメディア報道の裏側〜無意識の誤解からテロによる言論封殺まで〜
  第7章
  第8章
終章:核心的真実〜または人類史の最後にしてほしい情報操作の本音の真相〜


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『アウシュヴィッツの争点』
ユダヤ民族3000年の悲劇の歴史を真に解決させるために
(31)
第2部 冷戦構造のはざまで
〜〜米ソ賛成、アラブ総反対のパレスチナ分割決議の背景〜〜
第4章:イスラエル・コネクションの歴史的構造 1/9

『週ポ』Bashing反撃)

パレスチナ分割決議を強行採決した国連「東西対立」のはざま

「南京大虐殺」と「ホロコースト」の具体的な相違点の第一は、「ホロコースト」物語がはたしてきた国際政治における歴史的役割である。
 表現をかえると、この「情報操作」には「目的」があったのだ。すでに「はしがき」でも簡単に指摘したが、「情報操作」という手間のかかる作戦を「目的」または「動機」なしにおこなうはずはないのである。さらには、この「目的」または「動機」の可能性を解明してみることによって、「アウシュヴィッツの嘘」発言処罰法制定の真の目的と政治的性格があきらかになるかもしれない。
 ネオナチが便乗して騒ぐのをやめさせるのが本当の目的ならば、そのためにもっとも有効な方法は、積極的に真相を究明することである。そうすれば、ネオナチの言い分がなくなる。「ホロコースト」物語の真相があきらかになっただけで、ナチ党が犯した数々の暴力犯罪、政治犯罪、戦争犯罪が消えてしまうわけではない。
 真相をかくす「刑罰による発言禁止」をつづけていけば、ひそかに真相を知った若者は不満の吐け口をネオナチにもとめる。むしろ、ネオナチへの幻想をたちきり、ネオナチを封じこめるためにこそ、すべての真相をあきらかにすべきなのだ。
 どうしてそうしないのか。もしかすると、「刑罰による発言禁止」の根源が、イスラエルを建国したシオニスト神話の維持にあるからではないのだろうか。
 イスラエルという国家は、「はしがき」でも若干ふれたように、現地のアラブ諸国こぞっての反対をおしきって採択された国連決議によって建国されている。国家としての存立基盤が不確かなのだ。一九四七年にパレスチナ分割を決議したさいの票決は、賛成三三(アメリカとソ連をふくむ)、反対一三(全アラブ諸国をふくむ)、棄権一〇(それまでの委任統治国イギリスをふくむ)というきわどい結果だった。
 そのうえに決定的な問題点がある。それは「賛成三三」のなかにソ連がくわわっていたこと、つまりは「米ソ協調」だったということである。ソ連やアラブの王族の思惑については複雑な経過があるようだが、ともかく以後、国際的な社会主義運動の中でも、パレスチナ人は「世界の孤児」のあつかいをうけてきた。これはおおくの日本人が見落としがちな問題点なのだが、パレスチナ人は、「東西対決」の冷戦時代の間、どちらにも所属しない「はざまの存在」だった。
 この「はざまの存在」という問題点は、ドイツの一般庶民にも共通して作用している。東西冷戦時代、東ドイツを従属化していたソ連も、西ドイツを従属化していたアメリカも、ともに「ホロコースト」物語を維持してきた。そして現在の統一ドイツは、その両者を引きつぐ形で、「ホロコースト」物語を維持し、同時にパレスチナ分割決議を支持しているのである。
 パレスチナ分割決議は、内容そのものも、当時の人口比率で約三分の一、国土の七%しか所有していなかったイスラエル側に約五六・四%の土地を配分するなど、問題点だらけだった。
 もともとパレスチナ地方に住んでいたユダヤ教徒の人口比率は、一九世紀半ばまで五〜七%だったと推定されている。以後、イギリスの植民地支配下にあったパレスチナ地方にむけて、有名な国際的ユダヤ系財閥、ロスチャイルド一族らの援助によるヨーロッパからのユダヤ教徒の入植がつづき、人口比率を押しあげたのだ。この入植の経過自体、現地のアラブ人が非難するように、「移民による侵略」にほかならなかった。
 一九四七年の国連による歴史的なパレスチナ分割決議で、旧宗主国のイギリスは棄権にまたわった。推進役はもっぱらあらたな超大国アメリカだったが、いまよりもはるかに価値の高かったドルをふんだんにばらまいて、相当に強引な根まわしをしたようである。
 中東を専門分野とするイギリス人の国際評論家、デイヴィッド・ギルモアは、豊富な当局側資料を駆使した著書『パレスチナ人の歴史/奪われし民の告発』のなかで、この経過をつぎのように描きだしている。
「パレスチナの運命を決定したのは、国連全体ではなく、国連の一メンバーにすぎないアメリカだった。パレスチナ分割とユダヤ人国家創設に賛成するアメリカは、国連総会に分割案を採択させようと躍起になった。分割案が採択に必要な三分の一の多数票を獲得できるかどうかあやしくなると、アメリカは奥の手を発揮し、分割反対にまわっていたハイティ、リベリア、フィリピン、中国(国府)、エチオピア、ギリシャに猛烈な政治的、経済的な圧力をかけた。ギリシャを除いたこれらの国は、方針変更を“説得”された。フィリピン代表にいたっては、熱烈な分割反対の演説をした直後に、本国政府から分割の賛成投票の訓令を受けるという、茶番劇を演じさせられてしまった」
 イスラエル建国を支持するパレスチナ分割決議を推進した当時のアメリカの大統領、トルーマンは、それ以前に、日本が降伏の条件を探っていることを知りながら原爆投下の命令にサインしていた。まさに残虐このうえない組織官僚の典型だ。このトルーマンらがパレスチナ分割決議を推進するために利用した最大の政治的根拠こそが、「ホロコースト」だった。ナチス・ドイツが犯した歴史上最大の「民族皆殺し」という大罪、「ホロコースト」をつぐなうためという名目の根まわしにのって、欧米のキリスト教諸国はイスラエルの建国を支持したのである。ただし、このいかにも偽善的な国際外交の裏の裏には、さら深い悪魔の取り引きがひそんでいた。その裏話を解く鍵は本書の最後に紹介する。

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