『亜空間通信』134号(2001/12/28)

イ・パ国境紛争の背後にアメリカ国務省の予測「パキスタンは溶融する国家」?

送信日時 :2001年 12月 28日 金曜日 2:23 PM

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『亜空間通信』134号(2001/12/28)
【イ・パ国境紛争の背後にアメリカ国務省の予測「パキスタンは溶融する国家」?】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 目下、インドとパキスタンの国境再発が報じられているが、私は、この裏にアメリカの大掛かりな謀略の可能性ありと疑っている。

 その根拠の一つは、阿修羅の戦争掲示板の以下に一部だけ引用する投稿である。

インド諜報機関の分析

[ ★阿修羅♪ 戦争・国際情勢5 ]
投稿者 ヤス
日時 2001 年 11 月 29 日 03:10:35:

 [前略]パキスタンの置かれた地政を考える必要がある。

 もともとパキスタンは「3A」から成る国家だとされた。3Aとは、「アーミー(軍)」「アッラー(神)」「アメリカ」である。そしてまた、パキスタン最大の敵は、政治的・軍事的には建国以来インドなのだ。また経済的・文化的にはイランが敵だと捉えて良いだろう。[中略]

「アジア2025(アーミテージ・レポート)」の中では、2025年(平成37年)には「パキスタンは溶融する国家」だと記している。――パキスタンは国家として存在しなくなる――それが米国の予測なのだ。

[中略] 
原文のリンク:

http://www.gyouseinews.com/storehouse/nov2001/003.html

 以上で引用終わり。

 次は、わが電網宝庫で休載中の「最新!21世紀アメリカの世界戦略を考える」(その1)「1992年の公開情報でコソボの運命は予測できた」の一部だけの引用である。

 ただし、夏に引っ越して荷物整理ができずに、9.11.事変勃発なので、以下の『ロサンゼルス・タイムズ』記事のコピーが発見できない。だから、インドとパキスタンの予測図は見ることができないのだが、参考にはなるだろう。

 見出しは「アルバニアがコソボ併合:米予測21世紀地図」である。以下引用。

 1992年と言えば湾岸戦争の翌年、掲載紙は『ロサンゼルス・タイムズ』(Los angeles Times.1992.8.25)。

 ヨーロッパの地図の下部、バルカン半島はユーゴスラヴィア連邦共和国の「コソボ州」の真ん中からアルバニアの真ん中まで、マジックペンによるらしい乱暴な手書きの太い矢印が書き加えられている。その右に並んだ手書きの線がさらに真下へ伸びて、そこに四角の白い紙片が貼られている。手書風の細文字で3段。

 Kosovo becomes part of Albania(コソボはアルバニアの一部になる)

 他にも、アジア・オセアニア、北米の地図がある。詳しい解説記事もある。[中略] 

 この「The Outer Limits? 」(外側の境界?)と題する記事は超々巨大で、4ページに及ぶ大特集であった。[中略]世界中の民族紛争地帯が大規模な変貌を遂げるという想定である。たとえばブリテン諸島では、スコットランドが独立し、北アイルランドはアイルランドに合併されている。作成責任者のアメリカ国務省主任地理学者の詳しいコメントもある。「いささか過激」と自認してはいるが、それなりに材料を揃えて分析していたようだ。

『ロサンゼルス・タイムズ』は、アメリカ西部の言論界を代表する最古参紙であり、東部のニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストと互角に張り合う、政治的な最有力紙である。アメリカで最大の人口を誇るカリフォルニア州は、共和党の保守派王国であり、ニクソン、レーガン両大統領の選挙地盤だった。州都はサクラメントだが、ロサンゼルスは最大の都市であり、押しも押されぬアメリカ西部の経済的政治的中心地である。

『ロサンゼルス・タイムズ』の超々巨大記事の存在を、なぜ日本の大手紙は見逃したのか、または知りながら、わざと報道しなかったのかという重大な疑問もあるが、それはさておこう。ここでの基本的な問題点は、アメリカ国務省の主任地理学者らが、なぜか不吉な予測を一年前に出していたという事実だ。[中略]

 次に紹介するのも、上記の地図と同時期に表面化した「地域紛争」に関するアメリカ国防総省の「作戦計画」と「国防計画指針」に関する私自身の旧稿である。

『湾岸報道に偽りあり』(1992.5.28. 汐文社)
「はしがき」からの抜粋(p.1-2)。

 湾岸戦争の余震は今も続いている。今春早々、ニューヨーク・タイムズは二度にわたり、アメリカ国防総省(通称ペンタゴン)作成の内部文書をスクープ報道した。

 二月十七日には「今後十年に七つの地域戦争を想定した作戦計画」、続いて三月八日には「アメリカの第一の戦略目標は、新たなライバルがふたたび台頭するのを阻止することである」という趣旨の「国防計画指針」である。これらの計画は、アメリカが世界中の「地域紛争」に国連を飛び越えて介入する方針を露骨に示したものとして、日本の大手メディアでも報道され、世界的な反響を呼んでいる。[中略]

 アメリカの「世界憲兵」復活への道は、突然はじまったものではない。すでに十数年も前から着実に準備されてきた。公開文書による研究も暴露も可能であった。湾岸戦争も突然起きたものではなかった。私自身、やっとこの一年半の歳月をかけて確認したことだから、誰をも責める資格はない。歴史の歯車は、えてしてこんな「報道されざるブラックホール」の引力によって、強引に折り曲げられてきたのかもしれない。そう痛感しているだけだ。[中略]

 当時すでに、スロベニアとクロアチアの独立宣言に始まる20世紀末のバルカン戦争は、上記の「七つの地域戦争」の一つとして、開始されていたのだった。昨年のユーゴ戦争で、アメリカが諸国家連合(「国連」の正しい訳語)を「飛び越えて介入」し、NATOの盟主として勝手放題に振る舞うであろうことは、予測可能だったのである。問題は、私自身をも含めて、継続的な観測、情報収集、集積、分析、発表の努力を続けてこなかった方にあると言わねばなるまい。「彼(敵)を知り、己を知る」(孫子)努力をしないで負けるのは当たり前のことなのである。

 以上で引用終わり。

 最後は、すでに9.11.以来の連続通信の中で、私が、以上の予備知識の上に立って記した次の予測である。これも一部のみを引用する。

『亜空間通信』112号(2001/11/26)
【カンダハル付近に展開の米地上軍は私の予測通り元国王派部隊を露払いに雇った】

 本日(2001/11/26)、日経夕刊の一面下に、「カンダハル付近に展開/米地上軍/タリバン本拠地攻防へ」との見出しの記事がある。イギリス軍の派遣を牽制していたアメリカが地上軍を出したのだから、いよいよ本番かと見ると、やはり、やはり、だった。予測が当たっても、ちっとも面白くもなく、ただただ憮然とするのみなのだが、本文の中程に、

「これに先だち、ザヒル・シャー元国王派のハミド・カイザル氏と元カンダハル知事のグル・アガ氏ら反タリバン勢力の部隊が、カンダハルからパキスタン国境まで南東に延びる街道を封鎖、米軍部隊を守るために国境に向けて進軍した」

 とある。自称名探偵としては、先に、『亜空間通信』102号(2001/11/17)【国内現存タリバン政権『崩壊』表現は二重基準で親米傀儡新植民地政権の手先】の中で、「私の予測」を簡略に記した。以下、要点を再録する。

 (「私の予測」は、)目下、全文を訳出中であるが、「10年の戦争の秘密の計画」の報道例[中略]が存在するように、長期にわたる米軍駐留場所の確保である。カスピ海周辺の石油ガス資源が狙いの的だが、中央アジアの位置を囲碁にたとえれば、ユーラシア大陸の天元に当る。天元の一石というのは、碁盤の真ん中の戦略的要所に、バシッと一発打ち込むことである。 つまり、私は、この新アフガン戦争を、いわゆる「非対称戦争」と称して、難癖を付け、多国籍を名乗る基本的には米軍の長期駐留場所を確保し、ゲリラを「封じ込める」石油資源地帯確保戦略なり、と睨むのである。

 軍事的な駐留場所確保の決定的な条件は、米軍がいないと地位が保てない「王様」の傀儡政権を作ることである。日本では昭和天皇が自分の地位を守るために、マッカーサーに沖縄を25年から50年占領してくれと頼み、それが現在も続いている。中東の歴史は特に、この手のCIA謀略の血に塗れており、サウジも典型、アフガンでも「元国王」が物欲しげに、うろうろしている。 ああ、21世紀は、デモクラシーならぬデマゴギーが正体の「民主主義」を守る王様の傀儡政権が花盛り、新たなる植民地拡大の時代なのだ!

 以上で引用終わり。

 最早、石油マフィアの悪餓鬼を大統領に担ぎ上げたアメリカの謀略の狙いは、あまりにも明らかすぎるほどである。アフガンの最大勢力のパシュトゥン系民族を中心に、かつてのアフガニスタンの最大の領土を展望しつつ、アフガンとパキスタンをまとめれば、カスピ海周辺の石油・天然ガスをパイプラインでインド海まで引き出すことが、実に容易になるのである。


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