『亜空間通信』875号(2004/10/20) 阿修羅(その1)(その2)投稿を再録

アメリカ追随イラク派兵ニッポン有事指定公共機関NHKの政界工作を暴く文藝春秋最新記事

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『亜空間通信』875号(2004/10/20)
【アメリカ追随イラク派兵ニッポン有事指定公共機関NHKの政界工作を暴く文藝春秋最新記事】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 このところ、「皆様のNHK」の醜聞暴露が相次いでいる。
 
 私は、もうそろそろ2ヶ月前のこととなる7月24日、「有事指定公共機関」NHKの醜聞に関して、以下の通信を発した。

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http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku834.html
http://www.asyura2.com/0406/war57/msg/1033.html
『亜空間通信』834号(2004/07/24)
【イラク派兵中の日本で政府「有事指定公共機関」NHK懲戒免職職員が象徴するメディア権力の恐怖】

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 12年前の拙著、『湾岸報道に偽りあり』では、当時のNHKの会長、島ゲジの発言を以下のように記録にとどめた。

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http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw.html
『湾岸報道に偽りあり』
隠された十数年来の米軍事計画に迫る

http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-04.html
(その04)序章:帝国主義戦争と謀略の構図

立証困難を承知で挑戦したが、意外にも材料続々

「健在?」だった「帝国主義戦争」

 今度の戦争は、すでに何年も前から政治的経済的に始まっていた。背後には最初からアメリカの軍事威嚇があった。ところが、大手のテレビや新聞の報道には、アメリカの陰謀説がほとんど登場しなかった。ごくごく断片的な発言があっただけである。

 NHKの報道姿勢に関しては、島ゲジ会長自身が次のように明言している。

「私は国連決議にそって、侵略者はイラクであるというスタンスで報道するよう指示しているんです」(『週刊現代』91・3・9)

 これではアメリカの帝国主義的「侵略」政策という言葉が出てくるはずがない。
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 それ以前に私は、、以下の拙著を筆名で発表している。筆名にした理由は、当時、日本テレビ相手に不当解雇撤回闘争中で、NHKの労組、日放労などの関係組織の支援も受けていたからである。

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http://www.jca.apc.org/~altmedka/nhk.html
『NHK腐蝕研究』

徳永正樹(木村愛二)/同時代叢書/汐文社/定価1,200円
/1981年10月1日 第一版第一刷発行
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 この拙著は目下、絶版なので、近く、自前の木村書店から、改訂新版を発行する。以下の最新情報は、その改訂新版に加える「補章」の材料である。

1)------------------------------------------------------------
文藝春秋2004年11月号 P94-105
「海老沢NHK」政界工作を暴く

元国会議員が実名証言
うえすぎたかし
上 杉隆
(ジャーナリスト)

組織維持と政治家対策に暗躍する政界工作員

 昨年八月、筆者は都内渋谷区にあるNHK放送センター内の会長応接室で海老沢会長へのインタビューを行った(昨年十月号「『NHKの首領』海老沢勝二』」参照)。

 海老沢が部屋に姿をあらわすと、その長身と独特の風貌が、周囲に緊張感を醸し出す。しかし見かけとは正反対の小声で、彼は訥々と質問に答えていく。ふと気づくと、部屋には七~八人の職員が入ってきて、私を取り囲むように見つめていた。

 会長の意に沿わないだろうと思われる質問をした瞬間、異変が起きた。

 「もう、それはよろしいんじゃないですか」

 広報担当の職員が口火を切った。あたかもその言葉が合図であるかのように、他の職員たちも口々に言葉を重ねる。海老沢側近のひとりが声を荒らげてインタビューを終わらせようとした。

 「失礼じゃないか。質問として」

 海老沢は左手をのばして制止すると、ようやくその小さな口を開いた。

 「いいんだ、いいんだ、構わないよ」

 立ち上がらんばかりの勢いだった側近たちは、会長の言葉に即座に反応した。彼らは口を閉じると、揃って体を椅子に戻したのだった。

 その時の自信に満ちた海老沢の姿は、一年後の激震を予想させることはなかった。

     *

 この七月以降、NHKには「不祥事の嵐」が吹き荒れている。明らかになった主なものだけでも、

・紅白歌合戦の元プロデューサーによる四干八百八十八万円の制作費不正支出。

・前ソウル支局長による総額約四干四百万円の架空経費計上。

・編成局のエグゼクティブプロデューサーら二人がカラ出張で約三百二十万円を横領。

・岡山放送局の放送部長が九十万円を着服。

・集金した受信契約料約二百万円の着服、等々。

 だが、これらの受信料を流用した金銭スキャンダルは「氷山の一角」に過ぎない。そもそも前ソウル支局長の件などは、七年も前に発覚していたのを、ずっと隠蔽し続けていたのである。

 「九七年にソウル支局長に赴任した岸俊郎さんが、前任の宮尾篤支局長の時代に裏金作りが行われていたことを発見したのです。ところが当時の報道局上層部は、岸さんに『外部のメディアには絶対に喋らないでくれ』と懇願し、宮尾さんを転勤させるだけでうやむやに処理しようとした」(NHK国際部関係者)

 あまつさえ宮尾氏は、今年七月にソウル支局長に復帰を遂げた。この信じがたい人事についてNHKは、「韓国の言葉に精通し、人脈もあるので再び派遣する必要があった」と説明したが、これは誰弁に過ぎない。

 「政治部出身の宮尾さんは赴任当初はまったく韓国語が話せませんでした。彼が毎晩のように豪遊していた『漢南洞(ハンナムドン)』という地域は、日本人向けのカラオケスナックばかりで、韓国人が足を運ぶ場所ではありません。裏金を取材費に使っていたとは、とうてい信じられません」(他社のソウル特派員経験者)

 海老沢会長が国会に参考人招致される直前の九月七日になってようやく宮尾氏は停職六カ月、放送総局付に異動の処分を受けることになったが、実際はその後も韓国に滞在していた。ソウル中心部の超高層マンションに住む宮尾氏を訪ねたが、「言いたいことはあるが、今は何もお話しできない」と取材は拒まれた。だが、知人に対しては、「もう済んだ話なのに、なんでオレが巻き添えにならなければいけないのか」と不満を漏らしているという。

 NHKは一連の不祥事を“個人の犯罪”にして幕引きを図ろうとしている。

 だが、すべての問題の根幹は、NHKのこのような隠蔽体質にある。「バレなければ何をしてもOK」という意識が、当然のように罷り通っている。

なんのための参考人招致か

 九月九日、海老沢会長は屈辱の日を迎えた。

 橋本派をはじめとする政界との太いパイプを誇示してきた彼が、衆院総務委員会に参考人として呼ばれ、一連の不祥事に対する申し開きを迫られたのである。

 NHK予算の審議がおこなわれる際には視聴率を度外視して総務委員会を中継するNHKだが、この日は一切中継を行わなかった。一方、委員会前には国会対策などを担当する「総合企画室」の幹部職員が、議員会館へ最後の「ご説明」に走り回った。

 海老沢と同時期にNHK政治部に在籍していたこともある川崎泰資・椙山(すぎやま)女学園大学教授は語る。

 「三時間あまりにもおよんだ参考人招致で、海老沢会長本人は数分間しか答弁に立たず、あとは理事に代わりに答えさせていました。その狙いは明らかです。九一年に国会での虚偽答弁がもとで辞任した島桂次元会長の轍を踏まないためでしょう。もしウソがばれても、答えた理事に責任をとらせればいいという訳です」

 だが、海老沢の心配は杞憂に過ぎなかった。厳しい質問をする議員は民主党の中村哲治ぐらいのもので、むしろ総務委員会は和やかな雰囲気にさえ包まれたのである。

 自民党の滝実に至っては手放しでNHKを褒め称えた。

 「海老沢会長以下役職員の皆さん方が必死の思いで真相究明と今後の対策に当たってこられたこの一カ月間のご苦労に心から敬意を表したいと存ずるわけでございます」

 このような姿勢は野党の議員であっても変わることはない。

 「NHKに対するいわゆるファン、結構多いと思うんですよ。いいものを作ってくれ、そういう応援する人たちは多いじゃないですか。やはりそういう視聴者の皆さんに、一連の不祥事というのは大きなダメージというか、非常に信頼感を失った、そういう出来事じゃないのか、私はこのことが非常に残念でならぬわけであります。私自身もファンのひとりですが、そのように思います」(伊藤忠治・民主党議員)

 なんのための「NHK会長参考人招致」だったのか。そして、なぜNHKはこれまで数多の不祥事の責任を問われることがなかったのか。

 NHKが繰り広げてきた「政界工作」。そこに謎を解く鍵が秘められている。

七人の「政界工作員」

 北朝鮮の独裁者の名前を模して「エビジョンイル」とも呼ばれる海老沢会長。その彼ですら恐れるものがある。「国会」と「経営委員会」と「会計検査院」の三つだ。

 実はNHKは、法律で規定されたれっきとした特殊法人の一つであり、その六千七百八十五億円(平成十六年度・収入の九七%が受信料)にものぼる予算と決算は「国会」で承認される。さらにNHKの最高意思決定機関は、全国から選ばれた十二人のメンバーから構成される「経営委員会」と定められている。そして、NHKの会計は、「会計検査院」のチェックを受けることになっている。

 しかしこれらは建前に過ぎない。すべては巧妙な政治工作によって骨抜きにされているからだ。経営委員会の役割は極めて限定され、単に形式的な機関に成り下がっている。NHK関連団体に天下り枠がある会計検査院に至っては、過去五十年間でたった一度「指摘」が為されただけだ。

 元NHK解説委員長の山室英男も憤る。

 「いまの経営委員会には海老沢会長に楯突くような人はいないでしょう。一般企業では社外取締役などを招いてガバナンスをきかせるのが当たり前になっているのに、いまだにシャンシャン総会のようなことをしている。会計検査院もやるべき仕事をしていないから、おカネの使い方がいいかげんなものでも通ってしまい、今回のような不祥事が起きる。要するに警察と泥棒がグルになっているようなものなんです」

 残る「国会対策」こそが、NHKにとっての最大の命綱であり、逆に言えばそこさえ通れば、後はどんなデタラメをしてもお答めなしなのである。

 NHKには総合企画室という部署がある。経営の長期計画を策定するのが表向きの仕事だ。百名程度のスタッフは、「経営計画」「デジタル放送推進」「関連事業」「システム企画」の四つのグループに分けられている。

 ところが、どこのグループにも属さず、名簿にも担当が記されていない七人の幹部職員がいる。通称「企画」と呼ばれる彼らこそ、国会対策起ほぼ専従する「政界工作員」なのだ。

 彼らの仕事は多岐にわたる。

 まず「表」の作業として、NHKの予算を通すために議員会館に日参し、「ご説明」や「質問取り」を行う。ロビー活動を繰り広げる彼らの多くは政治部出身者で固められ、永田町特有のルールを熟知している。

 現在、NHK予算は総務委員会(旧逓信委員会)で審議されている。NHKにとっての総務委員は、企業でいう「株主」のようなものだ。彼らに対してはとりわけきめ細かい対応が施される。

 総務委員就任が決まった議員には海老沢会長が直接挨拶に訪れる。元参議院総務委員長の小川勝也(民主党)の国会事務所にも当然挨拶に現れた。その小川が語る。

 「確かに海老沢さんが挨拶に見えたね。名刺を渡して『よろしくお願いします』ということで頭を下げていった。周りには秘書のような職員が沢山ついてきていた」

 議員会館を回るNHK幹部の大行列は総務委員改選のたびに繰り返される。このような日々の国会対策は実際見事な成果を挙げている。

 NHK予算に対する国会の決議は、平成九年以降すべて全会一致である。つまり海老沢が会長に就任してからはNHKの予算に異議を申し立てた国会議員が野党を含めて全くいないのである。NHKには逆らわない方が得策だ。実に多くの政治家たちの間で、このような風潮が常識にさえなっている。

 それでもNHKの政治への配慮はとどまるところを知らない。平成五年までNHKの職員だった池田信夫(現・国際大学GLOCOM教授)が証言する。

 「NHKの政治家への配慮はすごいですよ。政治番組の収録のときなど、会長はいないとしても、理事はじめ秘書室や経営企画室の人間がずらりとスタジオにやってきて、“先生方”にご配慮する。何か問題になりそうな発言があれば、すべて編集に口を出します。僕も収録にお付き合いしたことはあるけれど、あれはゴメンですね」

 カナダのメディア学者、マクルーハンはその著書『メディア論』の中で、政治に対するテレビの姿勢を称して「臆病な巨人」と呼んだ。NHK記者の一人にその話を振るとこう嘆いた。

 「ウチの体質を一言で表す言葉を知っている? 『強きを助け、弱きを挫(くじ)く』。すべてはこの一言で説明できるよ」

 再び総合企画室の政界工作員に目を移してみよう。彼らには「表」だけではなく、「裏」の仕事もある。

 NHKのあり方に疑問を呈してきた永田寿康(民主党)はこう証言する。

 「NHKはあの手この手を使って政治家を籠絡(ろうらく)していきます。かつては厳しい質問をしていたのに、明らかにNHKに有利な質問しかしなくなった議員もひとりやふたりではありません。さすがに『実弾』が撒(ま)かれたとは思いませんが、何かしら理由があるとしか考えられません」

 総務委員になると政治家はNHKからさまざまな便宜を受ける。逓信委員会理事を経験した自民党中堅議員は、ほんらい抽選でしか手に入らないはずの年末の紅白歌合戦のチケットを毎年二枚融通してもらっている。総務委員歴の長い民主党国会議員のひとりもしぶしぶ次のように認めた。

 「地元後援会からどうしても『紅白』を観たいという陳情があってお願いしたことはあります。でも一枚だけです」

 総合企画室は、政治家の近親者に、NHKおよびNHK関連会社への就職の意思を持つ者があれば、進んで就職の相談忙乗る。前出の自民党中堅議員は、子弟のNHK就職に際して「試験さえ通ってくれれば面接試験は必ず通す」という確約をもらった。さらに野党議員の親戚も同様の要請を受けて受験したが、試験の点数が低く内定には至らなかった。NHKとすれば、政治家の近親者を入局させることは最強の国会対策でもある。入局に情実を絡ませることで、その人間関係を利用できる可能性がある。

 総合企画室に限らず、NHKによる政界への便宜供与はさまざまな形で行われる。政治部記者が選挙の際に、自局の出口調査の結果を政治家に流すのは永田町では公然の秘密になっている。

 かつて森喜朗元総理が「神の国」発言で批判を浴びた時、NHKの番記者が記者会見を乗り切るための「指南書」を作成していたとの疑惑が浮上した。実際、NHK政治部の中には、記者というより政治家の「相談相手」という意識の者がいる。郵政大臣などを歴任した自民党議員の事務所には、午前中NHK職員が「出勤」し、電話番を行っている光景も見られた。

 〈放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること〉

 この放送法第一条の精神は、NHKにおいては有名無実化している。そして、さらに取材を進めるうち、信じがたいNHKと政治の「癒着」の実態が浮かび上がってきたのである。

常態化するパーティー券購入

 昨年春、総務委員会所属の国会議員事務所では政治資金集めのためのパーティーの準備に追われていた。

 招待者のリストには、海老沢NHK会長も含まれている。郵送で招待券を送ると、わざわざNHK職員が議員会館を訪ねてきた。

 「せっかくお招き頂いたのですが、海老沢は都合が悪く、お伺いできません」

 その言葉と共に、秘書に「祝儀袋」が渡された。中には「会費」に相当する二万円が納められていた。さらに当日、会場には別のNHK幹部が現れ、パーティー券を購入した。

 言うまでもなく、政治家のパーティーは政治資金集めが目的である。仮にその政治家がNHK予算を審議する総務委員会所属の議員だとしたら、職務権限に抵触する恐れすらある。

 調べてみると、こうしたNHK職員による政治資金パーティー券の購入は常態化してい、ることが判明した。

 自民党所属のある総務副大臣経験者の事務所では、毎年開催されるパーティーで二枚買ってもらっていることを認めた。また別の郵政大臣経験者は、知人のNHKの政治部記者三人から、昨年夏のパーティーでチケットを購入してもらった事実を認めた。

 また、衆参両院にはNHK出身の議員が十名いる。その内の一人である原田令嗣(よしつぐ)(自民党)は、「パーティーにはNHK時代の友人が十人ぐらい参加してくれています。当然、みな“個人”“友人”として出席してくれています」と話した。

 資金パーティー券購入は自民党だけに限らない。総務委員会に所属する野党議員でさえ、NHK総合企画室スタッフヘのパーティー券販売を認めた。

質問に手心を……

 「総合企画室の方に二枚買って貰いました。正直に告白すると、確かにNHKに抱き込まれたという気はします」

 かつて総務委員会に所属し、NHKについていくつかの質疑を行った山村健前衆議院議員は証言する。

 山村は二〇〇〇年六月の総選挙で初当選を果たした直後から衆議院逓信委員会(現在の総務委員会)に属した。地元でイベント会社を経営していた関係で、放送業界とも付き合いがあり、放送行政にも明るかった。とりわけNHKという公共放送のあり方に疑問を感じていたため、逓信委員会を選んだという。

 「委員会に入ってすぐ海老沢会長本人が挨拶に来て驚きました。その後、NHK総合企画室の一人が私の担当になり、事務所を頻繁に訪れるようになったのです」

 山村に対するNHKの工作は、他の総務委員と同様、このような形でさりげなく開始された。山村がはじめて質問の場に立ったのは同年十一月。委員会ではNHKについてきわめて厳しい質問を繰り出した。

 米軍基地施設内の受信料不払いの問題、NHK関連会社の営業形態と民業圧迫について、そして地上デジタル放送の必要性への疑義。山村からのこれら三つの質疑は、NHKにとってはどれも触れられたくないものばかりだった。二つ目の質疑、NHK関連会社については海老沢本人が次のように答弁している。

 「NHKというブランドといいますか、非常に信頼度が高いとわれわれは自負しておりますし、NHK本体と関連会社が一体となって事業をしている、そういう信用度が非常に高い」(衆議院逓信委員会/二〇〇〇年十一月十六日)

 海老沢のこの答弁に対して、山村は当時、こう噛み付いている。

 「地方ではNHK何某という社名がついた場合には非常に強いブランドカがあります。明らかに民業圧迫といいますか、NHKという冠がついていることで、イコール『放送』と勘違いされて、NHKで全国中継されると……。公共放送という立場であるNHKですので、いわゆる公共事業に近い形になると思います」(同前)

 だが、総務委員会に在籍しているうちに、山村も徐々に籠絡されてきた。

 山村は、総合企画室の担当者にパーティー券を買ってもらった後、委員会での質疑内容がどうしても甘くならざるをえなくなったことを認めた。

 「それは人情として厳しいことは言えなくなるでしょう。やはりNHKの担当の方とも長年付き合い、人間関係ができてきますから、確かに手心を加えるということにつながっていったのかもしれません」

 二〇〇一年のKSD事件では、小山孝雄元参議院議員がKSD前理事長から三干百六十六万円の賄賂を受けとった。小山はその見返りとして参議院労働委員会の質問で便宜を図り、受託収賄罪で逮捕された。彼は今年、懲役一年十カ月の実刑判決が確定し、刑務所に収監された。

 NHK職員によるパーティー券購入はスケールこそ違え、似通った構図が窺える。

 政治資金規正法では、年間五万円以上の寄付はすべて公開しなければならないことになっている。一枚二万円のパーティー券購入はその範囲外のため、収支報告書に記載されない。

 元最高検検事の土本武司・帝京大学法学部教授はこう見る。

 「確かにNHK職員がパーティー券を購入しても政治資金規正法上は問題ありません。しかし、パーティー券を買ってもらった政治家が国会でNHKへの追及を手控えたら、贈収賄罪の可能性がある。問題は、パーティー券の受け渡しに際して、政治家とNHKの両者に賄賂という認識があったかどうか。あった場合はポケットマネーからでもダメです」

「お金を包むことは社会常識」

 肝心のパーティー券を買ったNHK職員たちは、どう考えているのか。NHK総合企画室の幹部職員に、真意を尋ねた。

 以下、一問一答を紹介する。

 ――総合企画室のメンバーが政治家のパーティーに参加しているのは、なぜか。

 「なぜと言われても、知っている人のパーティーなら行くと思いますけど」

 ――パーティーに行くときはNHKとして?

 「いや、これは自分で(代金を)出しています。自腹です。親しくしている人から呼ばれれば行くものでしょう?」

 ――何回か出ていますよね。

 「そんなにしょっちゅうじゃないですけど」

 ――中には発言に手心を加えた議員もいますが。

 「よくわからないけれど、あなた方にそういう認識があるということだよね」

 ――その認識は間違っていますか。

 「どういう答え方をすればいいかな。週刊誌なんかでも書かれるし、裏部隊という言い方をする人もいるかもしれないが、僕らがやる仕事は、予算審議のときなら、総務委員会が中心だけれど、審議してもらうNHKの予算についてどういうふうになっているか、質問する人に説明して理解してもらう。それをもってなんで裏部隊というのかわからないけれど、まあそういう仕事も僕らの一部ではあるよね。それが何だっていうわけ?」

 ――議会質問の懐柔に近いのでは?

 「法案が上がれば役人だって普通説明にまわるよね。自分たちに関係のある法案があれば、審議する人たちにそれなりに理解してもらうように説明すると思うけど」

 ――パーティー券購入はどうですか。決まった人間が決まった政治家の担当になっていますが?

「 そんなでもないと思うけど。他の(企画室の)人間がどれだけ行っているか知らないけれど……。君らだって取材先で親しくなる人もいるでしょう。それと同じだと思ってくれたらいいと思うけれど。頼まれれば誰でも行くわけではないから、ある程度決まった人になるのもしょうがないんじゃないの?パーティー券だってそれなりに額のするものだから」

 ――海老沢会長に来た招待状に対して、別の人間が金を包んで行っていますが、これも慣例ですか?

 「会長のことは知らないけれど、そういうことがあるとしても、お金を包むことは社会常識でしょう。お葬式に行って香典を包まない人もいるかもしれないが、それと同じことでしょう。僕はそう思っているけれど」

 ――国会対策などでは、どれだけ予算は使えるのですか。

 「うーん……。基本的には自腹なんだよね」

 ――会合が全部自腹ではないでしょう。

 「うーん……、まあ……」

 ――個人としての付き合いがあっても、そうした議員との交際のなかで、質問に手心を加えたのであれば、問題ではないですか。

 「そう言っている人がいれば、その人はそういう認識なのかもしれない。僕らは手心を加えてもらっているというアレはないけどな。誠心誠意説明して理解してもらったと思っている、僕から見れば」

「三百万円の札束」

 このNHK幹部職員はパーティー券購入は “自腹”であることを強調した。年収一千二百万円を軽く突破する彼にとってみれば、一枚二万円のパーティー券を購入するぐらい容易(たやす)いことなのかもしれない。

 だが、一枚二万円のパーティー券は決して安くない。一カ月千三百九十五円(地上波カラー契約)の受信料で換算すれば、軽く一年分以上にあたる。

 万が一パーティー券購入がNHKの公金によるものであれば、大きな問題が浮上する。

 「もし組織的決定でパーティー券を買っているのだとしたら、放送法七条に定められたNHKの業務の目的以外の支出ということになり、法に反していることになります」(総務省放送政策課)

 そもそも海老沢は昨年夏の筆者のインタビューの中で、NHK職員と政治との関わりについて、

 「(選挙応援は)自分はやっていませんが、考え方としてはできるんです。政治的自由がありますから。ただ管理職になったらダメですよ」

 と答えた。

 入手したNHKの資料によれば、総合企画室全体の予算は約百三十九億円。NHK側はその詳細な内訳の公開を拒んだが、前述のように約百人の職員しかおらず、番組制作もしていないセクションにしては多いのではないか。

 〈機内で酔っぱらったNHKの某副部長が私の座席のところに来て「委員長が腹くくってくれたら島会長は助かるじゃないですか」と背広の内ポケットの札束を見せて、「私は、委員長対策のためにここに三百万円持ってきているんです」と言い放ったのである。「ふざけるな」と私は一喝して、視察旅行から帰ると公的な場で島氏の責任を問うようになった。〉

 かつて逓信委員長として島桂次NHK会長を辞任に追い込んだ野中広務・元衆院議員の自叙伝『私は闘う』(文春文庫刊)の一節である。

 このNHKの副部長が野中にちらつかせたという三百万円も、「自腹」だったのだろうか。

 政治資金パーティーへの参加についてのNHKの見解は以下の通り。

 「海老沢会長も職員も、国会議員の政治資金集めの『パーティー』に、NHKの経費を使って業務として出席することはありません。

 (総合企画室の「企画」グループがやっている仕事は)NHKの予算は、放送法の規定により国会の承認を受けなければなりません。このため、議員からの問い合わせなどが普段からあり、その対応の窓口業務などを行っています」(広報局)

 NHKの幹部職員が政界工作に奔走するのは、特殊法人・NHKの組織を守るために他ならない。彼らが“視聴者”の存在を意識することはないだろう。念のため幹部の一人に、過去に受信料を念頭において仕事をしたことがあるか、と尋ねてみた。するとその幹部は笑いながら、

 「まったくない。たぶん誰一人としてそんなことは考えていないと思うよ」

 と答えた。

十年以上前から「広告放送」

 ある制作系職員は語る。

 「NHKが肥大化していくにつれ、『公共放送』という理念は忘れ去られつつあります。最盛期に一万六千人余りを数えたNHK職員は、いま一万二千人を切った。しかし減った分は単に子会社、外郭団体に移しただけです。

 要するに受信料収入だけでは人件費を賄いきれないので、NHKブランドを利用した子会社のビジネスを拡大させることでカバーしようとしている。この『NHKをコングロマリット化する』路線は島会長時代に敷かれたものですが、海老沢会長になってからは、『カネにつながる仕事をする奴が偉い』という風潮が露骨なまでに強まりました」

 現在、NHKには二十三の子会社、四つの関連会社、九つの関連団体が存在する。役員の大半をNHKからの天下りが占め、NHK本体から子会社に対して一千百三十五億円(平成十五年度)もの支払いが行われている。

 「衛星放送や教育テレビでは、かなりの番組が外部のプロダクションに下請けに出されています。その際、あいだにNHKエンタープライズ21やNHKエデュケーショナルを挟むことで、九パーセントほどのサヤを抜いています」(NHKプロデューサー)

 NHK側は「NHKの番組基準や業務内容を深く理解している関連団体のプロデューサーが必要な制作統括業務を行っており、“中間マージン”というのは全くの誤解です」と釈明する。だが、これは道路公団が、ファミリー企業に仕事を発注することで人員を養い、退職者の天下り先にしているのと同じような構造と言えるのではないか。そして一連の不明朗な経理も、こうした外部への複雑な発注関係が土壌になった側面がある。

 今年七月から八月にかけてNHKプロモーションが主催したーブロジエクトX展」に対し、「プロジェクトX」で取り上げた企業から最高三干百五十万円もの協賛金を募っていたことが問題になった。九月九日の総務委員会でも、経済部出身の関根昭義放送総局長が、「私も企業への挨拶廻りをしたことがある」と認めた。

 「『プロジェクトX』に取り上げられれば企業にとっては絶大な宣伝効果がありますからね。売り込みは引きもきりません。逆にNHK側も大企業には気を遣って、番組でも目立つ扱いをするよう上から指示が降りてきます。関連事業などのビジネスで見返りがあるからです」(報道局中堅幹部)

 しかしこの手法は、放送法でNHKが禁じられている「広告放送」そのものではないか。

 海老沢会長自身、九一年から九三年にかけてNHKの最大の子会社であるNHKエンタープライズの社長を務めている。この頃、ある広告業界関係者は海老沢の次のような発言を聞いて仰天した。

 「ウチは放送営業が全然できていない。ある会社を取り上げたら、その後そこから広告を貰うために支局長が出向くようなことは、民放や新聞社ならみんなやっている」

 NHKが事実上「広告放送」の一線を超えたのは、十年以上前のことだ。

 一九九二年に放送されたNHKスペシャル「奥ヒマラヤ禁断の王国・ムスタン」で、やらせが発覚した。と同時に、この番組のチーフディレクターが、番組の中で自動車メーカーのステッカーを映し出すよう指示、この自動車メーカーがNHK関連会社に一千八百万円の資金を提供していたことが明るみに出た。

 この番組の取材に同行した写真家の小松健一は振り返る。

 「ロケヘの出発前からディレクターの言動がおかしくなってきました。『広告代理店の計算によれば、NHKの宣伝効果は一分間で四干万円のCMにあたるそうだ。番組とタイアップした写真集を出す条件で、出版社から一千万円ぐらい集めてきてくれ』と無理難題をふっかけてくる。彼と居酒屋で飲んだとき、『NHKのディレクターなんていったって、俺は単なる組織の集金マシーンだよ。自分でスポンサーを探してこなければ、番組を作らせてもらえない』とこぼしていた。彼もある意味ではNHKの商業化路線の犠牲者なんでしょう」

 このチーフディレクターは、問題発覚後に停職六カ月の処分を受けたが、のちに制作現場に復帰、定年まで要職を務めている。

 元テレビ朝日取締役の小田久榮門が体験談を語る。

 「かつてNHKのニュースでは、僕ら後発の民間放送を『商業放送』と呼んできて、何度訂正を申し入れても聞き入れて貰えなかったもんです。でも今やNHKだって『商業放送』でしょう。なにが『公共放送』だ、ぬけぬけと、と僕は思うね」、

 小田はテレ朝時代に、NHKエンタープライズが大手広告代理店の出資でソフトを作っているという話を聞いて驚いた。

 「実際の制作は下請けに出し、一割五分から二割をピンハネするというので、『それでは立派なNHKの営利活動じゃないの』と思わず言うと、『株式会社エンタープライズですから!』と答える。それならなぜ、その利益でNHK退職者の面倒を見るんだ。矛盾してますよ」

 また別のときには、ある芸能イベントの放映権をめぐってNHKとテレ朝が争った。「一晩つきあってくれ。堅い話は抜きで」と、NHKの人間に赤坂の料亭に案内された小田は、「よくこんな宴会料を視聴者のゼゼコから出すね」と皮肉を述べた。

 「すると、『これはエンタープライズの席ですから』と担当者が言ったんだ。もちろん座にエンタープライズの奴なんて一人もいないよ。要するに彼らは、適当に子会社の名前を使って、公共と営利の顔を使い分けているだけなんだ」

 受信料で制作した番組ソフトを使って、子会社が営利事業を手がける。そこには、NHKのスポンサーは視聴者だという意識は見事に欠落している。

 外部の監視の目の行き届かない子会社こそ、不祥事の温床である。

 「二〇〇一年に、NHKエンタープライズアメリカの社長が経費を着服し、解雇になっています。この事件には別の幹部も絡んでいると噂されています」(NHK職員)

新たな「デジタル利権」

 外部からの批判に対してNHKが決まって口にするのは、「税金で運営されているわけではなく、受信料収入で健全経営を行っている」というセリフだ(ラジオ国際放送や選挙放送は一部国庫負担)。

 だが、そこにも見逃されている事実がある。

 海老沢会長の大号令で進められている地上波のデジタル化。そこには受信者対策、NHKと民放の放送設備の更新費用として千八百億円もの補助金(国費)が投入されている。

 地上波がデジタル化されたとしても、放送業界における既得権者優位の状況は少しも変わらない。「高品質な映像」「チャンネルの多様化」などというのは予算獲得のための惹句に過ぎない。なにしろ-番組の送り手は今と同じNHKと民放キー局で、「新規参入」は基本的に認められていないからだ。

 ただし家電業界にとってみれば、二〇一一年には現在のアナログテレビが強制的に使えなくなるから、巨大な「買い替え需要」が生まれる。

前出の池田信夫は言う。

 「総務省のメンツと、家電業界の利害。そこにNHKが乗っかって視聴者不在のまま暴走しているのが今のデジタル化です。ブロードバンドでデジタルテレビが見られる時代なのに、なぜこれ以上無駄な『公共事業』をする必要があるのか」

 その持論を私的なメーリングリストに発表しただけで、池田のもとにはNHKから内容証明が送りつけられてきた。

 前衆院議員の山村が再び語る。

 「地上デジタルを巡る利権一つをとっても、数人の国会議員では到底太刀打ちできません。NHKに睨まれることは、NHKのみならず放送業界全体を、さらには総務省や家電メーカーまで敵に回すことになりますから。やはり選挙を抱える政治家である以上、それだけの大きな組織と戦いたくはない。これが本音です」

 NHKにおいて政治部記者を長く務めてきた海老沢のバックボーンは、田中派以来の深い政界人脈である。「元祖・郵政族」として知られ、現在の特殊法人・NHKや電電公社(現NTT)の生みの親とも言える橋本登美三郎元官房長官とは「親戚同様の付き合いだった」と豪語している。さらに海老沢の妻は、佐藤栄作元首相夫人の姪である。政治部長時代には竹下登の個人機関紙『創政』に登場し、同僚から批判を浴びたことさえある。

 海老沢は常に政治に寄り添い共に歩むことによってNHK内での権力を掌握してきた。だが、最近の「日歯連事件」に見るように、すでに旧田中派(橋本派)は、往時の力を失っている。

 機を見るに敏な海老沢は、国策として進められている「地上デジタル化」に積極的に協力することで、財界とも結びついた新たな権力基盤に乗り移ろうとしたのではなかったか。それこそが、NHKにとって最大の「政界工作」にもなり得る。

     *

 都内・西新宿の住友ビル。受信料を徴収するNHK地域スタッフ向けの説明会では、首都圏営業推進センターの幹部スタッフが必死に訴えていた。

 「なぜ、NHKが受信料で成り立っているかというのは単純明快でして、NHKは報道機関でありますので、どこからもヒモつきのお金をもらいたくない。たとえば国からもらうというと、その時の権力に左右されてしまうこともあるだろうし、大企業からいただくということになれば、それぞれしがらみがあるということになる。私たちの原点は、NHKはどこからもヒモつきのお金をもらわないで、独立してやっていきたいと。NHKは言論機関であるから、どこからのヒモもつかない、まさに公共放送としてやりなさいというのが、放送法の精神だと私は理解しています」

 だがその言葉も空しく響く。不祥事の発覚した七月二十日以降、九月半ばまでに受信料支払いの拒否数は一万七千件にのぼっている。

 政治と癒着することで肥大化し続ける限り、NHKが視聴者の信頼を取り戻す日は来ないだろう。(文中一部敬称略)
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2)------------------------------------------------------------
2004.10.21
週刊文春 P175-177

NHKが慌てて回収した
「海老沢辞めろ!」
視聴者怒りの抗議電話リスト 独占入手

小誌に寄せられた内部告発文書。社用封筒で消印は渋谷郵便局

 NHKの不祥事を最初にスクープして以来、小誌にはおびただしい数の内部告発が寄せられている。だが、今回届いた一通の封書ほど、悲痛なものはなかった。「もう駄目です……」と綴られた手紙とともに同封されていたのは、視聴者からの過激な抗議電話リストだった。

 「言い訳は必要ない!会長を始め、トップの人間がみな辞めなければダメだ」

 九月十一日、NHK海老沢勝二会長(70)の「謝罪放送」開始直後から、視聴者対応コールセンターには抗議電話が殺到、回線はパンク状態だった。

 最近、小誌に「NHK 一職員」から、驚くべき内部告発文書が送られてきた。

 《NHKで視聴者対応の窓口をしています。

 今回の不祥事発覚後は、本当に対応に追われ、疲れ切りました。特に、国会質問後は、その対応への不満の声が殺到しました。現場はもう限界です。

 声のほとんどは「会長の辞任」を求めています。対応する私たちでさえ、辞任すべきだと思っているのですから、電話での怒りの声には、ただ、沈黙するしかありません。

 会長はしかし、まるで辞任するつもりなどなく、先日のABU(編集部註※アジア太平洋放送連合)総会では、来年の任期切れ後もABU会長に留まってほしい、との声があった、とご満悦だとのこと。

 もう駄目です》

 さらに、告発文には、NHK関係者にしか持ち出し得ない「視聴者抗議電話リスト」が添えられていた。

 視聴者対応窓口である「視聴者ふれあいセンター」が作成したこの文書の表題は、《9月11日午後2時~3時の主な意向》。受付時刻、受付チャンネル(電話かメール)、性別、年代がインプットされ、九十一分間に寄せられた九十件の苦情・意見の内容が克明に記されている。

 《同封したのは、そうした視聴者の声の例として「謝罪」番組前後の声をまとめたものです。その後、内容の「過激さ」に回収されてしまいました》

 なんと、またしても、NHKは卑劣な“隠蔽工作”を行っていたというのだ。

 そこでこの内部資料の真贋及び、回収の事実について、NHK広報局経営広報部に、内部資料を添えて確認したところ、

 「私どもは、視聴者・国民の皆さまの厳しいご意見やご批判を真摯に受け止めて、今、再生に向けて第一歩を踏み出しています。

 きょう受け取りました質問に対する答えは、差し控えさせていただきます」

 と、コメントするのみ。

 さて、NHKがひた隠す視聴者のナマの声とは一体、どんなものだったのか。

 視聴者からの抗議で圧倒的に多かった(全体の約四〇%)のが、海老沢会長の辞任要求。冒頭紹介した男性(七十歳以上)の抗議をはじめ、以下のような苦情が続々と寄せられた。

 「これだけの不祥事を起こせば普通の会社なら社長は必ずクビになる。会長は絶対に辞任すべき。会長始めトップが全員責任を取って辞め、クリーンなNHKで再出発して欲しい。そうでなければ受信料は払いたくない!」(五十代男性)

 「会長は何故辞めないのですか? 今までの受信料を返して貰いたい。今後も、一切受信料は払わない」(四十代男性)

 「NHKの番組を支持してきたが、会長の態度には腹が立ってしょうがない。不快感を覚える。傲慢きわまりない。なぜNHKの職員は会長辞任に立ち上がらないのか。立派な番組を作っている人達もいるのに、悔しい思いがします。受信料の口座引き落としはもうしません」(六十代男性)

 「会長以下役員は辞職して責任を取れ。NHKの役割はもう終わった。民間企業にすべき」(五十代男性)

 「上司に代わって下さい。女性には可哀想で、ものが言えん。会長に伝えなさい。人間引き際が大事だ。責任取って辞めれば視聴者も納得する。経営陣の一掃が今の仕事だ」(六十代男性)

 「(九月九日の衆院総務委員会を)生中継すべきだった」との意見も多数あった。

 「生放送しなかった理由を『編集権』と会長が言っていたが、これについて見解を聞きたい」(四十代男性)

 「三時間半近く国会があったのに、ほとんどカットされて、肝心な部分を放送していない。民主党の中村哲治議員の質疑に対して、中途半端な回答のままカットしてしまった。大事なキーポイントをあえて外すという編集をするのはけしからん。不正より隠蔽の方が悪質だ」(五十代男性)

 またNHKのOBから、

 「国会で発言していた人達と一緒に働いていた。直接職員と話をしたい。広報ではありきたりの回答しかないので、編成へ繋いで」

 という要請もあった。

「子供にNHKを見せられない」

 「受信料を払うのが放送法で決められていると言うが、法律を破っているのは、お前達だろう」(六十代男性)

 「雪印や三菱を見ろ、お前らの未来だぞ」(三十代男性)

 「NHKの番組を子供に見せていたら、ろくでもない不祥事を起こすような大人になるんじゃないか!」(四十代男性)

 「コンプライアンス(法令遵守)推進委員会を作っても会長が委員長では全然ダメ。出張で総理大臣より高い部屋に泊まっているようだが、視聴者は馬鹿じゃない」(六十代男性)

 という過激意見もあったが、NHKのこれまでの視聴者・国民への対応を考えれば、怒りは当然だろう。

 九十件中、NHKに同情的だったのは、一件のみ。

 「NHKは過剰反応しすぎていませんか? 他の企業に比べたら不祥事も少ないし、日頃から質の高い番組も送り出しているし、私は、受信料は安いくらいと思っている」(六十代男性)

 女性からは、より的確な厳しい意見が相次いだ。

 「会長は貴任取って辞めるべきでしょ! とりあえず銀行引き落としは止めさせて貰います」(五十代女性)

 「会長の顔が就任当時と比べ、かなり目つきが変わった。人相が悪くなった。辞めて欲しい」(六十代女性)

 「NHKにはケジメという言葉はないんですか? 部下の貴任もとらずに、会長職に固執するなんて、(職員の)あなたたちも声をあげなさい」(六十代女性)

 「もう五十年も受信料を払ってきたが、不正に使われたのは許せない。汗水流して夜も寝ないで払ってきたのに、贅沢な服を着て、飲み食いをして使いたい放題にしていたことが腹立たしい。会長の顔は二度と見たくない。好き勝手にすればいい。ただし受信料は払わない。本当に悪いと思うなら、今後二年間受信料を取らずに放送しなさい!」(七十歳以上女性)

 「今、NHKの不正問題の放送をしているが、国民が知りたい事をNHKはニュースとして伝える義務がある。自分達の都合の悪いニュースはあまり放送しないで、放送したとしてもゴールデンタイムでなく、こんな視聴率の低い時間帯なのが、いかにもNHKらしい。郵政の改革よりNHKの改革の方が先なのではないか。また海老沢会長が六カ月減給三〇%と言っているが、元々の給料が高いのだから、金額を出して欲しい。今回の不祥事は国民に対する裏切りなのだから、まず会長自らが減給なんて甘いものではなく辞めるべきだ」(五十代女性)

 「生中継を他チャンネルで実際見ていた者からすれば、このたった三十分に編集された国会招致はあまりにもひどい。視聴者をバカにしきっている。編集するより国会招致で疑問に思っていたことについての回答が欲しかった。これを正すには受信料の不払いを実行するしかない」(四十代女性)

海老沢会長を都内の自宅で直撃

 極めつけはこの意見だ。

 「公共の電波を使って茶番を流して終わりですか? ナベツネさんが、たかが選手と言っていましたが、仲の良い海老沢会長も、たかが視聴者と思っているんでしょうね。私の仲間は全部ネットをやっていますので、不払い運動を起こしていきます」(六十代女性)

 小誌に告発した職員の手紙にはこう書かれている。

 《しかし、これが、本当の視聴者の声です。いつも、酔っぱらいや孤独な老人がからかい半分に電話してくるのとは質が違います。真剣な声、つまり、これまで、NHKを信頼してきた、という人たちの、本当の怒りの声なのです。その声に本当に応えるには、会長以下、経営陣が総退陣するしかないと思います。

 これだけの視聴者の声を報告しても平気で無視している現経営陣には改革の意思はないと思い、意を決して内部告発するものです》

 先日の会長定例会見で、不祥事を理由に不払いしている視聴者世帯が九月末現在、三万一千件に上っていることが明らかになった。

 海老沢会長は、国民・視聴者の声をどう受け止めているのか。

 都内の自宅で直撃した。

――視聴者センターの内部資料を入手したが、多くの、国民・視聴者から会長の辞任要求が寄せられています。

 「辞任する考えはありません。視聴者の声は重く受け止めておりますし、そのために一から出直すと。衿を正して態勢を整えます。それが責任の取り方だろうと私自身思っている」

――視聴者センターの意見は会長に届いていますか?

 「いろんな方が当然、えー、民主主義の世の中だから、いろんな意見があるだろうし、もっと頑張れという意見もあるだろうしね」

――しかし、小誌が入手したデータでは……。

 「(質問を遮って)それは、あなたのデータ」

――四割以上の方が辞任にまで言及しています。

 「それは、日本国民の全体じゃないでしょ」

――NHK視聴者センターに寄せられた数字です。

 「それは、えー、深く受け止めますと。

 (突然思い出したように)辞める気ありませんよ。何回も言ってますよ、あんた達に。自分の進退は自分で決める。私は引き続きやるつもりですし、経営委員会もその方針ですから」

 やはりエビ様には国民・視聴者の声はまったく届いていないようだ。と言うより、自ら耳をふさいでいるようにしか見えない。
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 以上。


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