ニュース・ダイジェスト 2000年

2000年12月16日

第16回シンポジウム 少年事件報道と法「改正」を考える

 〈少年事件 報道と法「改正」を考える〉をテーマに、人権と報道・連絡会主催の第 16回人権と報道を考えるシンポジウムが12月16日午後、中央大学駿河台記念館で開かれ、 約80人が参加した。
 マス・メディアを中心に「少年事件の凶悪化・低年齢化」が叫ばれる中で、刑事罰適 用年齢の引き下げや厳罰化を中心とした「改正少年法」が11月28日に成立した。
 しかし、少年事件はほんとうに凶悪化・低年齢化しているのか、事件を起こす少年たちの心には何が起きているのか、「厳罰」で少年犯罪は抑止できるのか。シンポジウムでは、これらの疑問や法「改正」に果たした報道の役割について4人のパネリストから問題提起を受け、会場の参加者とともに討論した。その中で、「凶悪化・低年齢化」には統計的な根拠がないこと、今の子どもたちが自分を大事に思えなくなっている状況を変えることの大切さが指摘され、事件の背景を伝えず「凶悪化」を強調する報道、少年の実名報道を正当化しようとするメディアの主張に厳しい批判の声が集中した。

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2000年11月13日

第159回 報道規制の動き/日弁連など

 人権と報道・連絡会の第159回定例会が11月13日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。この日のテーマは「最近の報道規制の動き」。10月5~6日に岐阜で開かれた日弁連人権擁護大会は、準司法的権限を持つ独立行政委員会の設置などを求めた「政府から独立した調査権限のある人権機関の設置を求める宣言」を採択した。問題は、この機関が対象とする人権侵害に「マスコミによるプライバシーや名誉侵害」も含まれていること。例会では、世話人の浅野健一さんがこの「宣言」を中心に最近の報道規制をめぐるさまざまな動きを紹介しながら問題点を指摘。また、ジャパンタイムズ記者・浅倉拓也さんが新聞協会などの動きを報告した。

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2000年10月16日

第158回 産経の日の丸報道について報告

 人権と報道・連絡会の第158回定例会が10月16日夜、中央大駿河台記念館で開かれ約40人が参加した。この日のテーマは、「国立二小・日の丸問題・・教員処分を煽った産経報道」。今年3月に行われた同小の卒業式で屋上に日の丸が掲げられ、卒業生たちが校長にその説明を求めた。産経はこれを「子どもたちが校長に土下座を要求した」と歪曲報道し、偏向教育攻撃キャンペーンを展開した。その結果、国立では右翼が入学式に押しかけたり、子どもへの脅迫状が送られるなどの事態となる一方、都教委は同小と国立五小の教員17人を処分した。例会では「国立の教育を守る市民連絡会」の遠藤良子さんと二小卒業生の母親から、産経報道がいかに事実をねじ曲げ、子どもの人権を侵害したものかについて報告を受けた。また、同じ産経系列の「夕刊フジ」が96年、旧オウム真理教(アレフと改称)の信徒に対して行った捏造報道に関する報道被害訴訟についても、原告のNさんから2審逆転勝訴に至った裁判経過などを報告していただいた。

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2000年09月11日

第157回 地域を破壊する「取材被害」

 人権と報道・連絡会の第157回定例会が9月11日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。この日のテーマは、昨年12月、京都・日野小で起きた小2児童殺害事件と地域の取材被害。この事件で、マス・メディアは「犯人は小学生か中学生」との見込みから「容疑者候補」を特定しての情報収集や、子どもたちの顔の無差別撮影などを行った。これに対して、日野地区では地域ぐるみでマスコミ取材から子どもたちを守ろうと報道各社に取材活動の自粛を求めたり、抗議の記者会見を開くなどの活動を展開した。例会では、地区の社会福祉協議会長として報道被害対策に奔走した上野修さんと、この取材・報道被害の調査に取り組んでいる「人権と報道関西の会」の関屋俊幸さんから被害の実態について報告を受けた。上野さんは「ある意味で犯人よりマスコミの方が怖かった」と話し、取材被害に対して地域を守る活動の難しさを訴えた。

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2000年07月17日

第156回 「新聞倫理綱領」改定の意義と問題点

 人権と報道・連絡会の第156回定例会が7月17日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。この日のテーマは、「新聞倫理綱領」改定の意義と問題点。日本新聞協会は6月、54年ぶりに新しい倫理綱領を制定した。新綱領は、旧綱領になかった「知る権利」を掲げ、「人権の尊重」を明記している。例会では、聖教新聞記者の落合克志さんが旧綱領と比較した新綱領の特徴を紹介。また、新綱領について「『公共の利益』という言葉の曖昧さに懸念がある。人権救済機関を検討すべきだ」などの「見解」を発表した新聞労連の法規対策部長・山田健太さんが、新綱領の問題点を指摘した後、新綱領をどう生かしていくかなどをめぐって討論した。

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2000年06月19日

第155回 団体規制法違憲訴訟など報告

 人権と報道・連絡会の第155回定例会が6月19日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。この日のテーマは「団体規制法違憲訴訟と最近のアレフ排斥の動き」。宗教団体・アレフ(村岡達子代表)が今年2月、団体規制法による観察処分の取消などを求めて起こした違憲訴訟の第1回口頭弁論が6月15日に東京地裁で開かれた。例会では、教団の広末晃敏・法務部長が第1回口頭弁論の概要や「オウム・サリン研究継続」報道など最近の報道の問題点を報告。また、千葉県内で広がっているアレフ信者排斥の新たな動きについて、今月4~5日に現地で調査した人権と報道・連絡会・栃木グループの手塚愛一郎さんらが現地の状況を報告した。

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2000年05月15日

第154回 桶川事件と報道の役割

 人権と報道・連絡会の第154回定例会が5月15日夜、中央大駿河台記念館で開かれ約40人が参加した。この日のテーマは「桶川事件と報道の役割」。 99年10月、埼玉県桶川市で起きた女子大生刺殺事件は、「ストーカー殺人」として大きく報道され、被害者のプライバシーや人権を侵害する興味本位な報道が繰り広げられる一方、捜査の過程では警察が被害者に告訴の取り下げを求めるなどの問題があったことが明らかになってきた。例会では、まず世話人の山口が事件の経過と報道の概要を報告した後、組合としてこの事件の報道検証に取り組んでいる埼玉新聞労組の田付智大さんから、組合での検証の経過などを報告していただき、被害者報道のあり方、警察の捜査をチェックするメディアの役割など、事件報道の現状と課題について討論した。

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2000年04月03日

第153回 少年実名報道容認の大阪高裁判決問題

 人権と報道・連絡会の第153回定例会が4月3日夜、中央大駿河台記念館で開かれ、約40人が参加した。この日のテーマは「少年実名報道容認」判決。 98年1月に起きた大阪・堺市の通り魔事件報道で、月刊誌『新潮45』は当時19歳だった男性被告の実名・顔写真を掲載した。これに対して男性が、『新潮 45』記事は少年法違反・プライバシー侵害などとして損害賠償を求めた裁判で、大阪高裁は2月29日、「少年の実名や顔写真掲載は不法行為」とした一審判決を取り消す原告敗訴の逆転判決を下した。
 例会では、原告代理人の木村哲也弁護士が、訴訟の経過と今回の判決の問題点を指摘、連絡会世話人の山口が、高裁判決後に『新潮45』が行った判決特集を批判した。
 報告・討論では、メディアの私的制裁を認めた高裁判決や、「少年の人権は守られているのに被害者は・・」という「エセ被害者論」に強い批判の声が出された。

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2000年03月13日

第152回 警察に通報の山形新聞・京都新潟事件

 人権と報道・連絡会の第152回定例会が3月13日夜、お茶の水スクエアで開かれ、約50人が参加、「佐藤国賠訴訟」と「京都・新潟事件の報道検証」の二つのテーマで報告を受け、討論した。佐藤国賠訴訟は、84年に山形県で起きたひき逃げ事件で、山形新聞記者の「犯人視通報」によって冤罪に陥れられた佐藤治一さんが無罪確定後、山形新聞と県・国を相手に損害賠償を求めているもので、代理人の阿部泰雄弁護士が裁判の経過と山形新聞側の主張の矛盾点を中心に報告した。京都・新潟事件の報道については、連絡会世話人の山口が、週刊文春などの「被害者の人権」に名を借りた被疑者制裁論の虚構、新聞の実名原則の矛盾などについて問題提起した。

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2000年02月14日

第151回 団体規制法下のオウム報道を検証

 人権と報道・連絡会の第151回定例会が2月14日夜、お茶の水の中央大学駿河台記念館で開かれ、約50人が参加、「団体規制法下のオウム(アレフ)をめぐる報道」をテーマに報道を検証・討論した。連絡会の山際永三事務局長が、団体規制法とその報道の問題点を中心に経過を報告。教団の法務担当・広末晃敏さんと広報担当・荒木浩さんから、教団と信徒の現状や団体規制法の「観察処分」に基づく立ち入り検査の実態、「長男連れ去り事件」と報道されたトラブルの真相などについて報告を受けた。報告・討論では、広末さんらが教団の実情について率直に疑問に答え、公安調査庁と警察情報に依存した「オウムたたき」報道を続けるだけで、破防法・団体規制法の危険な本質を伝えないマス・メディアの「公安広報」性が浮き彫りになった。

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2000年01月17日

第150回 「ゆがんだ母性」について2件

 人権と報道・連絡会の第150回定例会が1月17日夜、お茶の水の中央大学駿河台記念館で開かれ、約30人が参加、99年11月の「文京区女児殺害事件」と12月の「皇太子妃・懐妊の兆候」報道を検証した。女児殺害事件は当初「お受験」殺人と報道され、「ゆがんだ母性」非難の記事が目立つ一方、被疑者・被害者双方のプライバシーが暴かれた。
 例会では、事務局の山口が報道の問題点を検証、こうした事件の背景を伝える報道のあり方について問題提起した。また、「懐妊の兆候」報道については世話人の浅野健一さんが報告。「皇太子妃懐妊情報は国民全体にとっての朗報」とする朝日のスクープ感覚、それに追随したメディア全体の報道姿勢を批判した。

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