木村愛二の生活と意見 2000年10月 から分離

イスラエル軍本格攻撃と同時発生した米駆逐艦爆発に相似形の歴史などなど

2000.10.14(土)(2019.6.12分離)

 いささかどころか、手を広げ過ぎの昨今、Act-Locallyとしては、地元の武蔵野市の税金横領事件の背後に潜む政治犯罪、国鉄闘争の大揉め状況、Think-Globallyとしては、ユーゴ政変、パレスチナ内戦となると、とてもじゃないが、文章化する時間がない。早く光ファイバ-が全国に敷かれて、1時間ほど自宅キャスター番組のiMovie編集で速報できるようになることを切に念願しつつも、とりあえず、上記表題の問題および「パリ郊外でもユダヤ教寺院が放火される事件」(『日本経済新聞』2000.10.14)などについて、お定まり謀略の可能性への疑いを喚起し、拙訳『偽イスラエル政治神話』からの引用によって、しかし、決して「お茶濁し」ではない決定的な指摘を行う。

[イスラエル支持報道による事件の意味の逆転](p.286)

 著者のガロディは、様々な具体例に基づいて、「イスラエル支持報道による事件の意味の逆転」を指摘している。今の今、パレスチナ内戦を挑発し、挙国一致政権に加わることに成功する寸前の極右、アリエル・シャロンが総指揮官を務め、「サブラとシャティラのパレスチナ人キャンプで、史上空前の虐殺が繰り広げられた」レバノン侵略に関して、つぎの項目で『ル・モンド』(82・9・22)の寄稿記事を引用し、「われわれは歴史の前例から、教訓を引き出さなくてはならない」と記している。

[反ユダヤ主義の妖怪で世論を煽る常套手段](p.299-300)

 従来と同様に、シオニストは常に、反ユダヤ主義の妖怪を持ち出しては煽り立て、イスラエルに対する絶え間ない脅威が存在しているのだから、イスラエルには援助が必要なのだと、世間に信じ込ませ続けている。イスラエルの不当な請求に仮面を被せるためには、新しい挑発行為を重ねる努力も怠らない。手口は、いつも似たようなものである。[レバノン侵略で]サブラとシャティラの虐殺が起きた時、作家のタハル・ベン・ジェロームは、つぎのように記した。

《別の場所で同時に発生することが、何度も繰り返されると、ついには重要な兆候として理解されるようになる。現在、人々は、ヨーロッパにおける反ユダヤ主義的な暴行事件が何に奉仕し、その種の犯罪が誰の特になるのかを良く知っている。それは今、パレスチナやレバノンの民間人の住民に対する計画的な虐殺を、巧みに隠蔽する役割を果たしている。この種の暴行事件が、ベイルートでの流血の惨事に、あるいは先行し、あるいは続いて起き、あるいは同時に発生していることが確認できる。このテロリストの作戦は、彼らが追求している政治的な目的を、直接的または間接的に成し遂げる能力を見せており、現在までのところでは完璧に、その目的を果たしている。その目的とは、パレスチナ問題についての理解が、いささかでも高まり、同情を呼び始める度毎に、その関心を、そらすことである。この種の組織的な作戦によって、事件の意味が逆転し、犠牲者の方が逆に、残忍な殺人者やテロリストに仕立て上げられている。パレスチナ人を“テロリスト”に仕立て上げることによって、彼らから歴史を奪い、その結果として権利を奪っているのだ。

 八月九日のロジェル街での虐殺事件が起きたのは、ありとあらゆる種類の爆弾の豪雨が、ベイルートに降り注ぐ数時間前ではなかっただろうか?

 ベヒル・ゲマイエルの暗殺事件が起きたのは、イスラエル軍がベイルートの西部地区に侵攻してから、二時間後のことではなかっただろうか?

 しかも、この侵攻作戦は、その一方で、ヤセル・アラファトの法王訪問という画期的なニュースを、片隅に押しやってしまったのである。

 カルディネット街で爆弾を仕掛けられた車が爆発し、その翌日には、ブリュッセルのユダヤ教会堂の前で銃撃戦が始まったのは、サブラとシャティラのパレスチナ人キャンプで、史上空前の虐殺が繰り広げられたのと、時期が合致するのではないだろうか?》

アメリカで報道されたユーゴ大統領選挙への内政干渉「予算」

 ユーゴ大統領選挙の報道状況については、別途、詳しい批判を記す予定だが、日本の大手メディア報道でも少しは臭っていた内政干渉の「ゼニゲバ」情報源だけを指摘する。手元の資料の中では、日本共産党の山口県委員会の主流派が独立した「日本共産党左派」の機関紙、『長周新聞』(2000.10.10)が、「アメリカ議会が認めただけでも7700万ドルの資金を拠出」と報じているが、東京のユーゴ大使館からの手紙によると、この情報源は、ワシントン・ポストの9.22.号のようである。ユーゴ大使館は以下のように記している。


 Prior to these elections, the US Administration paid US$ 77.2 million to Yugoslav opposition, a public fact also confirmed by a daily close to US Administration, The Washington Post, on 22 September 2000. The same was also confiromed by sources in US Congress, the Department of State and others.


 US$ 77.2 millionは円で約100億円になる。ユーゴ連邦共和国の人口が約1千万、日本の10分の1以下であることを勘案すると、日本の総選挙で外国から約1千億円の政治資金が流れたことに等しい。日本でもアメリカでも、選挙への外国からの政治資金投入は、違法この上ない事件であるが、相手が小国なら、何をやっても許される世界なのである。

 丁度、本日、武蔵野市の中央図書館に注文して置いた新刊本が、やっと届いた。題名は『アングロサクソンは人間を不幸にする』、著者は1942年にカリフォルニア州で生まれたアメリカ人、経済学博士、日本で株式会社アシストを設立して代表取締役、出版社は松下財閥の肝煎りのPHP研究所。なのに、「世界一の偽善国家・アメリカ」などと過激な項目ばかり。

 2000.9.18.初版1刷、10.6.2刷発行。売れてる。ああ、羨ましい。