なぜイラクなのか? その2:10年の湾岸戦争準備

中東パレスチナ・ユダヤシオニスト・湾岸戦争・イラク戦争 ― 論証と資料

イラクの政治的位置 その2:10年の湾岸戦争準備

1:予備知識なき報道

2:10年の湾岸戦争準備

3:アメリカ上院議事録

4:世界シオニスト機構機関誌

1998.3.8.初入力。

その2:10年の湾岸戦争準備

(旧著『湾岸報道に偽りあり』1992年、汐文社より)

OPEC結成の1960年以来のアメリカの対中東戦略

[前略]
 イラクがOPECで要の位置を占め続けていたことと、最も反欧米的だったという点だけは、強調しておきたい。

 OPECの結成は1960年9月であり、結成メンバーは、イラン、イラク、クウェイト、サウジアラビア、ヴェネスエラの5ヵ国であった。そのときイラクは、親英派のカイライ王政を倒したばかりのカセム民族政権の下にあった。クウェイトは独立前であった。反欧米的要素を表面化したOPEC加盟国は、イラクだけであった。翌1961年のクウェイト独立から1963年のイラクでの軍事クーデターにいたる経過は、すでに紹介[省略]したところである。OPECの結成と石油国有化方針が、カセムの命取りであった。

 カセム打倒のCIAクーデターは、OPECつぶしでもあった。その証拠に、OPECは結成以後1970年までの10年間、ほとんど成果を挙げることはできなかった。

 だが、1968年にはイラクでバース党によるクーデターが成功し、アル・バクル=サダム・フセイン政権が樹立された。倒した相手の軍事政権は、CIAの援助によってカセムを殺害した親米政権の継続であった。つまり、それを倒した民族派のバース党政権は、反米的な立場だったのである。このような歴史的経過を踏まえて見ると、イラクの軍事独裁政権は、アメリカの石油マフィアとCIAの謀略が生み出した「鬼っ子」だと理解すべきであり、生みの親のアメリカにはそれを非難する権利はない。

 1969年には、リビアでカダフィがカイライ王政を倒した。リビアは1960年代から石油の産出を始め、この時期には世界最大の石油輸出国となっていた。リビアも当然、OPECの主要メンバーとなった。

 1971年のOPEC総会は、外国資本の石油会社に対する51%資本参加要求を決議した。翌1972年、イラクは先頭を切って石油国有化に踏み切ったが、メジャーの不買同盟により販路を断たれて困窮した。政権ナンバー2のサダムは国家計画委員会の議長などの立場で、これらの国家計画の先頭に立ち、「イラク石油」を支配する英・米・仏・蘭の四ヵ国資本を相手取り、難局を切り抜けた。世界第5位の埋蔵量といわれるルメイラ油田の開発は、サダムの指揮の下でソ連の協力により、イラク人技術者を養成しながら成功を収めたのである。OPECの資本参加要求は、その後100%に発展する。販路にも石油産出国が進出した。このようなOPECの血みどろの戦いの歴史の中心に、イラクという共和国と、その石油産業の発展に異常ともいえる精力を傾けたサダム・フセインがいたのである。このことの意義が湾岸戦争のマスコミ論評では、ほとんど無視されていたといってよい。イラクとサダム・フセインは、イラン・イラク戦争という特殊な時期を除けば、西側のメジャーにとって最も憎むべき宿敵に他ならなかった。だから、イラン・イラク戦争が終わってしまえば、ただちに「悪魔化」の対象とされ、始末される運命にあったのである。

 1973年には「石油武器論」が登場し、現実に対イスラエル戦略として行使された。第四次中東戦争に当たってOAPEC(アラブ石油輸出機構)は1973年10月17日、

1、第三次中東戦争による占領地域からのイスラエルの完全撤退。

2、パレスチナ人の権利回復。

 この二つの要求を掲げて、敵対的なアメリカとオランダへの全面石油禁輸、非友好国への供給制限という「石油戦略」を発動した。これにOPECの大幅な価格引き上げが加わり、「オイル・ショック」という世界を揺るがす事態となった。

 OPECの主力をなすアラブ諸国が石油価格を武器として操作すれば、国際的な大変動を生み出せることが、衝撃的に示されたのだ。[中略]

 1979年に大統領になったサダムは、「アラブの大義」を中心課題とする「アラブ憲章」をまとめ、盛んに宣伝していた。

 イスラエルも、特にイラクを敵視していた。1981年には、イラクの原子炉を「原爆関連施設」と称して爆撃した。[中略]

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1:予備知識なき報道

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3:アメリカ上院議事録

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書籍:湾岸報道に偽りあり