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WEB雑誌『憎まれ愚痴』94号(2003.9)−証言記録連載4回の第3回)

1994年10月12日「湾岸平和訴訟」大法廷での木村愛二証言記録
(その3)

中東問題総合
イラク〜湾岸戦争〜イラク戦争
1994年10月12日「湾岸平和訴訟」大法廷での木村愛二証言記録
(1)『湾岸報道に偽りあり』執筆に至る経過と調査の内容」
(2)「アメリカが仕掛けたイラン・イラク戦争以後の対イラク謀略の構図」
(3)「アメリカのダブル・スタンダード、振り回す正義の旗は二枚舌」
(4)「情報操作・アメリカのマスメディアと日本のTV系列の対米従属の実態」
アメリカを考える

(画像)イラク戦争
(画像)戦争の姿:
バスラ攻撃の犠牲者他
(注:衝撃的な写真です)











転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

1994年10月12日「湾岸平和訴訟」大法廷での木村愛二証言記録
(その3)

(2003.9 小見出しを追加)
「アメリカのダブル・スタンダード、振り回す正義の旗は二枚舌」

原告ら代理人(池田)(以後の「代理人」はすべて池田)
代理人67 今まで証人が証言された内容は、この湾岸戦争が、アメリカによる中東の石油資源確保のための仕組まれた戦争だというふうな結論を出しておられます。では、ちょっと、中間まとめの補足をしたいんですが、この湾岸戦争にいたるまでの中東における利権争奪の歴史的な経過はわかったんですが、いわゆるカーター・ドクトリンが出てから、一九八○年ですね、湾岸戦争、つまりイラクのクウェート侵攻が始まる一九九○年、この一○年間に世界は大きく変わりますね。

木村愛二 はい。

代理人68 いわゆるワルシャワ機構崩壊、米ソ和解、ソ連の崩壊、ベルリンの壁の崩壊、こういう状況で、アメリカとソ連の熾烈な軍拡競争、膨大な軍事競争ですね、米ソ核戦争が始まるかどうかという危機的な状況から開放されて、米ソが和解したと、こういう状況のもとで、なおアメリカは、この謀略戦争の計画を捨てなかった、何故捨てなかつたか、この点については、証人は、どういうふうに分析しておりますか。

木村愛二 湾岸危機が始まる直前には米ソ和解があって、日本でも、自衛隊が必要ないんじゃないかと。日米安保条約の必要がなくなるんじゃないかという議論が、一斉に出たわけですけれども、それが湾岸危機で全部吹っ飛んでしまった。それには、アメリカ自身の軍事的な準備に、一つ問題があると思います。
 おっしゃられたように、米ソの核競争があって、レーガン時代には、スター・ウォーズということで、核ミサイルが飛んで来たら空中でそれを落とすということで、相当なことをやったわけですけれども、これは最近のアメリカのテレビで報道されましたが、まつたくの嘘だったわけですね。画面を作って、成功したかのようにやったわけですが、そういうことで一つ、金を使って軍需産業は稼ぐんだと。しかし同時に、一九八○年代の半ばから、地域紛争に対する軍事力、これが実際には緊急展開軍と一致するわけですけれども、アメリカの言葉では、ロー・インテンシティー、低い強度ですね、低強度紛争、そういう軍事力を準備しだしたんですね。それが、湾岸戦争に出てくる。つまり、アメリカは、米ソの和解ということを睨みながら、そうなってきたら相手がいなくなるんですから、そのときに地域紛争というものを一つの材料にして、世界を軍事支配すると。一極支配という言葉が使われていますが、そういう準備をしていたと。それが湾岸戦争で表面化したのであって、そういう意味では、大変な転換期だつたと思います。

代理人69 そうすると、米ソの和解が、世界の平和をもたらすんではないかというその世界の国民の期待ですね、そういう期待と違う方向で、紛争を武力で解決するという政策、これを捨てることができなかったということなんでしょうか。

木村愛二 はい、そうなります。戦後の日本が再軍備をしたきっかけは朝鮮戦争ですけれども、そのときもそうだと言われておりますけれども、アメリカの言葉に、アメリカンフットボールの言葉で、オフ・タックルという言葉があるんですけれども、触らないタックルという意味ですね。触るとルール違反なもんですから、触らないで相手を倒すという言葉がありますけれども、相手に仕掛けさせて、それを撃つというのが、アメリカの戦争のやり方だと言われていますが、湾岸戦争は、まさにそれを準備して、それによってアメリカの軍需産業が生き残るという、同時に石油産業も湾岸を支配する、こういう準備だつたと思います。

代理人70 そうしますと、仕掛けられた戦争ということで、正義の戦争ではなかったということですが、いわゆる湾岸戦争を正当化する論理として、国連決議に基づいた違法な侵略行為に対する制裁、つまり正義の戦争である、だから、この湾岸戦争は、日本政府もそれなりに貢献するということですが、この正義の戦争だという意見については、どういうふうにお考えですか。

木村愛二 正義の根拠というのは、イラクがクウェートを侵攻したと、侵略をしたと、これは明らかに国際法上の違反でありますし、私自身も日本の平和憲法の考え方から言つて、間違った行為だと思います。相手を殴つたわけですから。しかしそれを、殴らせるように仕組んだほうにも問題がある、

 もう一つは、アメリカのことを今まで言いましたけれども、イラクについてもやはり、サダム・フセインが独裁者であり、しかも、もともと政権を握る前に暗殺行為をやったこともあるという人間でもあると。その後も、反対派を殺しているということも、事実だと思いますね。ですから、いろいろ問題にする事実があると。しかし、アラブ人に話しますと、アラブ諸国は全部、独裁国ですと。サウジアラビアやクウェートは王様ですよ、封建君主ですよ、というわけですね。ですから、そういう独裁的な問題があるからといって、それを世界の先進国が夕−ゲットにして、いじめ抜いて手を出させるということが正しいかどうか。特に日本は、中国を侵略したときに何をやったか。満州国を作ったときに、張作霖を馬賊上がりであると、阿片漬けであると宣伝して、これを列車ごと爆殺して、しかも、これは事実が明らかになっていますが、日本の軍人がやったことです。そういう形で中国を侵略したわけです。いわば先進国、形としては民主主義の国からすれば、第三世界というのは大体、封建的な国であるし、君主は独裁的な問題がある。そのことを捉えて、これを悪魔化して侵略するというのは、前世紀からの侵略の手口なんですね。そのことを明確に見る必要があると思います。

代理人71 アメリカが国連安保理の決議の音頭を取っていますね、これは間違いないですね。

木村愛二 はい。

代理人72 安保理決議を通したことによつて、その湾岸戦争を正当化しているわけですけれども、この正当化理由については、あなたはどういうふうに考えていますか。

木村愛二 日本では、単に、国連決議というふうに報道されていますけれども、国連には、安保理決議と総会決議があるわけですね。ところが、アメリカは、ブッシュ大統領自身がもと国連大使でもあって、安保理で議論していることは安保理が扱っている間は総会では議論しないという習慣ですね、それを巧みに利用して、総会でこの問題を議論させなかったんですね。総会になれば、いろんな意見が出ますし、反対も多いですから。安保理の中のメンバーだけを説得し、多くの国、ソ連や中国にも、いろいろ援助の約束をしたりして、票を買ったわけです。

代理人73 例えば。

木村愛二 ソ連や中国に、援助の約束をしています。ソ連には三○億ドルですかね、日本はまた別の形で供給する手伝いしていますけれども、これは数字的に明らかですね。その買収に応じなかったのが、イエメンとキューバですけれども、イエメンに対しては、国連の決議が終わった直後に、アメリカの国連大使が、これは高くつくぞと脅かしました。これは、アメリカのテレビで報道されて、日本でもやっていますけれども、そういうえげつないことをして、安保理で決議を通したと。しかも、安保理で決議を通すというだけでなく、それを利用してアメリカの国会で、議会で決議を取るということがねらいだったようですね。しかも本来ならば、国連というのは、憲章に基づけば、国連軍を設置して、その軍事委員会の指揮のもとで、事務総長の権限の中で動かなくてはいけないわけですけれども、これを多国籍軍、実際には、同盟軍という言葉を彼は使っておりますけれども、自由に動ける形にして、アメリカが考えた作戦を、そのまま実行できる形のやり方をしたという意味では、いろんな形で考え抜いてやったやり方だと思います。

代理人74 そのアメリカの主導権で行動を起こした中心部隊が、いわゆる一○年掛かって建設した中央軍だったわけですね。

木村愛二 そうです。

代理人75 その中央軍が、出動命令があってから一○日以内に中東に展関をすると。八九年にはもうほぼ準備は完了していたと。そして、いわゆる仕組まれた形で、うまく、イラクがクウェートに侵攻をしてくれたと。時を移さず、完了した準備に従って、行動を起こしたと。これが湾岸戦争というふうに見ていたんですね。

木村愛二 さきほども輸送力の準備を申し上げましたけれども、日本人として一番象徴的な問題は、日本が降伏の調印をしたミズーリという戦艦がありますけれども、まさに老朽船ですが、これが湾岸戦争が終わってから退役してスクラップになつたということが報道されています。そういう老朽船まで使って、輪送力を確保したのが、実際のやり方だったということです。

代理人76 イラクがクウェートに侵攻した、そして湾岸戦争が米軍の主導に始まった。イラクが同じくイランに侵攻をしたときには、アメリカは非難をしましたか。

木村愛二 とがめもせず、むしろ武器を供給しました。

代理人77 同じ他国に対する武力侵攻ですね。

木村愛二 そうです。

代理人78 アメリカの政策には矛盾がありますね。

木村愛二 はい。

代理人79 何故ですか。

木村愛二 アメリカは常にダブル・スタンダードと言われていますけれども、アメリカが振り回す正義の旗というのは、日本語で言えば二枚舌ですね。前回も、大江さんが証言されましたけれども、チモールの問題については何ら非難をせず、イラクのクウェート侵攻については、ただちに大声を上げて非難決議を取ろうとしたと。こういうことは、だれの目から見ても明らかだと思います。

代理人80 イラクは、アメリカが干渉をしないであろうというふうに、確信をしていたことは間違いないわけですか。

木村愛二 そこまでは断定できませんけれども、グラスピー大使の発言だとかケリー次官の発言ですね、そういうところから、サダム・フセインのほうは国境地帯を占領して何とか話合いに持ち込めると、思っていたかもしれません。そのへんは情報が入り乱れていますから確言はしにくいと思います。

代理人81 中東の石油利権の争奪の歴史の中で、アメリカは一九三○年代から割り込んで来たと。その前は中束の石油の利権はイギリスとフランスで分け合っていましたね。

木村愛二 ドイツもあったんですけれども、ドイツは第一次大戦で負けて、それを全部奪われました。

代理人82 そうして第一次大戦以後はフランスとイギリスが山分けをして、これにアメリカが遅れて介入をしていくという、こういう図式ですね。

木村愛二 オランダなんかも関係していますけれども、いわゆるヨーロッパ勢に対してアメリカのほうが割り込んで行くということで、二○世紀、だんだんアメリカのシェアが増えていくということになったと思います。

代理人83 その経緯については、第四準備書面で、湾岸戦争にいたる経過、これで詳細に述べておりますので、それに譲りますが、この準備書面作成にあたっての参考文献を、その準備書面の末尾に付けてあります。三三本の参考文献を挙げていますが、三三本の参考文献は、「湾岸報道に偽りあり」というあなたの著作の中で挙げた参考資料の中から提供してもらったものに間違いないですね。

木村愛二 はい。その中の主要なものです。

代理人84 第四準備書面は、湾岸戦争にいたる経過、湾岸戦争の実態、正議の戦争の真実、こういう項目で詳細に展開しておりますが、その資料はあなたが提供をした資料に基づくものであると。ですから詳細な具体的な事実関係は、これら文献を参照すればいいんじゃないかとこういうことですね。

木村愛二 はい。
(以上 行田京子)

代理人85  それで、湾岸戦争が始まった。本来ならばイラクがクウェートに侵攻してきたんだから、クウェート国内のイラク軍をクウェートの国境から押し戻せば、いわゆる正義の戦争としての目的は達するわけですよね。ところが実際に行われた、いわゆる多国籍の攻撃はそういう基準をはるかに越えてきましたね。

木村愛二 はい。

代理人86 どういう越え方をしてましたか。通常の国境侵犯、侵略の撃退という限度をはるかに越えた戦争でしたね。

木村愛二 はい。ともかく、クゥェートから撤退しろと言っているのに、まず爆撃したのはイラクの首都のバクダッドですね。その他、一斉に爆撃しましたけれども。

代理人87 どこを爆撃した。

木村愛二 アメリカは軍事施設だと言い張っていましたけれども、実際には私も、小さなち記事ですぐ発見したんですが、イラクの石油精製能力の九五パーセントを数日間で破壊したと言われてますね。だから生産施設を破壊している。しかも、それ以外に建物は大きければほとんど破壊したというふうに言われてますね。ですから、民間人が被害に遭うことは承知の上で爆撃を行っています。

代理人88 例えば、水源地、民衆の基本的な生活を支える施設、病院、学校、教会、こういった民生施設ですね。これらの破壊が続きましたね。

木村愛二 はい、続きました。続いただけじゃなくて、その後当局者の発言として出ておりますけれども、イラクの国力そのものを低下させる目的があったというふうに当局者自身が認めているわけです。

代理人89 当局というのは。

木村愛二 アメリカの軍当局ですね。

代理人90 つまり、国家機能を完全に破壊してしまうという攻撃の仕方ですね。
木村愛二 はい。そうとしか思えない攻撃の仕方をしてます。

代理人91 無差別爆撃は当たり前ですね。

木村愛二 はい。

代理人92 イラクの民衆に対する被害はどうだったと聞いてますか。

木村愛二 数字としては何十万というふうな報道もされておりますけれども、十分には確かめられてないという状態だと思います。

代理人93 環境破壊についてどういうふうに聞いてますか。

木村愛二 ともかく、水道から電源から全部を破壊されたわけですから、生活水準は非常に落ちているし、死者が多いだけじゃなくて医療施設も破壊されているから治療が不可能というような状態に陥っているというふうに聞いてます。

代理人94 現在。

木村愛二 そうです。

代理人95 「イラク兵の生き埋め」とか「地獄のハイウェイ」、まあ典型的な例が挙げられますね。こういうケースも報道されてますね。

木村愛二 はい。

代理人96 これは事実ですか。

木村愛二 はい、事実ですし、前回、大江さん[注]が「地獄のハイウェイ」の話はされましたんで、つまり、アメリカの作戦はイラク軍の退路を断って殲減するというやり方で迂回作戦を取ったわけですが、そこで「地獄のハイウェイ」が起きるわけですけれども、その進軍途中の話があまり伝わっていないので今日、写真も提出しましたが。
[[注]「大江志乃夫」証言:
http://archive.jca.apc.org/peace-st/saibansyo/ooe.html
[市民平和訴訟の会・東京]日本軍事史研究者の証言
[以下は抜粋]
速記録
原本番号 平成五年(民)第八○三号の五
平成六年七月四日
第一三回口頭弁論
本人氏名 大江志乃夫
添付書面
経歴・専門分野・主要著書
一九四一年四月 熊本陸軍幼年学校入校、四四年二月同校卒業。
一九四四年三月 陸軍予科士官学校入校、陸軍航空士官学校在学中に敗戦、同校中退。
一九五三年四月 名古屋大学大学院(旧制)入学、五四年七月同大学院中退。
一九七六年五月 茨城大学人文学部教授(社会史担当)、東京教育大学文学部・同文学研究科助教授ついで教授兼任。
昭和五○年三月 著書日国民教育と軍ーー−日本軍国主義教育政策の成立と展開」により、東京教育大学より文学博士(文第四二号)の学位を授与される。
専門分野
日本近現代史、とくに日本軍事史(日本軍隊・軍事制度および日露戦争に関する著書が多い)。
主要な著書
「日露戦争の軍事史的研究」一九七六年 岩波書店。
「日本の参課本部」(新書)一九八五年 中央公論社。
「張作霖爆殺」(新書)一九八九年 中央公論社。
 その他、編著書、監修書、学術書収録論文、学術雑誌掲載論文多数。

甲第ね号証の一九を示す

代理人97 「イラク兵の生き埋め」、これですね。

木村愛二 そうです。これはテレビ朝日の一九九一年、戦争があった年の年末特集で追跡調査したイラク兵の死体部分をカラーのビデオから写真を作ったものです。つまり、これはいろいろ報道されてますけれども、迂回作戦のために非常に急いで進軍したわけですね。そこでイラク軍が塹壕を作っていると。これに対して、実際は降伏の呼び掛けをしなきゃいけなかったわけで、日本に対する太平洋戦争の最後の沖縄戦でも、アメリカ軍は隆伏の勧告を行って、それでも出てこなければ艦砲射撃するというやり方を取っておりますけれども、降伏の勧告をせずに、ブルドーザーを先頭に立てて、塹壕を埋めながら進軍したということですね。それは、あとから掘り返した死体の写真です。

代理人98 「不必要な大量殺戮」、こういう事態でまとめられますね。

木村愛二 はい。

代理人99 これらはいわゆる国際法、戦時国際法に違反すること、それからいわゆる国際人権法の諸条約、これにも違反すること、これは当然でしょうね。

木村愛二 はい。ですから、戦後にアメリカは、イラクの戦争犯罪といろいろ言い立てておりますけれども、そういうことで降伏を迫ったり、戦争犯罪の法廷を開こうとしなかったんですね。そのことに対しては、むしろ、軍事的な問題に詳しい人達のほうが、それをやれば、アメリカの戦争犯罪も暴き立てられると。だから、やらなかったんだというふうに言ってるぐらい、いろいろ無茶なことをやっております。

代理人100 ラムゼイ・クラークさんがプッシュの戦争犯罪を裁く国際法廷がありましたね。

木村愛二 はい。

代理人101 ここで、それらのアメリカの戦争犯罪を一九項目にわたって公開していますね。

木村愛二 はい。

代理人102 これは証拠に出してあるから、ここで引用さしてもらいます。そこで、先程の安保理の決議で一つ聞きもらしたんですが、アメリカが中東の石油利権に大変な関心を持って行動を起こしたと。じゃあ、イギリスとフランスは、どういう行動をとったんですか。

木村愛二 国連の常任理事国では、フランスとソ連が、一生懸命調停する動きをしましたですね。

代理人103 フランスとロシア、当時のソ連ですね。

木村愛二 はい。ですから、サダム・フセインも、撤退する話を何度もするんだけれども、むしろアメリカは、それを壊すような動きをして、イラクを挑発して、撤退させないようにしたと。アメリカは、一番湾岸危機で恐れていたのは、イラク軍が撤退することだというふうに言われておりますけれども、そういう状況の中で、フランスとソ連は調停に回った。しかし、イギリスは、もともとクウェートはイギリスのシェアが大きかったですから、イギリスのサッチャー首相は、ブッシュ大統領を激励したと言われているほど、一緒になって戦争の方向へもって行きました。

代理人104 じゃあ、アメリカとイギリスは、非常に緊密な共同行動をしたと。
       
木村愛二 はい。

代理人105 それから、中国は、どういう動きをしたんですか。

木村愛二 中国はむしろ、沈黙したままという形で、最終的には安保理決議は棄権だったですね。

代理人106 アメリカは中国に対して、かなり利権と、あるいは利益誘導なんかした可能性はありますね。

木村愛二 ありますね。

代理人107 その結果、反対から棄権に回ったと、こういうふうに見ていいんですか。

木村愛二 反対の決意を固めていたかどうかあやしいんですけれども、ともかく棄権になったと。

代理人108 そうすると、安保理の中にも意見は微妙に違うわけですね。

木村愛二 はい。

代理人109 結局、アメリカの戦略に、皆、従わざるを得なかったと、こういうことですか。

木村愛二 はい。

(その3)終わり。(その4)に続く

 以上。

WEB雑誌『憎まれ愚痴』94号

 

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