『亜空間通信』1014号(2005/05/17) 阿修羅投稿を再録

イラク派兵違憲確認・差止・損害賠償請求事件に典型的「門前払い」判決は逃げの一手の卑怯未練

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『亜空間通信』1014号(2005/05/17)
【イラク派兵違憲確認・差止・損害賠償請求事件に典型的「門前払い」判決は逃げの一手の卑怯未練】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 一昨年3月30日に、略称「小泉レイプ事件」と二刀流、二丁拳銃の戦いとして提訴したイラク派兵違憲確認・差止・損害賠償請求事件に、昨日、典型的な「門前払い」の判決が出た。逃げの一手の卑怯未練でしかない。

 以下、判決の全文を紹介し、その後に、最終的な準備書面(7)を添える。要するに、一番肝心なところは、まったく避けて通っているのが、以下の判決なのである。

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平成17年5月16日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成16年(ワ)第7044号 違憲行為差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成17年3月14日
  判決
東京都武蔵野市中町2-6-2新和コーポ武蔵野202号室
 原告 木村愛二
東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
 被告 国
 代表者法務大臣 南野千恵子
 指定代理人 宮田誠司
  同 山本美雪
  同 石川さおり
  同 峯金容子
  同 山田 聡
  同 原 克好
  同 七種義幸
  同 幸野哲也
  同 松下陽子
  同 小原 達
  同 原  進
  同 近藤 航
  同 弓削州司
  同 深澤 直
  同 松尾友彦
  同 亀井遵児
  同 井草真言
  同 中野憲幸
  同 林美都子
  同 吉弘幸雄

  主 文

1 原告の請求の趣旨第1項(差止請求)及び第2項(違憲確認請求)記載の各請求に係る訴えをいずれも却下する。

2 原告の請求の趣旨第3項記載の請求(損害賠償請求)を棄却する。

3 訴訟費用は,原告の負担とする。

  事実及び理由

第1 請求の趣旨

 1 被告は「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により自衛隊をイラク並びにその周辺地域及び周辺海域に派遣してはならない(以下「本件差止請求」という。)。

 2 被告が「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により,自衛隊をイラク及びその周辺地域に派遣したことは違憲であることを確認する(以下「本件違憲確認請求」という。)。

 3 被告は,原告に対し,金1万円及びこれに対する平成16年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(以下「本件損害賠償請求」という。)。

第2 事案の概要

 1 本件は,原告が,被告が憲法に違反して「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(以下「イラク人道復興支援特措法」という。)に基づき自衛隊をイラク及びその周辺地域に派遣したこと(以下「本件派遣」という。)により,平和的生存権及び納税者基本権並びに人格権が侵害されたと主張して,被告に対し,本件派遣の差止め及び本件派遣が違憲であることの確認並びに損害賠償を請求した事案である。

 2 前提事実(末尾に証拠を掲げない事実は,当事者間に争いがない。)

 (1) 原告は,昭和12年生まれの男性で,テレビ局等に勤務した後,昭和63年からジャーナリストとして稼働している。原告は,中東問題等について多数の図書を執筆し出版している。

 (2) 平成15年7月26日,第156回国会においてイラク人道復興支援特措法が可決され,同年8月1日,公布,施行された。

 被告は,「イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画」を閣議決定し,航空自衛隊,陸上自衛隊及び海上自衛隊に準備命令を発し,航空自衛隊先遣隊をクウェート,カタールに派遣し,陸上自衛隊の本隊をイラク南部サマワに派遣した。

 3 当事者の主張

 (1) 原告の主張

 被告は,平成15年7月26日,第156回国会においてイラク人道復興支援特措法を成立させ,「イラク特措法に基づく対応措置に関する基本計画」を閣議決定し,航空自衛隊,陸上自衛隊及び海上自衛隊に準備命令を発し,航空自衛隊先遣隊をクウェート,カタールに派遣し,陸上自衛隊の本隊をイラク南部サマワに派遣した。

 被告は,上記派遣により,憲法に違反し,米国に従属して日本の独立主権を放棄し,敗戦後の日本の国連外交の基本政策をも無視し,原告の平和的生存権及び納税者基本権並びに人格権を侵害し,日本国民である原告に,計りがたい屈辱と苦悩を与えた。

 よって,原告は,平和的生存権及び納税者基本権並びに人格権に基づき,本件派遣の差止め及び本件派遣の違憲確認並びに国家賠償法1条1項により本件派遣によって被ったその精神的及び物質的な損害1万円の賠償を求める。

 (2) 被告の本案前の主張

 イラク人道復興支援特措法による本件派遣の差止め及び違憲であることの確認を求める請求は,いずれも訴訟要件を欠くから不適法である。

 ア 本件差止めの訴えについて

 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の本件派遣は原告に向けられたものではなく,そもそも原告の具体的な権利義務ないし法律関係に対し,何らの影響を及ぼすものではない。

 原告が主張する平和的生存権は,抽象的かつ不明確であり,具体的権利性を認めることはできない。また,原告が主張する納税者基本権についても平和的生存権と同様,その内実が一義的で明確なものとはいえず,実定法上の根拠もないから具体的権利性を認めることはできない。

 したがって,原告が主張する平和的生存権及び納税者基本権はいずれも国民個々人に保障された具体的権利とはいえないから,被告との間で具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争が起こりえないことは明らかである。

 原告は,上記のとおり,原告の具体的な権利・利益に直接関わらない事柄に関し,国民としての一般的な資格・地位をもって上記請求をするものであり,本件を民事訴訟として維持するため,一見,具体的な争訟事件のごとき形式をとってはいるものの,実際には,私人としての原告と被告との間に利害の対立・紛争が現存し,その司法的解決のために本件を提起したものではない。このような訴えは,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争ではなく裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たらないから不適法である。

 イ 本件違憲確認の訴えについて

 (ア) 法律上の争訟に当たらないこと

 本件違憲確認請求は上記アのとおり,原告がその根拠とする平和的生存権及び納税者基本権が国民個々人に保障された具体的権利とはいえないから原告の具体的な権利義務ないし法律関係に直接関わらないものであり,国民としての一般的な資格,地位に基づき日本国政府に政策の転換を迫る民衆訴訟の実質を有するものであるというべきである。したがって,本件違憲確認請求は裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たらないから不適法である。

 (イ) 確認の利益を欠くこと

 原告が本件違憲確認請求の根拠として主張する平和的生存権及び納税者基本権は,前記のとおり,国民個々人に保障された具体的権利とはいえず,原告の法律的地位を基礎づけるものではないから,自衛隊の本件派遣は,原告の有する法律的地位に何らの影響を及ぼすものではなく,何らの法律効果も伴わない単なる事実行為である。また,本件派遣によって原告において何らかの具体的な権利侵害を被ったというのであれば,原告はそれを理由として損害賠償を求めれば足りるのであり,損害賠償請求とは別個に自衛隊の本件派遣の違憲確認判決を求める利益はない。したがって,本件違憲確認請求は,確認の利益を欠き不適法である。

 (3) 被告の本案の主張

 ア 本件差止請求について

 原告が差止請求権の法的根拠として主張する平和的生存権及び納税者基本権は,いずれも国民個々人に保障された具体的な権利とはいえないから,本件差止請求は主張自体失当である。

 イ 本件損害賠償請求について

 原告が被侵害利益として主張する平和的生存権及び納税者基本権は,いずれも国民個々人に保障された具体的な法的権利とは認められず,国家賠償法上保護された利益とはいえない。

 また,本件派遣それ自体は,原告に向けられたものではなく,原告の法的利益を侵害するということは,およそあり得ない。

 さらに,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求においては,原告の国家賠償法上保護された利益が現実に侵害されたことが必要であり,侵害の危険性が発生しただけでは足りないところ原告は,現実に侵害が発生したことを主張立証していない。

 したがって,本件損害賠償請求は主張自体失当である。

第3 当裁判所の判断

 1 本件差止請求について

 (1) 本件差止請求は,平和的生存権及び納税者基本権並びに人格権に基づく妨害排除ないし妨害予防請求として民事訴訟上自衛隊のイラクヘの派遣差止めを求めるものであると解される。

 (2) そこで,まず,原告が本件差止請求の根拠であると主張する平和的生存権及び納税者基本権に基づく差止請求の適否について検討する。

 ア まず,平和的生存権につき検討するに,確かに,憲法は,前文において,恒久の平和を念願し,全世界の国民が平和のうちに生存する権利を確認することをうたい,9条において国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使を放棄し,戦力を保持せず,国の交戦権を認めない旨規定している。

 しかしながら,上記のいわゆる平和的生存権は,理念ないし目的としての抽象的概念であって,権利としての具体的内容を有するものとはいえない(最判平成元年6月20日民集43巻6号385頁)。したがって,平和的生存権が国民各個人に対し具体的権利として保障されているとか,法律上何らかの具体的利益として保障されていると解することはできない。

 イ 次に,納税者基本権につき検討するに,憲法は,国民は法律の定めるところにより納税の義務を負うとし(30条)新たに租税を課し又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件による(84条)こととする一方,国の財政を処理する権限は国会の議決に基づいてこれを行使しなければならないとして(83条),国費の支出は予算の形式で国会の審議・議決を受けることを要求する(85,86条)など,国費の支出については,国民の代表者によって構成される国会における審議等を通じて国民の意思を反映させることを予定している。憲法が,納税者である個々の国民に対し,国費の支出について原告の主張するような権利を保障していると解すべき根拠は見当たらないし,他に現行法制上,原告主張の納税者基本権なる権利ないし法的利益を認めた規定は存在しない。したがって,納税者基本権は,平和的生存権と同様,個人に対し具体的権利として保障されているとか,法律上何らかの具体的利益として保障されていると解することはできない。

 ウ したがって,原告が本件差止請求の根拠であると主張する平和的生存権及び納税者基本権は,いずれも法律上保障された具体的権利・利益ではなく,しかも,後記のとおり,本件差止請求が行政権の行使の取消変更等を求める請求を包含するものであることに鑑みると,およそ一般的,定性的に民事上の差止請求権が発生する余地のないことは明らかであるから,このような場合には,差止請求そのものが不適法として却下を免れない(乙1)。

 (3) 次に,原告の請求は,平和的生存権及び納税者基本権とは異なる一般的な人格権に基づく差止請求と解する余地もあるので,その適否についても検討することとする。

 ア イラク人道復興支援特措法は,自衛隊によるイラク人道復興支援特措法に基づく人道復興支援活動又は安全確保支援活動(以下「対応措置」という。)の実施に関し,大要次のとおり規定する。

 a 内閣総理大臣が対応措置のいずれかの実施が必要であると認めるときは,当該対応措置を実施すること及び当該対応措置に関する基本計画(①対応措置に関する基本方針,②当該対応措置に係る基本的事項,当該対応措置の種類及び内容,当該対応措置を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項,当該対応措置を自衛隊が外国の領域で実施する場合には,当該対応措置を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間等,③対応措置の実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項)の案について閣議の決定を求めなければならない(同法4条1項,2項。基本計画の変更も同様。同条3項)。

 b 内閣総理大臣は,基本計画の決定又は変更があった場合にはその内容を遅滞なく国会に報告しなければならず(同法5条1項),基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する対応措置については,当該対応措置を開始した日から20日以内に国会に付議して,当該対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならない(同法6条1項)。

 c 防衛庁長官は,基本計画に従って対応措置として実施される業務としての役務の提供について実施要領を定め,これについて内閣総理大臣の承認を得て,自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする(同法8条2項。実施要領の変更も同様。同条6項)。

 イ そして,本件派遣は,上記法令に定められた手続に基づき実施されているものと推認される。

 ウ 上記イラク人道復興支援特措法の規定によれば,本件派遣は,イラク人道復興支援特措法の規定に基づき防衛庁長官に付与された行政上の権限で公権力の行使を本質的内容とするものと解される。そして,本件差止請求が,必然的に防衛庁長官の上記行政権の行使の取消変更又はその発動を求める請求を包含するものであることは明らかである。そうすると,原告が被告に対し,このような私法上の給付請求権を有するものではなく,たとえ原告の人格権に基づいた請求であるとしても,本件請求は不適法である(最判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁参照)。

 (4) したがって,本件差止請求は,その余の点を検討するまでもなく不適法であり却下を免れない。

 2 本件違憲確認請求について

 原告は,本件派遣が違憲であることの確認を求めている。

 しかしながら,本件違憲確認請求は,原告の法律上の利益に関わらない資格で具体的な事件を離れて抽象的に国の行う国政行為の違憲の確認を求める訴えであり,原・被告間の具体的な権利義務に関する紛争と認めることはできず,結局,裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たらないと解するのが相当である。

 また,民事訴訟制度は,現在の法律関係をめぐる紛争を解決することを目的とするものであるから,確認の対象は,現在の権利又は法律関係でなければならず,単なる事実行為の確認はその存否を確認することが現在の紛争の直接的かつ抜本的な解決手段として最も有効かつ適切と認められるときに限って許されると解すべきであるところ,原告が違憲であることの確認を求めている対象は,被告による自衛隊の本件派遣という事実行為であって,現在の権利又は法律関係に係る訴えではないから,確認の利益を欠き本件違憲確認請求に係る訴えは,確認訴訟としても不適法であり却下を免れない。

 3 本件損害賠償請求について

 原告は,本件派遣によって,平和的生存権及び納税者基本権並びに人格権が侵害されたと主張する。

 しかしながら,上記において検討したとおり,平和的生存権及び納税者基本権は具体的な権利として保障されていると認めることはできないから,これを侵害されたことを理由とする損害賠償請求は,理由がない。また,原告の人格権の侵害を理由とする請求についても,本件派遣により原告の人格権が具体的に侵害されたと認めることはできないから,この点に関する原告の請求は理由がない。

 4 結論

 よって,原告の本件各訴えのうち,本件差止請求及び本件違憲確認請求はいずれも不適法であるから,これを却下し,本件損害賠償請求については理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担については民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。

 東京地方裁判所民事第17部
   裁判長裁判官 鬼澤友直
      裁判官 長谷川秀治

 裁判官細矢郁は転補のため署名押印できない。
      裁判長裁判官 鬼澤友直

これは正本である
 平成17年5月16日
  東京地方裁判所民事第17部
    裁判所書記官 浦崎 浩
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 以下が、(訴状)と、一緒に提出した証拠説明書である。
(2017.8.1 読みやすくするため、以下適宜区切りを入れています。)

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2004(平成16)年(ワ)7044号 違憲確認・損害賠償請求事件
原告 木村愛二
被告 国
準 備 書 面(7)
2004(平成17)年3月14日
東京地方裁判所民事17部 御中

原告 木村愛二

 被告は、本年、2004(平成17)年1月31日の口頭弁論において、原告の主張に対する反論を行なわないと答えた。

 原告は、甲号証として提出した具体的な証拠に基づいて、具体的に主張しているのであるから、被告は、証拠の認否を明確にして、具体的な反論を行なうべきであり、それが行なえないのなら、原告の主張を認めると答弁すべきである。

 原告は、本件のイラク派兵問題に関して、そのそもそもの発端であるアメリカでの通称、9.11事件を、その発生直後から、アメリカやイスラエルなどのアラブ諸国への侵略勢力の謀略であると疑い、警告を発してきた。

 原告は、イラク派兵以前の問題として、アフガニスタンとイラクに対するアメリカの攻撃の口実作りに、9.11事件を自作自演したものと、主張して続けてきたのである。今回は、その基本的な問題点に絞って、これまでの主張を、さらに具体的に深め、被告が、具体的な反論を行なうか、もしくは、原告の主張を認めるよう、強く求めることにする。

 原告は、前回の口頭弁論では、甲32号証として、2004年12月15日発行の季刊『真相の深層』4号を提出した。その特集には、《「全貌解明!!「9・11事件」やったのはブッシュたちだった!! 」》が掲載されている。

 今回は、別途の証拠説明書記載のごとく、甲34号証 原本、季刊『真相の深層』05春5号を提出する。

 その特集には、「スタンリー・ヒルトン氏が進めている”9.11事変”ブッシュ政権追及集団訴訟の訴状(続編)」がある。

 立証趣旨は、甲32号証と同様、イラク戦争に関するアメリカの口実作りである9.11事件に関して、被害者の家族が、アメリカ政府の犯行として訴えている事実、および、原告が事件の謀略性を疑い、徹底的な資料収集をし、雑誌記事として広めている事実である。

 被告は、9.11事件アメリカの発生以後、政府が正しいという前提に立って、アフガニスタン攻撃を支持し、イラク派兵を行なっているのであるから、そのおおもとのアメリカで、以上のような「やったのはブッシュたちだった!!」と主張する被害者家族の訴訟が進行中であってみれば、その帰趨を見定めるべきである。原告は、9.11事件に関して、国会における審議状況を示す目的で、甲5号証、季刊『真相の深層』2004春・創刊号を提出している。

 以下は、甲27号証と同じ内容の議事録であり、今回は、その要点の抜粋のみを示す。

平成13年10月24日(水曜日)午前9時1分開会
外交防衛委員会 本日の会議に付した案件(テロ特措法)

○佐藤道夫君 関連質問をさせていただきます。

 [中略]

 被害者であるアメリカ、これは当事者の一方ですから、これが証拠がある、証拠があるとわめいておりまするから、どんな証拠があるのか少し我々に示してほしいと。

 [中略]

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国内の刑事裁判みたいな証拠は確かにないと思います。しかし、アメリカはこれは個別自衛権の発動だということで、国際社会がそれを支持し、なおかつ、過去、タンザニア、ケニアあるいはUSAの艦艇のコール事件等、数々のテロ事件を受けて、いろいろ苦労に苦労を重ねた。しかし、そこに今回、ニューヨーク、ワシントンという、堪忍袋の緒が切れるような、限界を超えたと、テロも。だからこそアメリカが立ち上がり、国際社会が立ち上がったんだと思います。我々も、今のような形で、証拠がないからもっとゆっくりやれ、何もするなというような態度は、日本としては、また首相としてとり得ません。

○佐藤道夫君 何か法治国家のリーダーにふさわしくないことを平気でおっしゃいますね。証拠なんか何だ、アメリカは困っている、やれやれと言っている、それに協力しているだけだと。これはまさしく、さっきから何度も言っているやくざの論理ですよ。やくざが証拠なんて考えることはありませんからね。やれやれと言うだけの話であります。やっぱりどんなにつらくても証拠というのを一歩一歩踏み固めて前進していく、これが法治国家というものでありまして、これがテロだろうが外国の勢力だろうが同じことです。悪いのはあいつらだ、証拠はこれだけある、だからやつらと、あいつらと交渉しようと。そうだそうだということで国民がついていく。

 今、アメリカがやっているのは、何しろ事件が起きたらわずか2日後に、あいつの犯罪だと。ブッシュ大統領に至っては、もうかくまうやつだって同罪だと。こんなことを平気で言わせておいていいんだろうか。第1次大戦の終息の際に国際連盟をつくって、話し合いの場というのを設けるようにしたのはアメリカ。第2次大戦後、国際連合をつくって、この場で話し合っていこう、力の解決はもういいかげんにしようやと、こう言ったのもアメリカ。そのアメリカが、自分の顔を殴られたと思ったらもう血相を変えて飛び出していって、けしからぬけしからぬと、それだけじゃないですか。おかしいと思いませんか。

[後略]

 同じく甲5号証の季刊『真相の深層』2004春・創刊号には、以下の審議の記録を掲載しているが、以下に抜粋する質疑応答は、甲28号証にも記録されているものと同じである。

第159回国会 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第8号

平成十六年四月十五日(木曜日)

   午後三時十五分開会

○佐藤道夫君 [中略]

 法の適正手続、デュー・オブ・プロセス(しかるべき法的手続き)というあの言葉はどこから出てきたかというと、中世から近世初頭にかけて各国で、特にヨーロッパ諸国あるいは中国などで、権力者の思うがままに裁判が行われると。あいつは悪いやつだと、捕まえてこいと、そしてすぐ裁判をやって死刑にしろと、分かりましたと言って裁判なるものが行われていたと。

 これはこういうことで逮捕したんだと、いいかと、結構でございますということで国民も納得する、裁判は慎重にお願いしますと。それが一切ないんですね。どうしてなんだろうかと。私、法律家の端くれとして大変不思議に思っている。[中略]

 罪名は何なのか、犯罪事実は何なのか、それから弁護士はどういうことになっているのか、これらをお聞きになっているでしょうと。外務大臣だって向こうの国防長官などと会えば必ずその話が出るわけですから。

 次の問題に、大量破壊兵器の問題に移ります。

 いろんなことが議論されておりますけれども、いずれにしても、イラクが国連の言うことに従わないとか、もういかにも危険極まりない大量破壊兵器を手にして世界じゅうを暴れ回る、被害を届ける、だからこそすぐイラクに侵略を、侵入をするんだということ。せっかく調査をしておったイラクの国連の査察団をイラクから退去させまして、アメリカが軍を、軍隊を送り込んだと。その結果、これ私、新聞しか読んでいないので新聞情報しか知りませんけれども、イラク人民2万人から5万人ぐらいの犠牲が出ていると、新聞情報で当たるも八卦当たらぬも八卦だと思いますけれども、2万人から5万人。それはそうでしょう。アメリカは侵攻をして、そしてイラクじゅうの町という町を全部空爆したんですよね。もうテレビで見る限り、バグダッドなんというのはもう瓦れきの山と言ってもいいわけでしょう。その間をイラク人たちが子供も含めて右往左往をしている。

 私、軍隊を派遣して大量破壊兵器を摘発するというからには、もうちゃんとした確証があって、あそことあそことあそこに何と何と何が埋めてあるという、そして犠牲はもう必要最小限度にとどめようという思いを持ってイラクに侵攻したんだろうと思っておりましたら、こんなことうそっぱちなんですね。とにかく行けと、どうなっても知らねえと、イラク全土も爆撃しろ、どうせろくでもない連中が集まっているんだからと言わんばかりにして各地を爆撃して、大変な、2万人か5万人か、犠牲を出してしまっている。そして、一体どうするつもりなんだと。我々はもう勝利を収めたと勝利宣言もしていますしね。本当に不思議としか言いようがないんですよ。いろんな手段を講じて、そしてぱっと大量破壊兵器を摘発して、さあ、どうですかというのが文化国家、文明国家アメリカ、イギリスのやることだろうと思ったら、一切そんなことしない。これは危ないですよ、本当に。何かの食い違いがあってアメリカ軍が我が国に侵攻してきたら、もう1億のうち半分ぐらいは殺されるかもしれませんよ。そう言ってもおかしくないくらい乱暴なやり方をしている。

 こういう問題も、やっぱり首脳会議のときに総理とブッシュ大統領の間で意見が交換されていると思いますけれども、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今回のイラクの開戦に至る経緯におきましても、過去イラクがクウェートを侵略した事実を踏まえ、一連の決議にのっとって、国連ができるだけ協力して対処しようという中で結論が出されたものであると私は理解しております。

○佐藤道夫君 お話をしてブッシュ大統領からどういう御回答をいただいているのか、それを差し支えない限り話をしていただければ我々も安心するわけです。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国際協調体制を構築するために努力するということで一連の国連決議がなされたわけであります。そして、最終的には、イラクが大量破壊兵器を持っていない、廃棄したという責任、立証責任をイラクが果たさなければならなかったという中でイラクがそれを果たさなかったということで、今回、開戦の経緯に至ったわけでありますが、私は、あの国連決議を誠実にイラクが実施していれば戦争は起こらなかったと、今でもそう思っております。

○佐藤道夫君 何か、私のお尋ねしていることをわざと聞いていないのか、あるいは聞く気がないのか。

 私は、ブッシュ大統領に、アメリカ軍がイラクに侵攻するときに、どれだけの確証があって、絶対間違いない、あそことあそこにあるから、無関係なイラク人民に被害を与えるようなことは一切ないということで侵攻させたんですと。いやいや、何もしないで、まあとにかく行ってみろといって侵攻させたのか。その辺の質問に対してどういう回答があったのかと。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 先ほどの答弁と同じことなんですけれども、国連の一連の決議にのっとって支持したわけですよ。大量破壊兵器の脅威が存在していたんです。だからこそ、国連で何度も議論が行われたんです。

○佐藤道夫君 もう嫌になりますけれども、私も何度も聞いているでしょう。あのアメリカ軍が侵攻するときに、どれだけの確度を持って、あそことあそこにあることは間違いない、じゃ軍隊を派遣しようということ、それは当然のことですからね、権力者としてね。無関係な人民の血を流す、そんなことをやってはいけないわけですから。

 そういう、おやりになったんでしょうと聞いたら、ブッシュ大統領はどう答えたか と。そういう問題はしたのかしないのか、したとすればどんな回答だったのか、それ を聞いているんですよ。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そのような話し合いもしておりますが、日本としては武力行使を支持した根拠は国連、一連の国連決議だということなんです。何回も御質問ですが、何回も私、答弁しています。

○佐藤道夫君 何回も聞きますけれども、軍が直接行くときに、やっぱり徹底して調査を遂げて、あそこに行けば出るはずだというぐらいの細心の注意を持って行ったはずです。はずでしょうと質問したでしょう。それに対して、何、国連決議があるから構わないなんて、そんな答えをしたんですか、ブッシュは。そんなばかなと言いたくなりますよ。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 何回も答弁しているんですよ。イラクが立証責任を果たさなきゃならなかった。妨害した。いろんな状況の中で国連で決議されて、日本としては、一連の会談の中で、最終的には一連の国連決議にのっとって支持したわけであります。

○佐藤道夫君 何度も言いますけれども、アメリカ軍が侵攻するときにどれだけの調査をし、どれだけ徹底した調査をして、証拠もあるし、あそこにあるはずだということで軍を派遣したのかどうかと、そういう質問をしたでしょうと聞いているのに、何も国連決議なんかどうでもいいんですよ、いかがですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) あの当時、アメリカ軍が勝手に調査なんかできるわけないじゃないですか。フセインが許しませんよ。だから国連で、イラクが廃棄した証拠を示しなさいということを国連で決議しているのに、イラクの当時のフセイン大統領はそれをしなかったんです。

[後略]

 9.11事件に関して、テロ特措法が制定され、日本は、アメリカのアフガニスタン攻撃を支持したのであるが、9.11事件からイラク攻撃に至る過程の経過に関して、原告は、甲18号証、季刊『真相の深層』2004年夏・2号により、以下の国会議事録を示している。

国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会 第10号

平成16年4月1日(木曜日)

○内○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 昨年の3月20日、アメリカのイラク侵攻が起こりまして、ちょうど1年を過ぎたところです。それで、よく、この戦争はテロとの闘いだ、このように言われてまいりました。そのテロとの闘いで、アメリカ政府の内部で、文字どおりテロ対策担当の大統領特別顧問のクラークさん、前テロ対策担当大統領特別顧問ということになっておりますが、このクラークさんの発言が問題になっております。

[中略]

 ブッシュ大統領が、その9・11テロをめぐって、サダムがこれをやったか、やったのかどうか、サダムがどんな形であれ関与しているのかどうかを調べてほしい、このようにクラークさんに発言している。クラークさんは非常にあっけにとられる。

[中略]

 9・11テロのときからブッシュ政権がイラク攻撃を模索していた、こういう事実は何度も今まで言われてきたわけですが、特に、ここにきて本当に、大統領のテロ対策特別補佐官として任務についていた方がこういうことを言い出した。

 この点について、外務大臣、どのように考えますか。

○川口国務大臣 おっしゃったその本の著者のクラーク前米大統領特別顧問が、さまざまなインタビューに答えて発言をしたり、あるいはその中で、その本の中で記述をしているということは承知をいたしておりますけれども、その発言に関連いたしまして、ライス大統領補佐官は、ブッシュ大統領は同時多発テロ発生直後からすべての可能性のあるリンクについて調査をするように指示したが、9・11とイラクに関連性がないという報告を受けて、アルカイダ及びタリバンを目標とすることになったということを説明しているというふうに承知をいたしています。

 いずれにしても、米国は一貫して、イラクとの関連でいえば、達成すべき目標はあくまでもイラクの武装解除、すなわち、累次の安保理の決議に従っての義務の履行がされていない、そういうことであるということを述べているわけでございまして、ブッシュ大統領のイラクに対する武力行使の決断、これにつきましては、2002年の9月の国連での演説の以降、さまざまな国際協調についての努力を行った後で、その上での決断であったというふうに私は考えております。

○内○赤嶺委員 やはりライスさんもブッシュ大統領からすべての可能性について調べろということを言われていて、ブッシュ大統領のそばにいたクラークさんは、サダムについて徹底して何でもいいから調べろと言ったことに極めて戸惑いを持ちつつ、その日の様子というのをこの本に出しているわけです。それは9・11テロのときでした。

 今度は1年前の問題です。3月18日にブッシュ大統領は最後通告の演説を行っています。この最後通告の演説を読み返してみたんですが、こう言っているんですね。フセイン政権は、イスラム過激派のアルカイダを含むテロリストたちを支援し、訓練し、基地を提供した。テロリストたちは、イラクから入手した生物化学兵器あるいは核兵器を使い、これまで表明してきた意図を達成し、米国や他の友好国の何百、何十万人もの罪もない国民の命を奪うかもしれない。恐怖の日がくる前に、行動が遅過ぎる事態となる前に、危険は取り除かなければならない。このように強調しているわけです。

 フセイン政権が持っている大量破壊兵器がテロリストの手に渡って、幾百万、幾千万の人たちが犠牲になるかもしれない、恐怖の日がくる前に危険を取り除く、このように最後通告を行ったわけですが、3月18日です。これについて、今振り返ってみて、外務大臣、いかがですか。

○川口国務大臣 私は、その演説を今ちょっと手元に持っておりませんので、全体について記憶をしているということではございませんが、それにつきまして私が記憶をいたしておりますのは、国連憲章との関連で、イラクの義務不履行、それについてきちんと述べていらしたというふうに私は記憶をいたしております。

[後略]

 以上の議事録抜粋のごとく、立法府の国会における審議の上で、被告・国の行政府たる政府の答弁は、支離滅裂であり、まったく説得力がないのである。

 以上のごとく、本件イラク派兵の発端をなす9.11事件に関して、被告、国の代表たる内閣総理大臣(小泉純一郎君)は、「国内の刑事裁判みたいな証拠は確かにないと思います」という唖然とする以外に無い答弁を、あえて行なったのである。

 原告は、イラクが大量破壊兵器を保持しているとのアメリカの開戦の口実に関しては、甲22号証、日本経済新聞、2004年10月7日〔1,2面〕掲載記事を、提出したが、この記事によれば、イラク戦争の開戦の「大義名分」とされた「大量破壊兵器」に関して、「米調査団」が、「存在しなかったとの最終報告を明記した報告書を発表した」のである。

 同じく、甲23号証は、「仏レゾーヴォルテール」の2004年10月21日付けのインターネット記事であるが、作成者のティエリ・メサン(日本語訳者「さすれば」)は、日本政府が盲目的に追随する米英政府が、イラク戦争の開戦の「大義名分とした大量破壊兵器に関して、甲22号証に記載されたごとく、米調査団が「存在しなかったとの最終報告を明記した報告書を発表」するに至るような、唖然たる状況の根底には、「アングロサクソンの秘密機関が提供した情報」を、「専門家」、実は御用評論家が、あたかも確実な事実であるかのように報告し、それがあたかも「確認」されたかのように世界中を巡る恐るべき情報操作の実情があるとして、、痛烈に皮肉っているのである。米英のイラク戦争開戦には終始一貫批判的なフランスの識者の多くが、同様の意見を各所で発表しているのが、今の国際的状況である。

 原告はさらに、甲31号証として、2004年12月10日発行、読売新聞、「大量破壊兵器 虚偽報告を」との記事を、提出した。

 立証趣旨は、イラク戦争に関するアメリカの口実作りである大量破壊兵器の保有に関して、アメリカのCIA工作員が、虚偽報告を求められ、それを拒否して解雇され、提訴している事実である。

 この「大量破壊兵器の嘘」は、今や、世界中に広く渡って至っているのである。

 本件の被告・国は、これでもなお、原告の主張に対する反論を行なわないのであれば、司法府は、被告が原告の主張に屈したと判断し、原告の主張を認め、本件における原告の請求をも認めるのが筋である。

以上。

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平成16年(ワ)7044号 イラク派兵違憲確認・差止・損害賠償請求事件
原告 木村愛二
被告 国
証拠説明書
2005(平成17)年3月14日
東京地方裁判所民事17部 御中

原告 木村愛二

甲34号証 原本
標目 季刊『真相の深層』05春5号
特集「スタンリー・ヒルトン氏が進めている9.11事変””ブッシュ政権追及集団訴訟
の訴状(続編)」

作成年月日 2005年3月1日発行。
作成者 原告
立証趣旨 イラク戦争に関するアメリカの口実作りである9.11事件に関して、被害者
の家族が、アメリカ政府の犯行として訴えている事実、および、原告が事件の謀略性
を疑い、徹底的な資料収集をし、雑誌記事として広めている事実。
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 以上。


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