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随時追加「編集長日記風」

木村愛二の生活と意見

2001年3月分

3.8.(木) 小説や記事でもユートピア消滅を云々するが金融資本主義批判も強烈化時代
3.13.(火) 杉花粉で日経「エコノ探偵団」と日テレ「特命リサーチ」特集に消費低迷と異変!
3.21.(水) 日本列島(現沖縄県は琉球列島だから除外)脱出作戦も構えつつ森首相に賞を与える
3.22.(木) 『日本経済新聞』朝刊の社説欄に失笑し走狗煮らるアルバニア「解放軍」の絵解き
3.28.(水) ベイルートで予定されていた歴史見直し論とシオニズム会議中止の諸情報と闘争宣言

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3.28.(水)
ベイルートで予定されていた歴史見直し論とシオニズム会議中止の諸情報と闘争宣言

   2001.3.26.電子手紙広場への投稿に追記と増補。

 送信日時 : 2001年 3月 26日 月曜日 12:57 AM

件名 : 見直し論とシオニズム会議中止の諸情報と闘争宣言

  2001.3.28.追記:この件については、別途、「シオニスト『ガス室』謀略周辺事態」の項目に、連載の形式で報告しています。3月末現在、英語の本の日本語訳の直しの仕事を引き受け、時間が取れないので、4月中旬以後、再び整理して、上記への連載とともに、この「日記風」にも、感想を記します。

 私が参加を予定し、準備に追われていた3.31.‾4.3.ベイルート「見直し論とシオニズム」会議が、アメリカの国務省まで動員する未曾有の妨害工作の結果、中止となりました。この経過をを巡る諸情報に関しては、昨晩、おそらく休日のためか、久々に、下記のアメリカの歴史見直し研究所頁への接近に成功し、主催者らの声明の他に、AP、ロイター、デイリースター、香港ニューズの記事を入手できました。

アメリカの歴史見直し研究所頁

 いずれ詳しく報じますが、実に面白いのは、APの記事の末尾が、事態の本質を明瞭 に物語っていることです。本日は、冒頭と、その部分だけを紹介します。

[レバノンは見直し論者を接待しない]

Lebanon Won't Host Revisionists

Thursday March 22 7:12 PM ET

By SAM F. GHATTAS, Associated Press Writer

[中略]

Lebanon is keen on attracting foreign investment and tourists to shore up an ailing economy weakened by debt and budget deficit after a 15-year civil war.

[レバノンは、15年間の内戦を経た後、予算不足と借金で弱まり病む経済を立て直す べく、外 国からの投資と観光客の誘引に懸命だ]  

 日本でも『マルコポーロ』廃刊、『週刊ポスト』謝罪など、極右破落戸シオニスト による言論弾圧の実績がありますが、今度のは、文芸春秋とか小学館とかの「企業」 相手の恐喝ではなくて、レバノンという独立国家への恐喝であり、しかも、「破落戸 の最後の奥の手」(Patriotism is the Last refuge of a scoundrel)を使って、国務 省まで動員しての違法不当、国際法無視、傲慢この上ない振る舞いなのです。

 しかし、会議の主催者は、これまた逆の意味で、企業とは大違いの覚悟を決めた有 志の集まりなのですから、すでに、未定の別の場所で開催方針を発表しています。さ らに勢いを増した戦いが続くのです。

 さて、以上のような状況は、慌てる必要はないので、追々、詳しく紹介し、論じま す。当面、私自身は、旅行中にこなす予定だった訳文「リライト」とやらに取り組ま なければなりません。しかし、その間も、打つべき手だけは打ちます。先の予定とし ては、

 第一に、アメリカ大使館前での3度目の英語演説を行います。ただし、杉花粉が悲惨、いや飛散しなくなる5月まで待ちます。

 第二に、すでに地裁の民事訴訟受付に確かめましたが、アメリカ合衆国を相手取っ て、航空券取り消し料などの実害と精神的打撃への損害賠償を求める裁判を起こしま す。賠償を求める金額が100万円以内であれば、訴訟費用と呼ばれる印紙代は、8,600円だそうです。  

 もちろん、以上の闘争宣言は、英文で世界中に流します。  

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3.22.(木)
『日本経済新聞』朝刊の社説欄に失笑し走狗煮らるアルバニア「解放軍」の絵解き

   2001.3.22. mail再録。

 送信日時 : 2001年 3月 22日 木曜日 10:45 AM

件名 : 走狗煮らるアルバニア「解放軍」の絵解き

 本日、2001.3.22.『日本経済新聞』朝刊の社説欄の見出しには、「バルカン紛争の構図逆転」とあります。失笑を禁じ得ない見出しなのですが、読めばなおさら、唖然、呆然、寒心の至り。「NATOがアルバニア系住民を守る目的でユーゴを空爆」という小学生でも吹き出しそうな優等生丸暗記下手糞論文でしかありません。

 木を見て森を見ざるの愚を犯す勿れ。歴史を紐解けば、簡単に分かることです。ソ連の崩壊を横目で睨みつつ、19世紀からの垂涎の的の宝庫、もともとはロスチャイルドの資金で開発したカスピ海の石油資源を目指して、ドイツが主導権を握って始めた3度目のバルカン侵略に、途中からアメリカが介入し、麻薬マフィアのアルバニア「解放軍」を手先に使ったことなどは、いとも易しい謎解き、絵解きなのです。現在は、パイプラインのルート争いになっています。これが本音だったのです。

 中国の諺に曰く:走狗煮らる。狩りが終われば、不要になった狩猟犬も、鍋の具と化すのが世の習い。

 かくいう日本も、今では、自分の大統領選挙に献金した重要人物を殺人原潜に接待させた悪餓鬼に、事故後、チョコレート賭けたゴルフを中断せずに世界中の笑い者になっている悪餓鬼が、やっとのことで参勤交代のお目見えを許された喜びを隠し切れない蝦蟇面見せている有り様です。ああ、不愉快この上ない状況なのですが、この日本も、かつては黒船に脅されて開国し、イギリスとアメリカのロスチャイルドを中心とするユダヤの死の商人からの資金を得て、フランスのロートシルドの資金に頼るロシアと戦って辛勝し、以後、イギリスの東洋の番犬として仕え、愚かにも増長して逆らい、負け、またもや、アメリカの番犬となっているのです。

 アルバニア人のことを、悪し様に言う資格はないにしても、大手紙の論説委員なら、もちっと、勉強せんかい!  わが「ユーゴ問題特集一括リンク」は、下記です。

『憎まれ愚痴』ユーゴ問題特集一括リンク

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3.21.(水)
日本列島(現沖縄県は琉球列島だから除外)脱出作戦も構えつつ森首相に賞を与える
  

2001.3.21. mail再録、増補。

  本日、2001.3.21.「暑さ寒さも彼岸まで」に関して、日経の一面下のコラム「春秋」では、「と言い切れるほど日本は狭くない」とし、すでに「海開きの沖縄」と、「まだ雪の予報」の北海道を比べている。

 私は、これを読む前に、下記のごとく、「日本列島(現沖縄県は琉球列島だから除外)脱出作戦も構えて」いると記していた。「狭い日本にゃ」、とっくの昔に、「住み飽きた」こともあり、しかし、すでに現地にいる友人がしきりと勧めるオーストラリアでは、ちょっと遠くて不便だし、沖縄には日本杉が非常に少ないことを林野庁の担当者に確かめた上で、不動産業の友人に頼んだら、『週刊タイムス住宅新聞』を送ってくれたばかりである。やはり賃貸は安い。オーストラリア並みである。諸物価も安いと聞く。インターネットは可能なのだから、世界を睨みつつ、沖縄県に住みついて、琉球独立運動に加わるのも一案であろう。私の両親はともに北九州生まれだが、私自身、色は黒いし、髪の毛は巻き毛だし、明らかに南方系なのだ。

   さて、別に彼岸のせいではなくて、この「日記風」でも、何ごとにも一理屈こねないと気が済まない私の悪い癖が出ていることを、重々承知していたので、4月からの新年度には、もっと軽くし、できればもっと間を置かずに記そうと愚考中であった。

 そこへまた、本日付けの『ニューズウィーク』記事、「自分だけのメディアをつくる/ウェブ/パーソナルな日記から業界情報まで、個人サイトが静かなブーム」ときたものだ。「関連情報を載せたサイトへのリンクを文中に織り込むなど、ウェブならではの特性を活用」する「ウェブログ」の「誕生」などと、大袈裟に書いている。そんなやり方、とっくに知っとるわい、なので、それも活用する。とりあえず以下は、本日早朝の電子手紙広場投稿の再録である。

森首相に不毛政治を分かり易くしたで賞授与

 かなり前からの構想を、実行に移すことにしました。貶して駄目なら褒めてみよ作 戦であります。

 森首相の原潜事故後の行動は、今や、アメリカの新聞で、彼が辞めたら誰がジョー クのネタを提供するのか、などと書かれる始末、お粗末、最早、世も末。日本の旅券 で海外に行くのも恥ずかしい状況ではありますが、そこは、誰にでも、取り柄はあるもの。民主主義とか称する不毛この上も無い政治詐欺の正体を説明するのには、絶好の生きた教材となってくれたのであります。

   具体的な経験を記すと、武蔵野市のプールで監視員をしている若者は、音楽を勉強 しているとか称する金髪の優男で、政治的な関心は零に近いようなのですが、私と共通するのは杉花粉症で、結構、会話が成立します。その彼に、杉の枝打ちをしない政治への批判をしてみたところ、案の定、最初は眉をしかめて困った顔でしたが、「日本の政治なんて、あの原潜問題での森の」と言った途端に、ニッコリ笑って、「あっ、チョコレート」ときたもんだ、のホーイのホーイ。

 一方、関係官庁の担当者とも、昨年来の直撃取材で親しくなり、本音を聞くと、 「国会の先生方が法律を作ってくれないと自分達は動けない」と言うのです。法律上は率先して研究し提言する義務があるはずなのですが、それを言うと沈黙してしまい ます。そこで、本日から、各政党の電子手紙宛名を調べ、要望を送ることにしました。

 そこでまた早速痛感したのは、政党の窓口の優等生の阿呆振りでした。日本共産党は、その典型ですが、私が概略を説明すると、即座に、「専門家が研究しているでしょう」と、さわやかに、当方を見くびった態度に出ました。森と程度は同じです。

 日本列島(現沖縄県は琉球列島だから除外)脱出作戦も構えていますが、それは来 年のことなので、それまでは、見放さずに、刺激してみます。

 以上で再録終わり。では、早速、「関連情報を載せたサイトへのリンクを文中に織り込む」ことにする。実は、このホーム頁の片隅で、「静かなブーム」を呼んでいる「秘書の小部屋」には、ガセネタも含めて「火のないところに煙りは立たぬ」程度の「編集長」こと私の行状のパロディがころがっているである。

秘書の小部屋(2001.3.18.更新)

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3.13.(火)
杉花粉で日経「エコノ探偵団」と日テレ「特命リサーチ」特集に消費低迷と異変!

   2001.3.11. mail再録、増補。

 2001.3.11.日経「エコノ探偵団」には、「花粉症による労働損害600億円」、「一ヵ月だけでGDPベースの名目個人消費はおよそ七千億円目減りした計算になる(昨年三月の個人消費は約二十三兆円)」などの思わぬ角度からの探訪記事が載り、日本テレビの「特命リサーチ」では「花粉症に信じられない異変が起きている」とか、にわかに、わが病状の歴史的な意味が高く評価されそうな事態を迎えようとしています。

 花粉症については、ぜひとも私のホーム頁を御覧下さい。

残念ながら杉の枝打ちで一挙に解決には注目せず

 以下、日経記事を全文紹介するが、日経も日テレも、非常に残念なことには、私が昨年から強調している「杉の枝打ちで一挙に解決」には注目していない。

 そこで、本日、2001.3.13.双方にmailと電話で、わがホーム頁を見るように申し入れた。

『日本経済新聞』(2001.3.11)

エコノ探偵団

広がる花粉症/経済への影響は?

飛散につれ消費低迷 出控えの傾向、じわり拡大

春の景気の目もかすむ

写真説明:花粉の飛散はこれから増え、外出がさらにつらくなるかも

グラフ:各年の花粉量と3月の消費支出(東京都)

「くしゆん、くしゆん」。つらそうな表情で探偵、加江田孝造が外出先から戻ってきた。「また花粉症の季節か。憂うつだ」。雑誌を読んでいた同僚の深津明日香がおどけて「日本経済も最近、苦しそう。花粉症の影響では」。そこに所長の声が飛んできた。「花粉症は今や国民病。景気にも影響しているかもしれん。甘くみないで、調べてみろ!」

労働損害600億円

 夕方五時過ぎ。JR新橋駅前のビルに、マスクを付けた勤め帰りのサラリーマンやOL が次々と入っていく。

 花粉症の治療で知られる新橋アレルギーリウマチクリニック。担当医師で日本医科大学名誉教授の奥田稔さん(74)が明日香を迎えてくれた。 「一日の患者数は百人を超えます」

 今年は全国的に平年を上回る花粉の飛散が予想され、西日本では昨シーズンの三〜十倍の可能性もあるという。 「えっ」。驚く明日香に、奥田さんは「でも、日本人は苦しくても我慢してしまう。だから経済的な影響はそれほど大きくないんです」。

 奥田さんによると、花粉症による早退や欠勤で労働者が被る一人当たり損失額(損失時間に賃金を掛け計算)は 米国の半分。日本については昨年、旧科学技術庁(現又部科学省)が試算した。ほとんど知られていないが、貴重な分析だという。

 それをみると日本の患者数は一千三百九万人で十人に一人の割合に達する。ただし年間労働損失額は六百一億円と国内総生産(GDP)の○・○一%にとどまり、確かに日本人の「我慢強さ」を裏付けている。一方、薬やマスクなどの関連支出は消費を押し上げる要因だが、それでも千百億円弱。結局、経済への実質的な影響は大きくない、という結論だ。

「なるほど」。そんなところだろうと納得して事務所に戻ると、かすみ目で苦しむ孝造の強い反論が待っていた。「違う。旧科技庁調査は花粉症の影響を試算した数少ない例には違いないが、マイナスの影響の評価が甘すぎる。だから、この苦しさがわからない人問には任せられないって、言ったんだよ!」

 孝造は実際に分析に携わった昭和大学の川口毅教授(60)を前もって訪ねていた。

「未公表のデータですが」。そう言って川口さんは一枚の紙を取り出した。それは仕事への影響を千三十一人の患者に尋ねた結果で、四三%までが「能率が落ちた」と答えている。「能率低下は個人差があるため、試算に反映されていません。国内では原因が特定されないまま、『感染しない花粉症は病気というほどの病気ではない』といった無理解から、経済面も合め実態解明が遅れています」

海外に支出流れ

「消費はどうかな」。孝造の話を間いた明日香は再ぴ奮起、調査を始めたが、思うように手がかりは得られない。企業や個人が消費について真っ先に思い浮かべるのは所得や雇用の状況で、花粉症のことまで注意していないのだ。

 それでも突破口は開き始めた。自らも花粉症という財団法人日本交通公社の観光マーケティング部長、小林英俊さん(51)から海外旅行の〃異変〃を聞いたときだ。

「ここ数年、花粉症が深刻化する二、三月に海外旅行者が際立って増えています」。特に花粉の飛散量が多かった昨年二月は前年比三・四%とニケタ増となり、昨年全体 の海外旅行者の伸び(八・九%増)をかなり上回った。

「花粉症と海外旅行?」

 その足で東京・丸の内のJTBのオフィスを訪ねるとナゾが解けた。一階にある「ロイヤル倶楽部」で中高年向け高額商品を扱う支配人、原田圭子さんがズバリ、「花粉症の季節になると海外への〃脱出組〃が増えるんです」。

花粉症の原因とされるスギやヒノキの花粉から逃れようと、アジアなどのリゾート地に行く人が増えているというのだ。利用者の平均年齢は六十歳で、必ずしも高額所得者だけではない。一ヵ月単位でハワイのコンドミニアムに滞在する新型ツアー(三十万円から)も好評らしい。

「消費支出が海外に流出しているとは・…」。昨年の海外旅行支出は前年比六・八%増えたが、これには花粉症も「寄与」した格好だ。

買い物も滅らす

 納得して事務所に連絡すると、孝造が「いま電話が入った。有力情報だ」。受話器を置いた彼は、マスクを換え出動。電話の主で、都内の公共運動施設の管理・運営を手掛けるエフ・アール・チィ副社長の村岡大輔さん(33)との待ち合わせ場所に向かう。 「三、四月にスポーツ施設の利用者が大きく落ち込む傾向が数年続き、うちの業界では〃花粉症犯人説〃がかなり広がっています」

 不思議に思った村岡さんが独自に調査したところ、「十人に一人が買い物の回数を減らすなど、消費全般に影響している」のがわかったという。孝造の目がきらりと光り、次の瞬間には、彼から得た別の情報を確かめようと、所長に電話を入れていた。

「名古屋に出張します」

 待っていてくれたのは、名古屋市で花粉が猛威を振るった九五年二月に注目し、消費への影響を分析した東海銀行企画部の平下克己さん(36)。平下さんによると、同年二月は、花粉の影響が小さかった前年の同じ月に比べ、消費支出(年平均支出額に対する倍率)が落ち込んだ。年平均に対する倍率に注目することで、好不況の影響を除いたその月特有の要因を測れる。

「すべてが花粉の影響とは言い切れませんが、消費全体にも大きな影響を及ぼしているのは確実です。ダメを押せる別のデータもあります」  教えられるままとんぼ返りして訪ねた東京都庁でみせられた資料は、孝造の目から一瞬、痛みを消し去った。毎年の都内の動向をみると、特に飛散量の多かった九一、九五、二○○○年は、やはり三月に消費支出(同)がピタリ落ち込んでいたのだ(下図)。

 昨年三月は前年より○・○三ポイント下がった。消費額に直すと三%の減少で、単純に全国に当てはめると、一ヵ月だけでGDPベースの名目個人消費はおよそ七千億円目減りした計算になる(昨年三月の個人消費は約二十三兆円)。

「きっちりその通りかどうかは別にして、消費の目減りが薬品・グッズなどの支出増加分を大きく上回るのは確かだろう。花粉症の影響はじわっと膨らんできたなあ」

 証拠を握りしめて戻った二人の報告を聞き、所長が天井を見てつぶやいた。傍らで孝造は「九割の患者は毎年発症、しかも高齢者は季節に関係なく症状が続くそうです。花粉症への理解と対策をもっと促さないと、社会的、経済的に、影響がより深刻化しかねません」とも。

「くしゆん」「あれっ?」。  振り向いた孝造に、明日香が「私もかかったのか、し、ら、ら−、くしゆん」。

(経済解説部・竹内文英)

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3.8.(木)
小説や記事でもユートピア消滅を云々するが金融資本主義批判も強烈化時代

  2月初旬に、沖縄のwimp[拙訳:女々しい奴]暴言のE-mail、真珠湾沖の殺人原潜、相次いでアメリカと日本の関係を象徴する事件が起こり、それに集中している間に、1ヵ月が過ぎてしまった。まさに、アッという間の感がある。それでもなお、月初めを意識して、「マルクス批判」の(その5)を綴る。

「財界紙」連載小説で金融資本主義をハイエナ呼ばわり

 その間、いやはや、もう、苦笑するほかないのだが、この「日記風」で開始した「マルクス批判」の(その4)で取り上げた『日本経済新聞』「やさしい経済学」欄の新春企画、「『近代』再考…限界と可能性」「ユートピアの消滅」が、そっくりそのままの丸写しの姿で、同紙の朝刊連載小説に出てきた。

 まずは、その該当部分を紹介し、その上で、小説の粗筋と、その部分の独白をした主人公の略歴、最後に前後の文脈の順序で紹介する。該当部分はこうである。

「もはや、世界中どこをどう探し回っても、社会主義もユートピアも桃源郷も未開の地もなく、あるのは金融資本主義だけだ」

 小説の題は『発熱』、主人公の「龍」は、元暴走族、現・辣腕の国際的な相場師で、文中の「橘キャピタル・ホールディングズ」を準備中である。「産銀」のモデルは、長銀であることが、誰の目にもあきらかである。以下が、前後の文脈である。

「産銀の延命はこの国を倫理欠如の状態に突き落す。市場は必ずや暴力的に報復するでしう。どうせなら、われわれが市揚の力そのものを体現して、この手でそれをやろうじやないか。

 産銀株を徹底的に売りあびせる。取り付け騒ぎを起こさせる。破綻させ、政府の一時管理下において、公正な管財人の下で徹底的にディスクローズさせる。倒壊した巨木をゴロリと返してみると、とんでもない生きものがうじやうじや出てくるように、巨悪の蛆虫どもが日の光の下にあらわになる。それを検察が一網打尽にする。

 荒僚治を施された産銀の新しい受け皿には、橘キャピタル・ホールディングズがなる。再生させて、三、四年後にアングロサクソンに売りとばす。数千億は儲かる勘定だ。

 ハイエナだって?

 そのとおり。アングロサクソンもユダヤも華僑もふだんやっている手口です。金融資本主義とはそういうものです。もはや、世界中どこをどう探し回っても、社会主義もユートピアも桃源郷も未開の地もなく、あるのは金融資本主義だけだ。

 こいつは文明的、哲学的人間観からすれば、人間のカス、クズのやることだ。働かないやつらが絶大の権力を握って、働くやつの首を締める。この権力に較べれば、王や独裁者の権力のほうがまだはるかにましだ。王が奮える権力には目にみえる限界があった。金融資本主義の権力は、それを奮ってるやつにすらどれだけのものかわからない。最終的にだれが幸福になっているのかもみえやしない」

 こういう場合の「社会主義もユートピアも桃源郷も……」ないとする部分を、私は、世間向きの「前振り」と理解する。「社会主義」にも批判的だよという姿勢を先に示しておけば、「財界紙」とも言われる日経の読者も安心して読める。しかし、主人公、または作者は、「金融資本主義」を、「文明的、哲学的人間観からすれば、人間のカス、クズのやることだ」と言い切るのである。ここが面白い。実は、日経の連載小説には、今までにも、政財界、または権力構造の暗部を、これでもか、これでもかと、切り刻んでみせるのが多かったのである。東京の心臓部、特に大手町の財界主流の企業や官庁に通うサラリーマンには、必ずと言って差支えないほど通勤電車の中で日経を読む習慣がある。そういう立場の読者にとっては、現実性に溢れた被虐的な小説の方が慰めになるのである。

危険な国家アメリカの民主主義ユートピア思想は廃れないか

 上記の小説の一節を材料にしながら、ユートピア思想とカール・マルクスの自由の王国の夢を比較しようと考えていたら、もう一つ、別の角度からのユートピア思想論を含む雑誌記事が、わが目に止まった。やはり、これは、今年の流行らしい。

 その雑誌記事とは、朝日新聞社発行、『論座』(2001.4)の「アメリカの覇権という『問題』」で、筆者はウィリアム・パフ(william Pfaff)、インタ−ナショナル・ヘラルド・トリビュ−ン紙のシンジケート・コラムニストという長い長い肩書きである。論調には、「コソボ作戦にいたる意図は健全なものだった」とする点など、賛成できない部分が多いが、一応は、「アメリカの覇権」を批判する立場である。彼は、アメリカにおける「新ウィルソン主義」の潮流の結集状況とその覇権主義を指摘し、「アメリカは『自己正義に満ちた』国家であるとともに、危険な国家なのだ」と結論する。

 次の部分が、その歴史認識の中でのアメリカの位置付けである。

「1914年から1989年までの世界的危機はナチズムとマルキシズムの崩壊とともに終りを告げ、ナチズム、マルキシズムを支えたそれぞれのユートピア思想は死滅した。だが、民主主義を支えているユートピア思想は廃れておらず、これまで同様にアメリカの国家アイデンティティの一部を構成している」

 この雑誌記事の終りには、「この論文は1089年に出版された『バーバリアン・センチメント』(Barbarian Sentiments. New York: Hills & wang)の改訂版からの抜粋」とある。

「センチメント」に関しては、この雑誌記事の中にも、「アメリカが世界の模範となることを中軸に据えた、センチメンタルかつ誇大妄想的で歴史を無視したウィルソンの民主主義世界に関するビジョン」とか、「ウィルソン流の感傷主義」とか記されている。

 この雑誌記事の中には「野蛮人」(Barbarian)は出てこないが、どうやら、著者は、アメリカ人を野蛮人と位置付けているようである。さらに敷衍すれば、「それぞれのユートピア思想」を振りかざした「ナチズム、マルキシズム」をも、覇権を手にした野蛮人の思想として位置付けていることになる。これがまた実に面白い。

 私の解釈によれば、日本の小説の主人公「龍」と同じ商売のアメリカのユダヤ人、ジョージ・ソロスも、いわゆる金融資本主義批判を、公然と行っている。だから、アメリカの民主主義ユートピア思想にさえ、足元からの疑問が噴出しているのである。そういう状況だからこそ、小説『発熱』の作家、辻原登(私は知らない人)は、平気で、先のような相場師の強烈な金融資本主義批判の独白を綴るのである。

 しかし、誰も、その先を論じようとしない。むしろ、避けている。特に「既成左翼」は自信を喪失しているのだ。最早、本シリーズの前回で指摘した「希望」を抱くことができないのである。この状態に蔓延する思想がニヒリズムなのだとしたら、1世紀前のニーチェの予言が、再び、さらに巨大な影響力を帯びて、世界を揺るがすことになるのかもしれない。


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