『亜空間通信』1060号(2005/07/24) 阿修羅投稿を再録

左翼の不勉強な思い込み浅智慧に批判「7・7=イラク侵略の結果」の理屈はブッシュを利する

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『亜空間通信』1060号(2005/07/24)
【左翼の不勉強な思い込み浅智慧に批判「7・7=イラク侵略の結果」の理屈はブッシュを利する】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 本日(2005/07/24)早朝、阿修羅戦争掲示板に、以下の投稿があった。

鋭意準備中:『「7・7=イラク侵略の結果」という理屈はブッシュを利するのみ』
http://www.asyura2.com/0505/war72/msg/560.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 7 月 24 日 06:41:22: SO0fHq1bYvRzo
(回答先: ブッシュはロンドン攻撃を愛国法の論拠と見なす。うんざり。 投稿者 木村愛二 日時 2005 年 7 月 23 日 23:02:25)

 鋭意準備中:『「7・7=イラク侵略の結果」という理屈はブッシュを利するのみ』

 現在、『CIAのテロは裸の王様:「7・7=イラク侵略の結果」の理屈はブッシュを利するのみ』と題されたスペイン語情報誌IRAnoticiasの記事を翻訳中です。明日には全文の翻訳が終わって発表できると思います。

 その冒頭部分だけを「予告編」として貼り付けておきます。

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 CIAのテロは「裸の王様」だ

『7・7を「イラク侵略の結果」のようにいう理屈はブッシュの計画を利する
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最近の世論調査は、英国人の大多数がイラクとロンドン7・7に関係があると考えていることを示している。これと同様の理屈は反体制系の新聞に書く大部分の思想家とアナリストによって支持されている。彼らにとってはこの襲撃はイラクへの侵略と占領に対する「アラブの反応」なのである。

実を言うとブッシュとCIAにとって、左翼を含む全員がこのように考えることは、都合の良いことなのだ。

 この件は、非常に重要な「心理戦争」の問題なので、以下、わが編著『9.11事件の真相と背景』から、関連する部分を抜粋する。

●テレヴィ映像の魔術に引っかかった著名な論者たち

 ところが、ところが、なのである。「あの」大本営発表のNHKの「この」でたらめ放送の命名、「同時多発テロ」が、さらには翌日の大手紙の一斉の超々大見出しとなって紙面を飾り、以後、いわゆる一般大衆だけではなくて、日本の大手新聞、大手総合雑誌のトップを飾る「著名な論者」にまで、甚大な影響力を発揮してしまったのであるから、これは実に恐るべき事態、極彩色動画と「鍵言葉」の魔力発揮なのである。

 これまた、分かりやすくするために、典型的な事例を選ぶ。「著名な論者」も、二人の大先輩だけに絞って、その「胸を借りる」が、これは、相撲で言えば、「横綱への恩返し」なのである。この二人は、今回の事件の展開の中では、アラブ・イスラムに同情的な立場を表明していた。そこが重要なのである。ブッシュやら小泉やらの提灯持ちの役割などは、まるで論ずる価値もない。

 アラブ・イスラムに同情的な立場な人々までもが、9・11事件はアラブ・イスラムの「原理主義者」が起こした「テロ」なのだと思うという主旨で語れば、その反対の立場の発言よりも、数倍の効果があがってしまうのである。だから、専門家の責任は重いのである。

 そういう意味では、程度の差こそあれ、「テロと認めるか否か」を迫るアメリカ帝国の手に、素直に乗ってしまった論者たちが、あまりにも多すぎた。私の表現では「ジャーナリスト」の最良の部類と言える論者たちも、いわば「枕を並べて討ち死に」である。

 彼らを「討った」凶器は、他でもない。あの事件を伝えたテレヴィ動画である。

 以下に紹介する大先輩も、自ら記しているように、事件の直後、テレヴィを見てから、以下の文章を綴ったのである。

『朝日新聞』(2001・9・15)15面(「オピニオン」頁)
(opinion@news project:opinion-page@ed.asahi.com)
メディア・テロの背景さらに究明を

原寿雄(はら・としお)
ジャーナリスト、元共同通信編集主幹

 11日夜、テレビ朝日の「ニュースステーション」で事件の発生を知った。NHKの総合とBS、その後中継を始めた他の民放局を含め、テレビを見ながらさまざまの思いに駆られた。テロは圧倒的な軍事力の差が生み出す戦争の一形態と言える。今度は武器も使っていないようだ。超大軍事力の米国が、こんなにもテロに弱いことをどう考えるべきか。ジャーナリズムの上でも課題は多い。「自由と民主主義の擁護者」を自他ともに認める米国がなぜこれほど憎まれ、恨まれ、敵視されるのか。どこで、だれに、どうして恨まれているのか。今なお自殺特攻隊が後を絶たないのはなぜか。[後略]

 今、改めて読み返すと、実に慎重な練達の文章なのだが、惜しいかな、やはり、テレヴィ映像の強烈な影響のせいであろうか、この記事の中でも自ら記しているように、「べトナム戦争の米軍北爆」を現地で取材していたこの大先輩ですらが、その「北爆」に先立つ「東京(トンキン)湾事件」を思い出してもいないのである。何度もアメリカが謀略で戦争を仕掛け、拡大してきたことを、まったく忘れてしまっていたのだ。

http://www.asyura.com/2002/war13/msg/494.html
『亜空間通信』298号(2002・7・10)
【アメリカが口実捏造で弱い者いじめ爆撃の国である証拠が38年前べトナム北爆】

http://www.mekong.ne.jp/directory/history/tonkinwanjiken.htm
現代史・ベトナム戦争編・第1次トンキン湾事件
1964年8月4日、更に“第2次トンキン湾事件”

[以下は、その「第2次トンキン湾事件」の要約]

 1964年8月4日、第2次トンキン湾事件が起こり、これを理由に米国のジョンソン政権は、「報復」と称して「初めての」米軍機による北ベトナムの魚雷艇基地4か所に爆撃を行った。さらに8月7日には、米国上下両院で「東南アジアにおける行動に関する議会決議」(トンキン湾決議)が可決され、軍事に関する強力な大統領権限が認められ、南ベトナム政府と南ベトナム解放民族戦線の直接対決が、米国と北ベトナムの直接対決という構図に移りベトナム戦争が、このあと一挙に拡大していく。(第2次トンキン湾事件については、発生当時から米国側の説明に米国内からも疑問の声があったが、後に米国による「でっち上げ」事件であったことが明らかにされた)[後略]

 次の例は、東京大学名誉教授、中東史の大御所と言うべき立場の板垣雄三さんである。掲載紙は同じく『朝日新聞』である。同紙は、いわゆる「心情左翼」の読者が多い。

 9・11事件直後の9月29日、私も参加した大衆集会で、板垣雄三さんは講師として登壇し、非常に慎重な言い回しで、サウジアラビアの大手紙『オカーズ』が、「ユダヤ人4000名がWTCにいなかった」旨を報じたと語り、「ユダヤ陰謀説と言われるだろうが」と断った。つまり、断言こそしないが、その可能性への疑いをほのめかした。

 ところが、その後、資料の新聞切り抜きを整理してみると、それ以前に、以下に抜粋紹介する寄稿をしていたのである。正直に言うと、私は、この切り抜きを発見して一読した時、内心、「がくっ」となったのである。

 ここでは、板垣雄三さんは、『オカーズ』記事のことにはまったく触れずに、次のように、犯人が「イスラム原理主義」の関係者であるかのような具体的な表現までしていたのである。必然的に、結論部分も違ってくる。

『朝日新聞』(2001・9・20)
(opinion@newsproject)
私の視点/◆同時テロ/日本はイスラムとの仲立ちを

板垣雄三(いたがき ゆうぞう)
東京大学名誉教授(中東・イスラム研究)

 イスラム原理主義はイスラムの本道を逸脱し、その対欧米対決主義の二分法は欧米オリエンタリズムの裏返しでしかない。ハイジャックした旅客機を乗客もろともビルに激突させる行為は、悪と戦う善は目的に照らして手段を正当化できるという思想に立っている。[中略]

 日本の発信は、国際テロ包囲網の形成に向かって、中国・ロシアをも含むイスラム世界の協力を必須のものとしている米国を最も強力に助けるものだ。[後略]

 テレヴィ業界出身の私としては、これらの事態を、二人の先輩の判断の誤りとしてだけでなく、自らも関わってきた「テレヴィの犯罪」として告発せざるを得ない。

 日本のテレヴィ放送の草創期の裏話に関して、私は、徹底調査し、拙著『読売新聞・日本テレビ・グループ研究』(汐文社、筆名・征矢野仁、1979、絶版)の中で詳しく記した。簡単に言うと、日本のテレヴィ放送の創設は、アメリカの上院で、謀略放送VOA(ヴォイス・オブ・アメリカ)の推進者、ムント議員が、「共産主義との戦い」の一環として、「B52爆撃機2台分の予算」で可能と演説したのが発端である。

 この項目の見出しは「『武器』として建設された日本のテレヴィ放送網」になっている。

 私には、その当の企業で長年働き、16年半の不当解雇撤回闘争までした経験の実感がある。だから、私の目と頭脳には、いわば高性能の「対ウィールス・ソフト」が入っているような状態である。

 特にアメリカ発情報は、すべて、このソフトのフィルターにかけて、何度も濾過してから吟味する習慣が身についている。しかし、残念ながら、それができない論者が実に多いのである。

 以上のような「論壇」の状況であってみれば、体制派はもとよりのこと、大方の政党から「反体制派」までが、9・11を「テロ」と思い込み、茫然自失の「テロ糾弾」合唱を始め、その状況が市民運動の末端にまで浸透したのは、無理からぬことであった。

 私は、この状況をさらに、「またか」症候群と名づける。

 なぜ、私が「またか」と言うのか。その理由を簡略に述べると、基本的に同じ状況が、湾岸戦争でも、カンプチアPKO出兵でも、ユーゴ戦争でも、すでに起きていたからである。この十数年というもの、旧ソ連の崩壊後の状況を反映し、「反体制派」は「貧すれば鈍する」状況の坂道を転げ落ち、その一方で、大手メディア報道の影響、または犯罪は、何度も繰り返され、さらに、そのあくどさを増してきたのである。

 しかし、一応の影響力を持つ組織や個人が間違えると、その影響は、坂道を転げ落ちる勢いで増幅されるから、実に危険なのである。

 いわゆる「反体制派」の中でも「老舗」の位置にある日本共産党は、ソ連崩壊後に何度も露呈した長年の習慣通り、何も調べもせずに、「テロリスト糾弾」に走った。同党は、湾岸戦争では「独裁者サダム・フセイン」、カンプチアPKOでは「ポル・ポト派」、ユーゴ戦争では「独裁者ミロソヴィッチ」に対する「糾弾」に余念がなかった。いずれの場合も、本音は明らかだった。ソ連が崩壊に向かい、ついには完全に崩壊した状況下の退勢をくい止めるために、右顧左眄し、目先の票確保のために「良い子」ぶったのである。今回も「全党を挙げて」「テロ糾弾」の先頭を切り、思い切りの暴走をしてしまった。

 9・11事件直後から、同党は、NHKの命名による「同時多発テロ」を超々大見出しで使用し続けた。しかも、そればかりか、事件の犯人として「ビンラディン」の容疑が濃いとまで主張し続けたのである。

 [後略]

 こういう実情だから、私は、「偽の友」の危険性を強調しているのである。無自覚な裏切り者は、公然たる敵よりも悪いのである。この連中を始末することを、軍事用語では「粛軍」と言う。

 以上。


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