Free Mumia Abu-Jamal
ムミアの死刑執行停止を求める市民の会
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死の影の谷間から
<死の影の谷間から>
ムミア・アブ=ジャマール/著
今井恭平/訳
現代人文社/刊

事件現場と関係者図


筆者(今井)は、1999年2月に現場に行って来ました。そのときの私の見た感じから言うと以下の地図は若干印象が異なる気がします。つまり;
  • ローキャスト通りは、クルマが楽に3台並んで走れるくらいの広い通りに見えますが、実際はクルマ3台分の車幅ぎりぎりです(つまり実際は3台が並んで走ることは不可能)
  • 13番通りがローキャストと比較して狭い道として描かれていますが、両方の通りの道幅はほぼ同じです。13番通りの幅として描かれているのが、実際により近い気がします。つまりローキャストも、この地図で描かれている13番通りくらいの広さだと思っていただくとよいかと思います。
  • 12番通りも、ローキャストや13番とほぼ同じ道幅ですから、これも実際より狭く描かれています。ぎゃくに12番と13番の間にあるCanac通りはクルマ1台がようやく入れるほどの狭い道です。(クルマがすれ違うことは不可能です)
  • 12番と13番の間の距離も、実際よりも近い印象で描かれているように思えます。12番の角からだと13番とローキャストの交差点で起きた事件を見通すことはきわめて困難です。しかも、当時は街頭の明かりもなく、パトカーの赤色灯だけが現場の明かりだったのですから、現場の本当にそばにいなければ状況を目撃するのは困難だったのではないかという印象を強く受けました。
  • DHとして示されているデシー・ハイタワーの位置からは、事件現場は目と鼻の先という感じです。彼と事件との間には遮蔽物もありませんし、彼の目撃証言はその意味でも信憑性は高いと思われました。
  • 何よりも重要なのは、この現場がきわめて狭いということ。そして、シンシア・ホワイトがもしも自分で申告している通りの位置にいたとしたら、ほかの誰もが彼女を見ていないということは不可能だと言うことです。シンシアは事件現場にはいなかったとほぼ確信しています。

今井恭平

もう一つ、現場状況を描いた地図を見つけたので、ここにリンクを貼ります。この地図も、車の大きさと比較すると、道幅が実際よりも広いように描かれていますが、人間の位置関係や距離が数値で示してある点などではより分かりやすいかと思います。またムミアがタクシーを停めた場所が示されています。(2006年2月25日午前11時40分)

DF:
ダニエル・フォークナー巡査(officer Daniel Faulkner) 26歳
フォークナー巡査は、頭部と背中を撃たれていた。頭部の傷は、4フィート(約1メートル20〜30センチ)以内の近距離からの銃撃によるもの。
MAJ:
ムミア・アブ=ジャマール(本名 ウエズリー・クック)
フォークナー巡査が撃った38口径の銃弾はムミアの右乳首のすぐ下に命中。右肺、横隔膜、肝臓を切り裂いて脊椎の直前で止まった。警官隊が駆けつけたとき、自分自身の血だまりの中に座り込んでいたムミアは、警官達から激しい暴行を受けた。救急病院に運ばれた時、ムミアの額はざっくりと割れ、左目と顔の右半分が腫れ上がっていた。
警官達は現場に到着してすぐ、まだ状況も分からないはずなのに、倒れている二人の男のうちの一方を、他方を撃った犯人となぜ決めつけて暴行を働き、逮捕したのだろうか?
ムミアを撃ったのが本当にフォークナーであるかどうか不明。アーノルド・ビバリーの宣誓供述では、ムミアは後から現場に駆けつけた警官の1人に撃たれた、という。そのほうが自然とも思える。ムミアから摘出された弾丸の検査が適正に行われているか否かが明らかでないのも興味を引く。彼を撃ったのが他の警官であれば、検察側ストーリーの時間経過に矛盾が生じる。
RC:
ロバート・チョバート(Robert Chobert)
ユナイテッド・カブ社のタクシードライバー(23歳)。ローキャスト通りの南側で、フォークナー巡査のパトカーからクルマ一台分後ろに駐車した自分のタクシーの中に座っていた。犯人は現場から逃走したと証言していたが、その証言は変遷し、最終的にはムミアが狙撃犯だと証言した。無免許運転でタクシードライバーをしており、別件で仮釈放中の身でもあったため、警察に弱みを握られていた。
BC:
ウイリアム(ビリー)・クック(William ("Billy") Cook)
ムミアの弟。交通違反の嫌疑で、フォークナー巡査から車を道のわきに止めるよう命じられた。ローキャスト通りと13番通りの交差点に車を寄せて停止。巡査との間でもめ事がおこった。(図ではパトカーの右側にあるVWフォルクスワーゲンが彼の車)
ワーゲンにはビリー以外にも搭乗者がいたが、その人数や、事件後どうしたのかなどはいっさい明らかでない。(この点については、後にビリー本人が補充供述書で一部を明らかにしている。)
JF:
ジェームズ・フォーブス巡査 (Officer James Forbes)  29歳
射撃事件がおきた直後に現場に到着した。(図上には示されていない)
RH:
ロバート・ハーキンス・ジュニア(Robert Harkins Jr.) 42歳
ブロード・ストリート方向から来て、ローキャスト通りの東側を車で通過中だった。そして現場で車の速度を落としたが、停止したことが明らかになっている。
WH:
ウイリアム・ハーモン(William Harmon) 38歳
ローキャスト通りの北側でムミアを呼びとめて話をした。彼によれば、射撃がおきたとき、ムミアは現場から1ブロックも離れた場所にいて、道路を渡っていった。
DH:
デシー・ハイタワー(Dessie Hightower) 22歳
ローキャスト通りと13番通りの交差点の北西のコーナーに立っていた。ムミア以外の誰かが現場から走り去るのを見たと証言したが、裁判には証人として呼ばれなかった。
VJ:
ヴェロニカ・ジョーンズ(Veronica Jones)売春婦 20歳
犯行現場から1ブロック東側のローキャスト通りと12番通りの交差点に立っていた。犯人らしき男が逃走するのを目撃。その証言内容はハイタワー証言やコダンスキー証言とも一致していたが、警察の圧力で証言を変えてしまう。1996年になって、自分が一審で警察に強要されて偽証したことを明らかにする
DK:
デビー・コダンスキー(Debbie Kordansky) 29歳
犯行現場を見下ろす位置にある、セント・ジェームズ・ホテルの自室でテレビを見ていた。やはり逃走する真犯人らしき人物を目撃しており、その内容はハイタワー証言とも一致する。
裁判で弁護側証人として出廷を求めたが、検察は彼女の住所を弁護人に教えなかった。また裁判所も彼女の召喚に消極的で結局証言台には立たなかった。
AM:
アルバート・マギルトン(Albert Magilton)
13番通りの西側からローキャスト通りを北側に向かって渡る横断歩道の途中にいた。
MS:
マイケル・マーク・スキャンラン(Michael Mark Scanlan)
自分の車、フォードのサンダーバードに乗って、赤信号待ちでローキャスト通りに停止していた。
WS:
ウイリアム・シングレタリー(William Singletary)
1995年8月の再審請求のための審問の際に、ムミアとは異なる人物がフォークナーを撃つところを見た、と初めて証言した。
CW:
シンシア・ホワイト(Cynthia White)売春婦 22歳
事件が起きたとき、交差点の南東の角にいた、と主張しており、ムミアを犯人であると証言した検察側の切り札証人。しかし、当夜現場にいた他の証人の誰も、彼女がそこにいたのを見た記憶がないと証言している。
? :
真犯人とおぼしき人物が、ローキャスト通りを東側に向かって走って逃走するのを、複数の証人が見ている(ハイタワー、コダンスキー、ジョーンズ、チョバートら)。しかし、警察はこの人物を捜索しようとせず、裁判でもいっさいこの男の存在は無視された。仮にムミアが犯人だと警察が考えたとしても、共犯者がいる可能性もあり、逃走した人物がいるという証言があれば、ただちに非常線を張り、逃走犯の捜索を行うのが常道ではないか思われるが、現場の警官達はムミアに暴行を加えることのみに熱心で、こうした捜査をまったく行っていない。
現場の警官の中には明らかにムミアが誰であるかを知っていたと思われる人物が少なくとも2名いる。警官達は彼が何者であるか知っていて暴行を加えたのである。