鯨が増え過ぎて生態系を破壊する「反捕鯨」の大嘘(その14)

環境保護運動の育成は「新道徳武装」CIA謀略だった!

“反捕鯨”国際世論でなく欧米人の過半数が捕獲支持の世論調査結果

2001.1

 いやはや、捕鯨に関しても、やはり、情報を選り好みしてはならないのであった。

 私は、日本テレビ放送網株式会社の編成局調査部にいた当時、かつての大日本帝国の侵略の先兵としての情報機関、満鉄調査部に関する文献を、かなり読んだ。その後も、世界各国の諜報機関に関する文献を、漁り続けた。

 いわゆるスパイ機関は、情報源を選り好みしない。ありとあらゆる組織や、個人から、できるだけの情報を集めて、比較対照し、分析し、追跡調査する。

 そのやり方に比べると、いわゆる反体制の組織や、個人は、当てにもならない思い込みの思想傾向などを基準にして、情報源を選り好みする。これが、重大な間違いと失敗の源である。情報の世界では「ド素人」のやり方である。日本の大手メディアの中でも、中立幻想を振り撒くNHK,朝日新聞などに、同じくこの「ド素人」の傾向が見られる。

 最近、ドギツイ表現で受けている宮崎学の著書の宣伝文句に、「騙される奴は騙す奴の10倍悪い」というのがあった。これをさらにもじると、「自分が騙されて受け手を騙すメディアは騙す奴の10の自乗で100倍悪い」のである。

 日本人のほとんどは、騙す奴より「10倍悪い」騙される奴なのだが、欧米人、とりわけアメリカ人が、強烈な“反捕鯨”の感情を抱いており、鯨を食う日本人を野蛮人と思っていると思い込んで、萎縮している。「騙す奴の10の自乗で100倍悪い」メディアの商売の言論詐欺に引っ掛かっているのである。

 しかし、データを求めてみると、以下のように、それは完全な間違いであった。欧米人の中でも、日本の調査捕鯨に対して、経済制裁を振りかざしたりするアメリカの「国民」が、とりわけ高い比率で、「捕獲を支持する」と答えたのである。なお、この記事には、「世論調査」実施機関などについての情報が欠けているので、追跡調査が必要である。

 それはともかく、アメリカ、様、様、に逆らわざるを得ないう捕鯨問題では、どうやら、かつて新聞労連などが「産経残酷・時事地獄」と批判した労働組合弱体化と右傾化の拠点の記者たちが、そろって、頑張っているようである。個人としての記者が、かえって鍛えられたのかもしれない。

 なお、下記の記事を見て、9年前の拙著『湾岸報道に偽りあり』(1992)の一節(p.88)を思い出した。私は、そこで、次のように書いていた。

「元ニューヨーク支局長など英米圏での長い記者経験を持つ友人の一人は、私が湾岸戦争に関するアメリカの発表についての感想を求めると、即座に、今頃そんな初歩的なことを聞くな、といわんばかりの口調で、こう答えた。『ハハハッ・・・当たり前だよ。あれだけ熱心にPRするのは、それだけ隠したいことがあるからさ。アメリカは、そういう国だよ』」

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『産経新聞』(1998.5.18.夕)

ミンククジラ食べてもOK

“反捕鯨”の欧米で過半数が賛成

IWCの管理下なら…

【マスカット18日=時事】

 強硬な反捕鯨派とされる欧米など各国民の過半数が、資源が増加している小型のミンククジラについては、実は捕って食べても構わないとの寛容な姿勢を見せている……。こんな世論調査結果が17日、国際捕鯨委員会(IWC)年次総会が開かれているオマーンのマスカットで発表された。

 それによると、ミンククジラ資源をIWCがきちんと管理するなら食用のために捕獲してよいか、との質問に対し、米国で71%、フランスで63%、英国で61%、オーストラリアでも53%の回答者が「捕獲を支持する」と答えた。

 欧米では一部の動物愛護団体が「クジラは高等動物。殺して食べるのは残酷だ」として、特に日本の捕鯨に反対する運動を続け、ほとんどの政府も商業捕鯨停止措置の継続を支持している。

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(その15)米英に踏み躙られたハワイとカリブ諸国と日本の悲しい歴史に鯨を巡る因果
「反捕鯨」の大嘘の目次
『憎まれ愚痴』62号の目次