杉花粉症は “外交 行政 産業” 環境公害だ!(その7)

編集長の毒針:緊急課題!

杉花粉被害放置政策に猛然反撃の独立反乱!
“杉林焼き払い放火作戦”開始宣言!

激増「産業公害」花粉被害者の訴えvs発表報道

2000.5

 今回は資料集である。以下、花粉症患者の投書と並べて、林野庁の最新『林業白書』に関する「発表報道」を紹介する。読み比べて頂きたい。


『朝日新聞』(2000.4.3)「読者の投書」欄

花粉症なくし方策を考えて

主婦 荒井 晴子(神奈川県藤沢市 59歳)

 友達がグシュングシュンして可哀想と、同情していたらまずは息子、次に5年前から私が花粉症で悩まされる羽目となった。アレルギ-科処方の薬も2年くらいは効果ありだったが、だんだん効かなくなってしまった。

 2月上旬から、ヒノキ花粉の終わる5月上旬まで帽子、眼鏡、マスク、ツルツルジャンパーの外出姿。それでも鼻づまりのひどい日は苦しくて寝られず、点鼻薬を何度使っても効果なし。

 薬局は花粉症グッズを入り口中央に据え、シ-ズン到来を待つ。各社競い合って研究もされている様子だが、買う方にすれば、あれこれ試して結局、散財の繰り返し。

 大気汚染との関連も言われているが、これだけ原因がはっきりしてるのだから、杉、ヒノキを伐採して、と訴えたい。そんな無理なことをと言われるかもれてないが、早急に国の力で伐採、材木化し、輸入材と同価格で流通し、花粉を付けない種の苗に植えかえる。または、この先も国産は割りに合わず使われないという見通しなら、元の自然の雑木林に戻すなどして欲しい。

 他国から飛んでくるというのではない。せいぜい隣の県の樹木の話なのだから打つ手はあるはず。1年でも早く、また春風そよぐ中、マスク無しでお花見がしてみたい。


『日本経済新聞』(2000.4.7.夕刊)「ダイジェスト」欄

森林機能維持へ新基本法

 玉沢徳一郎農水相は7日の閣議に1999年度の林業白書を提出した。国産木材への需要の低迷で森林が荒廃している現状を重視し、林業の環境や国土保全上の機能を維持するための新たな林業基本政策の策定を打ち出している。深刻化するスギやヒノキの花粉症対策にも言及しているのが特徴だ。

 今回の白書ではおう盛な木材需要を前提にした林業政策を改め、森林の管理や経営を重視した政策への転換を打ち出した。新たな林業基本法を来年度にも策定。森林が果たす環境保全などの多面的機能を高める政策を展開する方針だ。花粉症対策では、花粉の少ない品種の開発を進めるとしている。


『日本経済新聞』(2000.4.8)

花粉少ないスギ植林

林野庁が花粉症対策
3年後にも、効果に数十年

 花粉症が深刻化しているのを受け、林野庁は、花粉の発散量が少ないスギの新品種の開発に取り組むなど、バイオ技術を活用した本格的な対策に乗り出す。早ければ、2003年ごろから千葉や山梨県で新しい品種の植林を始める。花粉症に悩む人にとっては朗報だが、スギの苗の成長には数十年かかるため、対策が軌道に乗るまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 同庁は7日にまとめた1999年版の林業白書で、スギやヒノキが原因とされる花粉症の対策を本格化させる方針を打ち出した。

 雄花を付けないために通常の品種に比べて花粉が著しく少ないスギの品種開発と、間伐の積極化を並行して進めるのが大きな柱だ。

 花粉が少ない品種はすでに15種類ほどあるが、大半が関東周辺の気候でしか育たない。このため、新たに開発する品種の植林もまず関東地方から始める計画で、各都県に苗木を配布し、3年後の2003年をめどに事業を本格化させる。さらに、クロ-ンなど最新のバイオ技術を活用し、東北や西日本でも生育する品種の開発も進めるという。一方、間伐や枝打ちなどの森林管理も花粉症対策に役立つことから、今年度から5ヵ年計画で計150ヘクタ-ルの間伐事業を進める。


 以上の「発表報道」の内、「国産木材への需要の低迷」「深刻化するスギやヒノキの花粉症対策」「2003年ごろから千葉や山梨県で新しい品種の植林」「間伐や枝打ちなどの森林管理」「5ヵ年計画で計150ヘクタ-ルの間伐事業」などの官僚作文の文脈に関しては、すでに本シリ-ズで批判し続けたところである。「大会社」による情報独占機構こと、「記者クラブ」所属の「記者」を「トップ屋」とする大手メディアは、結果として、まったく裏取り取材なしの提灯持ち記事を掲載しているのである。

 ここでは特に、つぎの問題点を再度、指摘する。

1) 花粉発生を抑制する決定打は「枝打ち」なのに、この位置付けが薄ボンヤリとしていること。実に怪しいのだが、林業の実態を調べない報道!

2) 「5ヵ年計画で計150ヘクタ-ル」は、日本全国の杉の人工林の「3分の1」でしかないこと。この数字は「発表」していないのだろうが、裏取り取材もしていない。

3) このペ-スでは15年掛かること。裏取り取材も計算もできない「記者」!

4) 「5ヵ年」の総予算が、たったの476億円でしかないこと。これも取材していない!

5) この476億円を全国の都道府県に配分するのだが、東京都の場合、1年分が2千2百万のみで、東京都が2億円を出していること。これも、まるで取材していない!

6) それでも東京都では1年で700ヘクタ-ルしか「保育」できないこと。同上!

7) 東京都ペ-スでは30年掛かること。裏取り取材も計算もできない「記者」!

以上で(その7)終わり。(その8)に続く。


(その8) “あの”科学技術庁発2000.1.27.記者会見資料
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