編集長の随時日誌 2008年2月 から分離

CIAと日本テレビのワンマン正力の過去の関係がさらに明らかに

2008.02.25(2019.9.12分離)

 日経(2008.02.24)の広告欄に「2月の新刊」として、以下の本、『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史』(新潮新書)が紹介された。広告の左肩の短い宣伝文句には、こうある。

「CIA本部より極東支部へ指令「日本の反米・反核世論を転換させよ!」
「正力松太郎・読売新聞社主とCIAが手を組んだ情報戦の全貌が明らかに!」

 以下は、インターネット・アマゾンの紹介記事である。


『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史』 (新潮新書 249) (単行本)
有馬 哲夫 (著)

内容紹介
一九五四年の第五福竜丸事件以降、日本では「反米」「反原子力」気運が高まっていく。そんな中、衆院議員に当選した正力松太郎・読売新聞社主とCIAは、原子力に好意的な親米世論を形成するための「工作」を開始する。原潜、読売新聞、日本テレビ、保守合同、そしてディズニー。正力とCIAの協力関係から始まった巨大メディア、政界、産業界を巡る連鎖とは----。機密文書が明らかにした衝撃の事実。

著者について
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。1993年メリーランド大学客員教授。現在、早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(メディア論)。著書に『中傷と陰謀』『日本テレビとCIA』など。


 わが古巣・日本テレビに関しては、拙著『読売新聞・日本テレビグループ研究』(筆名・征矢野仁、1979年刊)もある。1979の発行当時にも、CIAと正力の関係については資料もあり、いささか論じた。

 以下が、同じ著者の旧著『日本テレビとCIA』の紹介記事の抜粋である。


『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』(単行本)
有馬 哲夫 (著)

出版社/著者からの内容紹介
「日本テレビ放送網」----なぜ日本テレビの社名は「放送網」となっているのか?
「網」の字にはどんな意味があるのか?
その理由は設立時の秘密にある。
実は日本へのテレビの導入は米国による情報戦の一環だった。テレビ放送網は、そのまま「反共の防波堤」であり、さらに軍事通信網にもなるはずだったのである。
「テレビの父」である正力松太郎のテレビ構想は、アメリカ側にたくみに利用されたものに過ぎない。CIAは正力に「ポダム」という暗号名まで付けていたのである。
 著者がアメリカ公文書館で発見した474ページに及ぶ「CIA正力ファイル」----。そこには、CIAが極秘に正力を支援する作戦の全貌が記録されていた!
 日米で蠢くCIA、政治家、ジャパン・ロビー、官僚、そして諜報関係者・・・・・・。日本へのテレビ導入はアメリカの外交、軍事、政治、情報における世界戦略のパーツの一つだった。

内容(「BOOK」データベースより)
474ページに及ぶ「CIA正力ファイル」―。そこには、CIAが極秘に正力を支援する作戦の全貌が記録されていた!
日本へのテレビ導入はアメリカの外交、軍事、政治、情報における世界戦略のパーツの一つだったのである。暗号名PODAM=正力松太郎。新資料で解き明かす「アメリカ対日心理戦」の深層。


(2019.9.12追記)以下の部分、出所不明。2019.9.12現在のアマゾンの書籍案内には掲載されていない。


アメリカが日本テレビを作った、というと陰謀史観の本のようだがそうではない。
早稲田大学教授の著者は、「これでもか」といわんばかりに資料を読んだ成果を詰め込んでいる。
そこから見えてくるのは、アメリカという国の情報戦に賭ける執念である。
何が何でも、「反共メディアとしてのテレビ」を日本に作る、それも日本人にはそう気づかれぬままに。そのプロジェクトのために動き回るアメリカ政府、CIA、ロビイストの姿が活写されている。
また、その意向を知りながら、利用しようとした日本側のしたたかな男たちも面白い。
アメリカの強さは「武力」だけではない、ということがよく判る。
著者も書いている通り、これは決して過去の話ではない。
 [後略]


(2019.9.12追記)『日本テレビとCIA』は2006年10月の辛口時評に、『読売新聞・日本テレビ・グループ研究』(木村愛二、筆名・征矢野仁、汐文社、一九七九年)と『放送メディアの歴史と理論』(木村愛二、社会評論社、二〇〇五年)とからめて紹介している。