密室取引:農水省跡地利用計画 1

個人税収日本一「文化人都市」を舞台の「民主主義」猿芝居

酔っ払い運転事故の予算委員長

酒気帯び運転事故で検挙された予算委員長の下で
財政難の親(食糧庁)が子(武蔵野市)に
不用土地を「時価で買え」と迫る餓鬼地獄

定例議会本会議、沈黙の開会遅延

 1998年3月27日は、武蔵野市の年度予算を決定する定例議会本会議の最終日に当たっていたのだが、定刻の午前10時前に傍聴に詰め掛けた市民有志は、何らの公式発表も受けないままに、午後1時半まで待たされた

 非公式情報によると、議事運営をめぐる代表者会議が密かに行われているとのことであったが、その議題と想定される「予算特別委員会委員長の酒気帯び運転事故」に関してはすでに、次々と複製されて文字が薄れた新聞記事コピーが、市役所中に多数出回っていた

 事故後の「道路交通法違反」による「検挙」は3月25日未明。読売と毎日の27日付け「武蔵野版」頁に、ともに2段見出しの記事が載っていたのである。朝日、日経、産経は、まったく報じなかった。いわゆる「特オチ」である。傍聴に詰め掛けた市民有志は、たまたま、朝日と日経の読者だけだったので、市役所に議会の傍聴席に入るまでは、この事件を知らなかった。その後も、知らずにいる市民の方が多数派である。

 ことは、予算決定の本会議最終日という最も重要な儀式の開会が、3時間半も遅れ、その唯一の原因が、その日の中心議題を付託された特別委員会における審議の報告をする花形役者の「酒気帯び運転事故」にあったという、いかな田舎議会であろうとも前代未聞の珍事なのである。これが国会ならば、内閣総辞職に発展しかねない事態である。

 ところが、小なりと言えども人口13万人を超す個人税収日本1の「文化都市」、武蔵野市には、地方紙がない。住民そのものに中央志向が強いということもあろうが、各中央紙の武蔵野版頁の片隅にしか、市政の報道は載らない。月に1回、各戸配布される『市報むさしの』は、当然、市長礼讃記事だけで溢れているとなれば、「民主主義は地方自治から」などという掛け声も、空しく響くだけである。

 そこで若干、同事件の報道状況の問題点を指摘しておく。

 短く報じた読売と毎日の記事を比較してみると、ともに本文は1行12字で、読売は44行、毎日は30行。(別間に解説付きで両記事全文を収録。本間末尾にリンク箇所あり)

 読売の見出しは「武蔵野市議、酒気帯び運転/議会会期中に自損事故」と2行。

 毎日の見出しは「武蔵野市議酒気帯び運転」だけの1行。

 読売記事には「石井一徳議長」のコメントまであるが、毎日記事には読売が書いた「議会会期中」もなく、何らの関係者の言もない。毎日が警察発表のみに頼っていることは明白で、しかも毎日記事には、同じく「ワイン1本を飲んだ」(読売)という具体性もなければ、事故を起こした「鈴木有臣市議(56)=自由民主クラブ」が「予算特別委員長を努めて」(読売)いたという決定的な問題点が、まるでなかった。

 「ヨタモノ」(拙著『読売新聞・歴史検証』参照)こと読売の圧勝である。

 上流好みの武蔵野市には、読売新聞の読者は少ない。「押し売り」の別称、いや、蔑別もある読売は、ヤクザの拡張団に洗剤の「拡材」を持たせて、しょっちゅう武蔵野市民を悩ませているが、なかなか部数は伸びないらしい。

「エセ紳士」こと朝日新聞や、財界紙こと日本経済新聞の読者の方が多数派なのだが、この2紙が「特種を落とした」(略称:特オチ)のであった。

 朝日の記者は、珍しく議会に現われたが、記者席に座らず、片隅で眠そうにうずくまり、溜め息を付いていた。その有様を目撃した自称名探偵の簡単な推理では、本社のデスクから「特オチ」で怒られ、後追いのネタの落穂拾いを試みたものの、結局、記事にできず、といったところか。

 しかし、部数や品性はともかく、記事内容では圧勝の読売も、肝心の本題、「予算」に含まれていた重大問題に気付いていたわけではない。

 毎日の記者も、読売への巻き返しを狙ったものか、これもやはり珍しく記者席に現われたが、次のような冒頭の「予算委員長陳謝」の場面が終わると、そそくさと引き揚げた。両紙とも、結局は、欧米で「タブロイド」と通称される下品な三面記事狙いの、そそくさサラリーマン取材でしかない。

与野党グル「謹慎」退場の田舎猿芝居

 3時間半遅れで開会された本会議は、雑件の承認後、重苦しい雰囲気の中で、「鈴木君の謝罪」のための登壇を許した。用意の文章を棒読みにした鈴木市議が「謹慎」のために退場すると、予算特別委員会の副委員長が登壇し、これまた用意された官僚作文による審議報告を朗読した。

 予算案の中には、総予算比で約2%、同じく総予算比で約10%しか使えなくなっている財政規模の「投資的経費」の約20%を占める「農林水産省食糧倉庫跡地取得費」10億円が計上されていた。取得総額の予定は「時価」により約73億円の想定で審議され、すべて土地開発公社が指定金融機関・東京三菱銀行から借入する予定である。土地開発公社による土地取得という点に関しては、これまでの例と同じであるが、売り手は国であり、ここに地方自治の現状を考える上での重大な問題が潜んでいる

来年の市長選挙での宣伝狙い見え見え

 農水省の催促が何年も前からだというのに、なぜ今年の3月が期限なのか?

 最早、多言は要しない。土屋市長は、来年の市長選で必ず持ち出される土地開発公社問題に備えると同時に、農水省との「密室」交渉での「値引き」を自慢する予定だったに違いない。反中央・地域住民本位なら、法令と通達を盾に取って、元々は地元の米集積地だった土地を、断固、無償獲得すべきである。得をするのは金を貸す銀行だけだ。

 3・25日11時から45分間、『武蔵野市民オンブズマン』の申し入れにより、農水省広報課を窓口として、食糧本庁経理課大山課長補佐及び亀山財産担当課員と、武蔵野市民有志との会談が行われた。

 基本的な問題点は、文書が存在しない「密室」談合で巨億の市財政資金による「土地取引」が行われた事実にあるが、両担当官は率直に「文書確認なし」を認めた。ただし、大山課長補佐が顔を赤らめながら認めたように、彼らの段階では、「売れ」という上の命令に、ただただ従っているだけである。

 裏では必ず、食糧庁・農水省のトップ、フィクサーの自民党ボス、土地開発公社に金を貸して確実に利息を稼ぐことになる武蔵野市指定金融機関の東京三菱銀行トップ、土屋市長らの料亭会談が行われたと睨んで、市民が対応を考えるべきであろう。

「人を見たら泥棒と思え!」

「役人の子はニギニギをすぐ覚え」

 これが一番正しい歴史の教訓である。教育委員会だの何だのカンだのと怪しげな御用組織をデッチ上げては子供をだますから、年齢だけは大人になっても、議員とかになっても、だまされ続けになる。

実績はタダ、実勢30億円、公示41億円を
73億円で承認した議会って何?

国(農水)の不用土地は無償使用が当然!

詐欺答弁に基づく予算決定は無効だ!


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