『亜空間通信』274号(2002/06/16) 阿修羅投稿を02.12再録

相対的重点を無視し有事法制反対と正当防衛権主張の矛盾を偽る平和商売の厚顔

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『亜空間通信』274号(2002/06/16)
【相対的重点を無視し有事法制反対と正当防衛権主張の矛盾を偽る平和商売の厚顔】

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 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

(号数訂正 発行時271号(だぶり発行))

 私はすでに今から15日前、『亜空間通信』264号(2002/06/01)【猫も杓子も有事法制反対で石油使い放題飽食泡沫日本偽善系左翼の振りっ子醜状】を発した。

 私の論旨を分かりやすするために、もっと具体的に言うと、これは、欺瞞と偽善だらけで鈍感で厚顔無恥な自称平和主義者どもの愚劣さに対しての、自らが長年受けた被害の告発でもある。怒りを込めた告発なのだから、言葉が厳しくなるのは、やむを得ない。

 もっと簡単に言うと、有事法制反対運動とやらは、逃げ腰もいいところで、今の今、進行中のアフガニスタン侵略とパレスチナ侵略に真っ正面から抗議せずに、「平和ぼけ」と言われて久しい日本国内の法制のことばかり口先で呟くだけの免罪符稼ぎでしかないからである。この種の安手の主張の組み立ては、商売人の弁護士がよくやる。相撲にたとえると、小股すくいでも何でも、当面は勝てれば結構の点取り虫商法である。

 彼らは、私が「偉っそうに」と形容する自称「高度工業国家」の経済的な余録だけは、ばっちりと「享受」しながらも、その工業中心の経済の基礎として不可欠な石油の85%以上を中東に依存していることなどは、まるで意識しないような「平和論」を長年、宣い続けているのである。

 石油資源の埋蔵量に関して、これまで世界一とされてきたサウジアラビアの識者は、「なまじ石油があるから酷い目に遭う」と嘆いている。その北方に埋蔵量最大の油田、天然ガス田を控えるアフガニスタンでアメリカから酷い目に遭ったタリバンの指導者も、「石油資源なんか要らない」と、同様のことを語っていた。彼らは、日本を含む石油諸費国の犠牲者なのだ。

 対米従属外交を続ける連中の厚かましさもさることながら、私が「自称平和主義者」と批判し続けてきた連中の奇妙さと鈍感な厚顔無恥の程度も、また格別なのである。

 彼らは、対米従属外交を続ける連中とは名目的にはその対極の位置にあるはずなのだが、しかし、しかし、今の今の国際情勢の中での相対的重点、アフガニスタン侵略への反対の声を軽視し、実はアメリカが恐いから敬遠し、日本の「井の中の蛙」さながら、国内問題でしかない有事法制反対を口先で唱えるだけで、事実上、対米従属外交を側面から援護しているのである。

 しかも、しかも、彼らは本当に、自分たちの主張の矛盾や世間常識無視の雲の上の極楽蜻蛉風の論理の滑稽さには、まるで気付かないのだろうか。それとも、それで国会や地方議会の議席を掠め取ったり、市民組織を維持できさえすれば、御満足なのだろうか。

 もう一度、念を押す。彼らは、今の今、アメリカのアフガニスタン侵略戦争に荷担してインド洋に軍艦を3隻送っている日本、すなわち戦争体制の真っ最中の国家の「国民」であると称しながら、その根本の「アフガニスタン侵略戦争」への反対運動は口先だけで済まし、実態としては石油資源争奪戦を無視し続けながら、「有事法制は憲法違反だから反対」だと宣うのである。

「憲法違反」という御立派な御主張の基本は、もとより、次の条項に対する「違反」だという意味である。以下、電網検索で拝借。

http://www.9joren.net/
日本国憲法 第2章 戦争の放棄

第9条【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】

1. 日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。

http://cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/kenpou9jyou-seifukaisyaku.html
憲法第9条に関する政府の解釈の推移

1946(昭和21)年
 戦争放棄ニ関スル本案ノ規定ハ、直接ニハ自衛権ヲ否定シテハ居(お)リマセヌガ、第9条第2項ニ於(おい)テー切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果、自衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戦権モ放棄シタモノデアリマス。従来近年ノ戦争ハ多ク自衛権ノ名ニ於テ戦ハレタノデアリマス。…故ニ我ガ国ニ於テハ如何(いか)ナル名儀ヲ以テシテモ交戦権ハ先ヅ第一自(みずか)ラ進ンデ放棄スル。…世界ノ平和確立ニ貢献スル決意ヲ先ゾ此(こ)ノ憲法ニ於テ表明シタイト思フノデアリマス。(吉田首相)

 以上で引用終わり。

 さて、上記のごとき免罪符稼ぎの商売人の偽善系左翼小児病患者の代表格は、社会党亡き後、「唯一の野党」などと自称したりする日本共産党であろう。一緒にするなと力む向きは、大いに論争すべし。

 で、上記の「吉田首相」答弁は、当時は唯一の日本共産党の国会議員で、最近、「スターリンに同志を売り渡したこと」が判明して除名とされ、裏切りと除名の汚辱にまみれて死んだ野坂参三が、「自衛権の必要」を主張した際の質問に答えたものである。

 主旨としては、子供でもわかることだが、「近年ノ戦争ハ多ク自衛権ノ名ニ於テ戦ハレタ」から、「自衛」を含む「如何(いか)ナル名儀ヲ以テシテモ交戦権ハ先ヅ第一自(みずか)ラ進ンデ放棄スル」という説明なのであって、この主旨説明に基づいて、現行憲法の「戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認」とその「目的を達するため」の具体的処置としての「陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない」「本案ノ規定」が、ここに定められたのである。

 ところが、ところが、「理論政党」などと自称したりする日本共産党は、以後、一貫して、しかも、裏切りと除名の汚辱にまみれた野坂参三の死後も、自衛権を主張し続けるどころか、さらには、「正当防衛権」などと力んだりしているのである。

 さてさて、閑話休題。わが散歩道の武蔵野市の住宅街の辻々の壁に「わたしたちは有事法制に反対します」の大きな赤い文字が浮き出る日本共産党の超巨大貼り紙が出現したのは、どうやら、私が入院中のことだったらしい。

 その隣には、来年の市会議員選挙立候補予定者らしき「党くらし育児相談室長」とやらの顔写真入り貼り紙が並んでいるから、目的は明らかである。

 来春は、市長と市議の一斉痴呆選挙とやらが行われるのである。

 簡略に言えば選挙目当て、私の表現では4年に1度の騙される権利しかない市民を、またぞろ騙して市民平均が500万円なのに1000万円の年収の市議会の議席を確保し、1年にたったの40日の市議会の会期を保守系と同様の勤務時間でこなし、残りの時間は「党勢拡大」と言えば重々しいが、実は、自ら「しんぶん」と名称を変えた「中央機関紙」こと、『しんぶん赤旗』の拡大、それも実は「部数維持」がせいぜいのために使おうという魂胆の所業なのである。

「わたしたちは有事法制に反対します」の左隣には、少し小さく、1つは「これは政府の独断で戦争体制をしき、国民の権利を自由をしばる法律です」、もう1つには「これは国民を守るためではなくアメリカの戦争に日本を参戦させる法律です」とある。

 同趣旨の印刷物が、我が家の小さな郵便受けのも投げ込まれていた。日本共産党の中央委員会の電話番号と並べて「意見、感想をお寄せ下さい」とあったから、電話して、「国民を守るための有事法制なら良いのか」と質問し、予想通りの蛙の面に小便の回答を得た。ああ、馬鹿馬鹿しい。電話料金、返せ!

 以上。


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