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インタビュー

パナソニック裁判原告

佐藤 昌子さん

  • 2009.08.05
  • 聞き手:梅山美智子
  • 撮 影:飯田典子

佐藤 昌子さん

働くことは、誇りを持つこと

 佐藤昌子さんが福島県郡山市にある東北松下電工(現パナソニック電工)のショールームアドバイザーに採用されたのは、派遣法成立の6年後、1991年2月だった。
 当時、夫がくも膜下出血で倒れ、3人の子どもを抱えて将来に不安を抱いていた。職業訓練校に通い2級建築士の資格を取得したが正規職を得るのは難しく収入は伸びない。
 このままでは一家が路頭に迷うと思っていたある日、〝正社員募集〟のチラシが目に飛び込んだ。所長と課長の面接を経て採用が決定した時は、今までの努力が報われたと喜んだ。
 1カ月後、営業所長は子会社アロービジネスメイツ(ABM)への転籍を打診。やっと得た仕事を失うわけにいかず、受諾を余儀なくされた。その後約17年 8カ月間、佐藤さんは実に34回もの雇用契約を繰り返す。最初の6年は請負、その後は派遣社員として。仕事は接客と受付なのに契約書の業務内容は「事務機器操作」。後に派遣期間に定めのない専門26業務の「インテリアコーディネーター」とされていた。ABMが派遣会社ということさえ知らされなかった。

 顧客からの信頼は絶大だった。指名も多く東北ブロック新規顧客獲得キャンペーンでは連続1位。他営業所からも視察が来た。貸切バスで本社ショールームへたびたびお客を案内し、数十万〜数百万円の契約を取りつけた。
 残業も増した。夜10時、11時、家にも仕事を持ち帰った。
 「なぜそこまでするの?と同僚に聞かれたこともあった。その時は〝お給料もらってるでしょ〟と軽く答えていたんですよね」
 そう語る佐藤さんの目に、悔しさがこもる。

 2008年10月、電工は再び佐藤さんにグループ内別企業への転籍を言い渡す。今まで同様の半年契約、そして賃金は4割減と新入社員同様の待遇。「条件交渉なし。残るか、残らないかだけでいい」と言われた。
 「私の18年は何だったんだろう。自分が否定された思い、悔しさ、怒りでいっぱいになりました」
 現在、佐藤さんはパナソニック電工を提訴、違法派遣の謝罪と地位確認を求め裁判係争中だ。
 「非正規も正規も、職場に行けばみんな誇りがある。問われるべきはその人たちを路頭に迷わせる企業のあり方です」

続きは本誌で...

さとう しょうこ

福島県生まれ。東北松下電工に採用後、すぐに派遣会社に転籍させられる。2008年全国一般労働組合全国協議会に加入。「パナソニックの偽装派遣を告発し、解雇撤回・直接雇用を求める佐藤さんを支援する会」 TEL024(932)8059
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
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 郵便振替:00180-6-196455
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