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ふぇみんの書評

フェミニスト政治経済学

大橋史恵、堀芳枝 編

  • フェミニスト政治経済学
    • 大橋史恵、堀芳枝 編
    • 大月書店3000円+10%
    原油急騰による物価高の加速が止まらないのに、株価が最高値を更新。自然や女性を追いやって、格差も広げてきたグローバル資本主義の矛盾は暮らしを直撃し続けている。本書は、ジェンダー不平等をもとに機能する状況を「社会的再生産」の観点から問い直した。社会的再生産とは、個人や世帯、コミュニティ、国家レベルで社会関係を継続的につなぐこと。次世代を生み育てること、育児・介護・家事といったケア労働、労働力を生み出すための休息も含まれる。  全12章に及ぶ議論は幅広い。女性運動の中で家事を労働と捉える視点が生まれた歴史を踏まえ、フェミニスト政治経済学は何を問題にしてきたかを詳述。先進国社会で家事・介護労働者として働く途上国出身の女性たちの移住労働などを通じて、グローバル資本主義の収奪と搾取の構造も捉える。各章末に掲載される関連書籍紹介と、討議のための質問が理解を深化。より公正で持続可能な社会の実現に向けて変革を求める。(春)

    ここからはじめる包括的セクシュアリティ教育 性の価値観・態度を見直す対話型アプローチ

    東優子、野坂祐子、吉田博美 著

    • ここからはじめる包括的セクシュアリティ教育 性の価値観・態度を見直す対話型アプローチ
    • 東優子、野坂祐子、吉田博美 著
    • 日本評論社2500円+10%
    デジタル性暴力や予期せぬ妊娠を考えると、ジェンダー平等や人権を基にした包括的セクシュアリティ教育(CSE)を早く子どもたちに!と気ばかりが焦る。本書は、フィンランド等性教育先進国の実践を踏まえ、性教育実践者(教員、保護者等)に向けてCSEの具体的な実践方法を記す。「何を教えるか」より「どう教えるか」が重要と、実践者のみならず全ての人に思考の転換を促す、目が覚めるような書だ。  本書の柱は、対話を重視した、子どもが安心して安全に話せるポジティブアプローチ。実践者の偏見が対話を阻害するため、実践者の性の価値観や態度を見直す実践ワーク等も収録。また同意や「境界線」の捉え方、性暴力を扱う際の視点も分かりやすく詳細に。さらに性の健康や権利と共に、近年世界で実現がめざされる「セクシュアル・プレジャー」も示唆に富む。全ての大人が読むべき一冊だ。(養)

    沖縄 対話の記録 台湾有事を起こさせないために

    岡本厚、谷山博史 編著

    • 沖縄 対話の記録 台湾有事を起こさせないために
    • 岡本厚、谷山博史 編著
    • 地平社2000円+10%
    2022年10月から24年4月にわたる「沖縄対話プロジェクト」の全記録。「台湾有事」とはそもそも何か、その可能性はあるのか等を、沖縄と日本、台湾、中国の市民や研究者・議員など40人以上が互いを知るため、沖縄に集い対話した。  中国人話者は「台湾有事」は存在しない、悪意ある戦略的な罠と言い、香港に対しても容赦ない。台湾からの「台湾有事はありうる、海峡で衝突が起きれば日本軍(自衛隊)が来てくれる」(43%の台湾人が自衛隊の参戦を希望!)という見解には驚く。  だが、これは対話できたから知ったこと。「対話が始まれば次からは言いにくい質問もできるようになる」という評価もある。大上段に構えた話に対し、「大きな政治・軍事の文脈で語られることに地元民には違和感がある」「本当に対話すべきは日本政府と」「考えの違う人とどう共通項を見つけていくのか」という、沖縄の女性の発言は響いた。観念的な議論より、現地の人々の言葉こそ貴重だ。(ま)
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