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ふぇみんの書評

まぼろしの「日本的家族」

早川タダノリ 編著

    まぼろしの「日本的家族」
  • 早川タダノリ 編著
  • 青弓社1600円
 今政府がやたらと「家族」観を押しつけ、家庭に介入しようとし、改憲が必要と言う。本書は、なりふり構わぬ右派政権の「家族」観押しつけの歴史や現状を振り返り、その理想の「家族」の実態や押しつけの意図を明らかにした。  第1章で本紙2面寄稿の早川が右派理想の「家族」は“まぼろし”と言い切る。団欒をするサザエさん一家が古き良き日本の家族で、それを現憲法やGHQが壊したと言うが、戦前の家制度の序列下で“団欒”は存在しない、と。“まぼろし”を守るための、憲法24条改正、ジェンダーバッシングからの官製婚活、親学と家庭教育支援法、簡素・公正・中立が原則の税制で3世代同居減税…。「諸外国にも家族保護条項はある」の言説にも注意。右派「家族」像に女の人権や多様性は一切なく、子孫を作って未来永劫国家を下支えさせたいのだ、と。  各論者の展開が面白い。それにしても“まぼろし”にジャンジャカ税金と人材を使う。やっぱりこの政権まともじゃない。(登)

泣きかたをわすれていた

落合恵子 著

  • 泣きかたをわすれていた
  • 落合恵子 著
  • 河出書房新社1500円
 主人公の冬子は、子どもの本の専門店を経営する72歳。非嫡出子の冬子を一人で育てた母を、7年間自宅介護し、看取ってから10年が経つ。著者21年ぶりの自伝的小説。  認知症を患う母から、「おかあさん」と呼ばれたとまどい、幼い時寝る前に母が読んでくれたように、母に絵本を読む幸福感。「いったいいつまで続くの?」という絶望等、介護の日々が綴られる。  冬子は子どもの頃から、自分が母より先に死ぬことを怖れた。母の死は喪失感とともに、「いつでも死ねる」という自由と解放を与えてくれた。小説後半は自分の老いと向き合いながら、大切な知人を次々と見送り、41年続けてきた子どもの本専門店で働く日々が描かれる。  「ひとは誰でも平凡な、けれどもひとつとして同じものは無い本を一冊残して、そして死んでいく」。自分の人生の最終章をテーマにしながら、さわやかな読後感の小説だ。(晶)

日本の気配

武田砂鉄 著

  • 日本の気配
  • 武田砂鉄 著
  • 晶文社1600円
世の中の動きを丹念にウォッチするフリーライターの著者が、いま注視する危険な「気配」とは。「空気」とはどう違うのか、思わず手に取ってみたくなる本だ。  2020年の東京オリンピックでも最初は反対した人たちが、時間が経つにつれて「どうせやるなら」派にまるめこまれていく。その流れはだれが作っているのだろうか…と核心に迫っていく。震災や災害後の前向きな明るい声は歓迎されるが、暗い話や復興への疑念を口に出すと疎んじられるのはなぜか。日常をフィールドワークするなかで、ふだんから権力の支配や同調圧力に警戒しているはずの彼(著者)でさえ、つい気配に呑み込まれることがあるのに気づく。  そう、同じような経験が自分にも「あるある」と思いながら読み進め、投げかけられた問いに自分ならどう答えるだろうなどと考えるとたいへん疲れる本なのであるが、「ムカつくものにムカつくと言うのを忘れたくない」というひと言に大いに共感。(室)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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