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ふぇみんの書評

小さな「戦犯」  音楽家たちの戦争責任

小松田健一 著

  • 小さな「戦犯」  音楽家たちの戦争責任
    • 小松田健一 著
    • 高文研2200円+税
    「この歌を聴いて、どれぐらいの人が戦争に行ったのかなあ…」。歌手の矢田稔は、9歳でレコード録音した「兵隊さん御苦労さん」を聴きながら、自分は戦犯なのだと述懐した。童謡だが、出征兵士の奮戦を称える、紛れもない軍歌だ。戦争に加担したという思いが、91歳になった今も彼の心に暗い影を落とし続ける。  人の心理に強く作用する歌は大衆を扇動する道具として実に有効だった。あの戦争は、たとえ軍部の暴走があったにせよ、“下から”の熱狂が支えた。天皇制を讃美し、愛国心と自己犠牲を求め、交戦国への憎悪を煽ることが目的の歌に関わった者たち…。山田耕作ら大物たちが戦後、知らぬ顔で生き長らえたように、表現者としての責任を引き受けようとする者は少ない。当時の歌謡界に関わった作詞家、作曲家、それをいたいけな少年少女に歌わせた音楽業界とメディア、推進した国家は反省したのか。当時の業界関係者に聞き取りをした著者は問いかける。(た)

    花と少女の日本文学

    西原志保 著

    • 花と少女の日本文学
    • 西原志保 著
    • 春秋社2700円+10%
     日本文学者の著者が、日本文学の中で花にたとえられてきた性愛や生殖を解読する。  特に、近代以降の「少女」の分析が面白い。本書では出産可能な身体を持ちつつも結婚まで出産を猶予された女性を「少女」と呼ぶが、結婚までは「純潔」を守れと言われ結婚後は良妻賢母たれと言う欺瞞、滑稽さや恥ずかしさは、誰もが感じるだろう。紹介される少女たちは花のシンボルを逆手に取って、良妻賢母を拒絶するほど純潔に執着したり、男性との性愛ではなく女性同士の関係を求める。石井桃子の『幻の朱い実』は女性同士の友情を、森茉莉の『甘い蜜の部屋』は父と娘の深い愛を描く。  良妻賢母規範が残り、恋愛し生殖することが「普通」という規範に今も女性たちは苦しめられている。アロマンティック(恋愛感情を抱かない)・アセクシャル(性的に惹かれない)を肯定すること、すなわち「私たちは、性愛や生殖から自由になるための花を、手に入れることができるだろうか」と著者は問う。(雪)

    可能性としてのベ平連 地域の運動経験と未完の記憶

    市橋秀夫、大野光明ほか 編著

    • 可能性としてのベ平連 地域の運動経験と未完の記憶
    • 市橋秀夫、大野光明ほか 編著
    • ミネルヴァ書房6000円+10%
    「ベ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)は、一般的に小田実らが中心となった東京の「ベ平連」のイメージが強い。しかし、1960年代後半から70年代初頭にかけて、全国の各地域ごと、大学や高校ごとに400近くのベ平連とその関連反戦市民グループが作られた。中央本部・地方支部の関係にせず、規約や綱領も作らなかった。本書は、全国各地の様々なベ平連について、当事者たちへのインタビューや資料の収集により、運動を担った一人一人の歴史や各地域の個性を探った一冊だ。  千葉ベ平連は、三里塚反対闘争の中、チャーターしたセスナ機から録音したジェット機の騒音を放送して、地域住民に騒音被害をアピール、神奈川のベ平連は、横浜市と相模原市で市民と革新首長が連携した米軍の戦車搬出阻止闘争を展開するなどのユニークな活動が記される。さらには英文雑誌『AMPO』発行でアジア諸国の運動体や市民同士の情報交換等、運動の架橋に発展した経過も興味深い。(公)
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