
(c)前田光代
ふぇみんで映画欄を担当している、映画研究者の斉藤綾子さん。初回は1996年8月15日号で、なんと今年で30年! この3月に大学を定年退職。「もともと映画論の研究者にも、フェミニズム映画理論の専門家にもなるつもりはなかったんです。そもそも映画好きの〝シネフィル”でもなかったし」と言う斉藤さんが、なぜこの道に進んだのか。 大学卒業後、大手企業に就職したが、男女雇用機会均等法成立前、男女差別の現実に直面。良妻賢母教育された昭和1ケタ生まれの母からの結婚圧力に抗して、お金を貯めて米国へ留学した。
ちょうど80年代後半、入学した米西海岸の大学にはフィルムスタディーズがあり、学んでみると興味がわいた。さらに大学院でフェミニズム映画理論が必修科目だったことも帰国後に役立った。
フェミニズム映画理論は、70年代以降のリブ運動の影響を背景に、フェミニズムの枠組みを利用して映画を分析する理論。「映画の男性中心視点の構造をひも解いていく学問で、ポスト構造主義や精神分析の要素が大きくて、日本の大学で心理学専攻だった私には、英語であっても理解しやすかったのです」と語る。
94年に帰国。フェミニズムの視点による映画理論の研究に魅力を感じていたとき、機会を得て雑誌「ユリイカ」に、米国で初の劇場公開となった黒人女性監督の長編映画『海から来た女たち』について書いた。まだ日本ではフェミニズム理論の視点で映画を論ずることが広がっていない時期で、次第に執筆が増えていく。 ふぇみん映画欄は、当初ピンチヒッターとして急遽請われて担当に。1作目はジョナス・メカス監督の『リトアニアへの旅の追憶』で、ケン・ローチ監督の『大地と自由』と続いた。
続きは本紙で...