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インタビュー

ドラムサークル ファシリテーター

佐々木 薫さん

  • 2009.11.05
  • 聞き手:じょうづかさえこ
  • 撮 影:落合由利子

佐々木 薫さん

社会を変えるエンパワーメント

 「ドラムサークル」というものに筆者が初めて参加したのは、つい数カ月前のこと。見知らぬ者同士が円形に座り、目の前に用意された太鼓や打楽器を叩く。初めて楽器に触れる人もいれば、プロ級の人もいるが、不思議とリズムが合っていく。何とも言えない高揚感と開放感に、すっかり虜になった。
 サークルの真ん中に時々出てきて踊るようなしぐさで何かを指示していたのが、佐々木薫さん。「それぞれが個性を主張しながら、調和する」という彼女の言葉にも心惹かれた。

 佐々木さんが、「ドラムサークル」を実体験したのは、2003年1月。自身が翻訳した『ドラミング~リズムで癒す心とからだ』(R・フリードマン著音楽之友社刊)にたびたび出てくる「ドラムサークル」とはいったいどんなもの?と、はるばるサンフランシスコ郊外を訪れ、〝ドラムサークルの父〟アーサー・ハルの研修に参加した。
 「単なる好奇心で行ったのですが、激しく心を揺さぶられました。知的障がいがあるという9歳の少女が、ベテランファシリテーター(リーダー)として活躍していたり、バリアフリーとは程遠い施設なのに、車いすの人がごく当たり前に参加していたり…。研修を終えて街に戻った時、世界に満ちる不安と混乱を体感して、ドラムサークルの場が、いかに肯定と受容に満ちた、安心できる場だったのかと、改めて感じました」
 混乱する心を抱えて帰国し、その興奮を熱く語る佐々木さんに、友人は「あなたがやれば?」と。「まさか。翻訳の参考に自分の目で見ておこうと思っただけ」と答えた佐々木さんは、その2カ月後には初のドラムサークルを開催した。
 「世界の太鼓の精霊たちに、使い走りとして動かされたとしか思えない」と、佐々木さんは笑う。

 以来、たびたびアメリカでの研修に通い、国際認定ファシリテーターとして、アースデイ、障がいを持つ人の集まり、親子イベント、企業研修…と、世界中でドラムサークルを伝え、ファシリテーターを育てる佐々木さん。「ファシリテーター」は、一般にイメージする「リーダー」とは、大きく違うと言う。
 「まず、ドラムサークルは、参加者のものであって、ファシリテーターのものではないというのが、大原則です。何かを『教える・導く』ではなく、『いま、ここ』で起こっていることを全身のアンテナで受け止め、参加者が次に行きたがっているところへ、それとは気付かれずに上手に行かせてあげるのが、ファシリテーターの役割です」
 「生物の一つ一つの個体差は、上下のランクではなく、バラエティー。そのバラエティー豊かな声が、一斉にしゃべるのがドラムサークル」と語る佐々木さんは、「それぞれの個体がしっかりと受容され、エンパワーメント(力づけ)されることで、心地よいコミュニケーションや関係性のあり方を安全な形で体感する場」とも言う。
 「非言語だから、否定されることがないし、大勢の音が重なるから失敗してもバレない(笑)。そして、全員が一斉に自己表現できるから、満足度が高いわけです」

続きは本誌で...

ささき かおる

長崎県生まれ。オーストラリアへの大学院留学で、初めて個として存在できる喜びを味わう。様々な仕事を経てドラムサークルと出会う。著書に『エンパワーメント・ドラムサークル』(エー・ティー・エヌ)ほか。http://www.drumcircle.jp
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