WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

高齢者をメイクで楽しませる

沖 さち子さん

  • 2009.03.05
  • 聞き手:室田元美
  • 撮 影:落合由利子

沖 さち子さん

戦争の話とコイバナは必ず出ます

 「口紅のパレットを見せると、顔がぱっと輝くんですよ。『これがいい』って選ぶのは、ピンクや赤など華やいだ色。つけたことはないと言いながらも、憧れの色、なんでしょうね」
 と話すのは、ボランティアで高齢者のメイクを行っている、沖さち子さん。ふだんは女性誌などで美容を中心としたテーマのライターをしている。20代に就職した化粧品メーカーで、メイクやエステについて学んだ。
 「化粧には、きれいになるだけでなく、人の心を変える力もある」と思っていたから、2年ほど前に美容学校の先生に「高齢者のメイクをしてみませんか」と誘われた時、ためらいもなく参加したという。通っている特別養護老人ホームでは、メイクは女性だけだが、スキンケアは男性にも参加してもらう。

 化粧水をたっぷりしみこませたコットンを薄くはがして、顔の上に乗せる「ローションパック」。家で簡単にできるとあって、若い女性を中心に人気の美容法だ。指先を使ってコットンをはがしていくのは、脳の活性化にもいいと言われている。見よう見まねで顔にコットンをはりつけた女性たちは、お互い顔を見合わせて「やだっ、おかしい?」と大笑い。
 ファンデーションはつけずに、おしろいをはたいて、ほお紅をさし、眉を整える。「もっとやりたい」というアクティブな人には、まぶたにアイシャドウも入れてぼかす。
 そういったメイクをボランティアでやっている美容師さんやメイクアップアーティストは少なくない。「美容セラピー」という言葉もあるくらいで、専門的に研究している美容家や心理学者もいるという。
 「私はちょっと違うかもしれませんね。何より楽しんでもらいたいし、私自身、一緒に遊んでいる感じなんです」
 今の若い人はこんなの付けているのよ、と、つめに付けるシールを買って持って行くこともある。オレンジの香りの香水を手につけてメイクをすると、「あ、いいにおい」とみんな目を細める。どれも、沖さんが思いついて取り入れることにした小道具だ。
 「高齢者の施設って、いい香りが漂っていてもいいのに、あるのは消毒液のにおいぐらい。寂しいですよね。香りには思い出を呼び覚ます効果もあるでしょう? すごく喜ばれます」

続きは本誌で...

おき さちこ

1964年、東京都生まれ。20代に化粧品会社でメイクやエステを学び、スタイリスト、女性誌のライターに。2年前より高齢者施設でメイクアップのボランティアを始める。「無理をしないで気持ちよく続ける」ことを心がける。
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