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インタビュー

地域再生ドキュメンタリーを監督した

長岡 野亜さん

  • 2009.05.05
  • 聞き手:山本柚
  • 撮 影:しんのすけ

長岡 野亜さん

人の発するエネルギーを伝えたい

 火のはじける音と真っ赤な炎が目の前で交わる。高さ約7㍍の「ほんがら」松明が燃え尽き、地面に倒れこむと歓声が上がった。「ほんがら」とは、菜種殻やヨシで作った松明のこと。火がてっぺんまで昇るように中央が空洞(本空)になっているため、こう呼ばれる。
 4月18日、琵琶湖岸の滋賀県近江八幡市島町では、「ほんがら」が復活してから3回目の春祭りがあった。この祭りの復活には、長岡野亜さんの映像も力となった。撮影をきっかけに高齢者と若者が祭りの将来を話し合う場が生まれ、今年3月には保存会もできた。「村の未来をどう考えるのか、映像を通して村の人たちと一緒に考えることができました」。長岡さんは、この日も祭りを見守った。

 約60世帯の集落は、高齢者が3割を占める。菜種の収穫から1年がかり、手間のいる「ほんがら」作りは半世紀近く途絶えていた。
 長岡さんは「10年に一度会うかどうかの幼なじみ」との再会が縁で、2006年、「ほんがら」復活の経過を記録しようという地域グループとつながる。撮影のため1年以上、京都から通った。風景に身を置くうちにイメージがふくらんできた。
 「祭りを担うのは主に男性です。でも、男性だけの『祭りの復活劇』を撮るだけでいいのか、と。祭りを取り巻く村まるごとの風景を撮ろうと思いました」
 「祭りに参加したくないですか」。映画の中で、長岡さんは、村の女性に尋ねる。人々の語りを、せせらぎの流れや小さな生き物たちがつなぐ。すべてのいのちがひとつの共同体をつくっている、というメッセージも込めた。
 「50年も村に住んでいたけど、あのおじいさんの、あんな笑顔初めて見た」。上映会後、村の人が長岡さんに言った。映画は、人と人の絆も紡ぎ直した。
 150時間分のフィルムは、90分間の映像になった。

続きは本誌で...

ながおか のあ

1972年、京都市生まれ。映像作家。2000年、キヤノン「写真新世紀」入選。『ほんがら』で第14回平和・協同ジャーナリスト基金・新人賞を受賞。08年から近江八幡市の地域グループとともにお年寄りの人生を描く『遺言YUI-GON〜未来への手紙』を撮影中。
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