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インタビュー

懐かしい場所ラダックから未来を考えた

ヘレナ・ノーバーク=ホッジさん

  • 2009.02.05
  • 聞き手:大束愛子
  • 撮 影:落合由利子

ヘレナ・ノーバーク=ホッジさん

今、必要なのは幸せの経済学

 「もしも生まれ変わることがあったら、ラダックのようなところに生まれたい」。そう語るヘレナ・ノーバーク=ホッジさんに会ったのは、世界スピーキングツアーで日本に滞在中の昨年11月のことだった。
 「リトル・チベット」とも呼ばれるラダックは、インド北部にある地方の呼称で、1974年、外界に門戸を開くまで、チベット仏教を信奉する人々が静かに暮らす秘境だった。鎖国が解かれた直後にラダック入りをしたヘレナさんは「はじめて外側から西欧文明を見る」という体験をし、その負の面も知ることになる。著書『ラダック 懐かしい未来』は世界40カ国で出版され、韓国では30万部のベストセラーとなっている。

 イギリス系の父、ドイツ系の母を持ち、スウェーデンで生まれたヘレナさんはイギリス、ドイツ、そしてアメリカでも学んだ。「別の国の言葉を学び、内側からその国の文化を知るのが好きでした」。学生の時は休みを利用しては南米や中近東諸国を訪れた。「どこに行っても、素早く簡単にその国の言葉を覚えることができました」というヘレナさんは、9カ国語を自在に操る言語学者となった。
 語学の才能を見込まれ、撮影チームからラダックへの同行を要請される。29歳だった。西洋文明を知らない人たちの住むラダックの、お金が必要ない相互扶助の暮らし、泥で日干しレンガの家を建て、ヤクの毛で布を織り…と、必要なものはすべて周りからまかなう仕組みと技術、そして人々が幸せそうであることにヘレナさんは魅了される。
 しかし平和でつつましい暮らしは西洋の消費文明が洪水のように入り込むことで崩壊していく。世界中の多くの国と同様に、貧困や差別、公害や犯罪、劣等感に悩む人や世代間ギャップ、そして民族紛争までが勃発したのだ。「数百年かけて世界中で起きた近代化がラダックでは急速に進みました。そのために、原因と結果の関係に気付きやすかったのです」 
 6週間で終わるはずの旅は34年にも及び、ラダックの人々とヘレナさんの交流は今も続いている。同時にそれは「これまでは活動とは無縁だった」ヘレナさんをアクティビストへと変身させる旅でもあった。

続きは本誌で...

Helena Norberg-Hodge

1946年、スウェーデン生まれ。言語学者。環境活動家。エコロジーと文化のための国際協会(ISEC)設立(http://www.isec.org.uk/)。86年、ライト・ライブリフッド賞受賞。著書に『ラダック 懐かしい未来』(山と渓谷社)がある。
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