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インタビュー

ロンドンの反戦運動家を映像に収めた

早川 由美子さん

  • 2010.05.15
  • 聞き手:梅山美智子
  • 撮 影:宇井眞紀子

早川 由美子さん

発信するわたし、原点は路上

 早川由美子さんが、イギリス・ロンドンで反戦運動をするブライアン・ホウに出会ったのは2007年。ジャーナリズムを学ぶため、ロンドンに住み始めてひと月余りのころだった。
 国会議事堂(ビッグ・ベン)の近く、パーラメント・スクエアを観光中に彼の姿が目に入った。01年6月から米英によるイラク経済制裁に対する抗議活動を始め、9・11後のアフガン、03年のイラク攻撃を経て、ずっと路上で運動を続けているという。周辺には仲間が集い、小さなコミューンができていた。
 「最初は、インターネットの動画サイトに載せたらおもしろいかなと、通い始めたんです。でも3カ月ぐらいして、警察など監視を続ける国家権力のやり方を目の当たりにするうちに、これは絶対、世の中に知らせなければと思うようになった」
 そうしてできたのが、ドキュメンタリー映画『ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW1』だ。

 完成作品は日本のほか、ロンドンやトルコで上映された。海外での公開では、予想もしない反応が返ってきた。  「様々な政治的背景を持つ人たちがいて。イラク・アフガンなどについて、かなり具体的に私自身の考えを問う質問が相次ぎました。単に〝戦争反対〟、〝平和〟という言葉ではくくれないということを感じましたね」
 生活を捨て反戦運動をするブライアンに非難の声を浴びせる人も多い。けれど「不器用なやり方でも、何かを変えようと立ち上がっている人がいる」ということを言いたかった。
 映画には、仲間や支援者の姿も多く登場する。お金を出すだけの人、食事を作っていく人、やり方は様々だが、自分ができる範囲で運動を支えることの大切さ、楽しさも伝えたかった。
 政府はあらゆる手段で運動を阻止する。ブライアンの周囲には36台のカメラが置かれ、警察は24時間、監視をする。けれど通行人に殴られるブライアンを見ても一切の助けはない。そんなおかしな状況は、文句を言わずに役割をこなすことだけがよしとされる、閉塞感でいっぱいの日本の姿とも重なった。

 ロンドンに行く前から、関心を持っていたのは、路上生活をする人たちのことだ。
 「大学時代にティッシュ配りのアルバイトをしていたんです。駅とか路上で配りながら、ホームレスの人たちと接するうちに、だんだん、いろいろな話をするようになっていって」
 ちょうど就職活動の時期、新聞をたくさん読んでいるホームレスの人たちから得る話は参考になった。面接の前は「今日のニュースは何ですか?」と聞いて時事ネタを仕入れたりした。
 就職先を郵便局にしたのも彼らの助言によるもの。高度経済成長期に日雇いなどで働き、高齢で仕事をなくした人が多く、皆、「公務員がいい、女ならなおさらだ」と言った。

続きは本誌で...

はやかわ ゆみこ

1975年東京都生まれ。ロンドンに留学、滞在中に初監督映画を制作し、09年より公開。「09年度日本ジャーナリスト会議 黒田清JCJ新人賞」を受賞。5月22日東京・武蔵野公会堂ほかで上映が予定されている。www.brianandco.co.uk
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