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インタビュー

茶房高円寺書林

原田 直子さん

  • 2010.02.05
  • 聞き手:室田元美
  • 撮 影:落合由利子

原田 直子さん

人がつどい、何かを発信する場所に

 東京・西荻窪に1947年設立の「信愛書店」。愛好家たちの間で「西荻カルチャーの総本山」と呼ばれている本屋さんだ。そのほか高円寺で「高円寺文庫センター」と「茶房高円寺書林」、3店舗を夫と経営しているのが、原田直子さんである。
 斜陽と言われる活字業界。出版社、書店とも生き残りはラクではない。インターネット書店の進出も打撃を与えた。
 「4~5年前でしょうか。『アマゾン・ドット・コムの光と影』を読んで、小さな書店はこれから大変なことになる、と」
 最近、電子書籍への移行が急速に進み、ようやく日本の大手出版社もアマゾンやソニーの読書専用端末に対抗すべく結束を図ろうとしているが、原田さんは当時すでに「これからの書店のあり方」について考えていた。
 「これからは1冊でも多く売ろうとするのではなく、本にかかわる情報を書店が発信し、多くの人と結びつくことが大事だと思ったのです」

 まず、地域から。茶房高円寺書林は「情報発信がしたくて」作った、茶房と書店を併設した小さなお店だ。コーヒーを飲むもよし、書籍や雑貨を手にとって眺めるもよし。本も新刊やベストセラーではなく、尾崎翠の評伝、水木しげるの名作漫画『総員玉砕せよ!』、猫の写真集など原田さんの目で選んだ面白そうなものをジャンルを問わずそろえている。
 人を引き寄せる催しもある。月に1度の「高円寺純情出版界」は出版にかかわる人たちをはじめ、学生や流通の人たちも参加し情報交換する勉強会。
 「いい本を作っている編集者が社内で孤立している話もよく聞きますし、書店の現状をお互いに話し合いたいという気持ちもある。やっぱり顔と顔を合わせることが大事。最後は人と人だと思うんです」
 昨年は在イギリスの映画監督、早川由美子さんを招いて、店内で『ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW』の上映会をした。イギリスの反戦活動家ブライアン・ホウを追ったドキュメンタリー映画であるが「見たいと言う近所の人たちも参加してくれました。普通の試写会や大手書店のサイン会でもお客さんと作り手との交流は皆無ではないけれど、この小さな店ならもっと密接に、一方的ではない関係を持つことができますよ」。
 お客さん同士が「次はこんな催しもできますよね」と熱くなることもあるそうだ。

続きは本誌で...

はらだ なおこ

1949年、東京都生まれ。大学卒業後、「信愛書店」の2代目店主である夫と結婚し、現在は「高円寺文庫センター」「茶房高円寺書林」の3軒を夫婦で経営。茶房高円寺書林ではイベントも多く、人がつどい情報発信する場として活用されている。
茶房高円寺書林http://kouenjishorin.jugem.jp/
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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