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インタビュー

映画『祝の島』監督

纐纈 あやさん

  • 2010.07.05
  • 聞き手:柏原登希子
  • 撮 影:常見藤代

纐纈 あやさん

千年先に命をつなぐ、誇り高い人々

 たゆたう波、鳴き交わす海鳥。日干しにするタコを竿にぶら下げ、ユッサユッサと揺らして「タコ踊りよ、タコ踊り」と笑うおばあさんたち。「いらっしゃい」と話しかけながらタイを一本釣りする漁師たち。毎晩集まってお茶を飲み、おしゃべりしたりうたた寝をする一人暮らしのお年寄りたち。そして毎週月曜に行われる原発建設反対のデモ。シュプレヒコールもどこかのんびり、犬もはちまきを巻いてちょこまかと参加する。
 映画『祝の島』は、山口県の上関原発建設予定地の対岸4キロにあり、28年間原発建設に反対している祝島の人たちの日々の暮らしと思いを描いている。監督の纐纈さんは、2003年仕事で祝島を訪れ、島の人たちにすっかり魅了されてしまった。
 「毎日自分たちの暮らしを積み重ねる人たちの強さと、そこから見える明るさとユーモアがあった。祝島に行けば大切な何かが撮れる」と思い、08年3月から祝島に通い始めた。

 祝島に行って映画を撮ろうと思うまで「自分が映画を作る側になる」とは思っていなかった。映画監督の本橋成一さんの事務所で働いていた時、プロデューサーも任されたが、「自分なんかでいいのか?」という迷いと自主制作ゆえのあまりの忙しさと大変さに、疲れ果て、退職した。
 その後は派遣社員として外資系IT企業で働いた。一人ずつブースで区切られ、隣の席の人にも電子メールで連絡するほど、すべてが電子化された仕事。17時に退社後は自分の時間。「これが平穏な日々ってやつかな」と思っていたが、半年ほどたつと「人とかかわりたいっていう思い」が強烈に芽生えた。
 「人とかかわることは苦しいけれど、それなしでは喜びもない。出会って、かかわって、それを形にする仕事をしたい」
 その後『アレクセイと泉』(本橋成一監督)や、『満山紅柿』(小川紳介撮影)を見た。撮る側と撮られる側の関係が如実に表れる映像。同じ空気を共有するから生まれる出来事。「私も人との出会いを映像にすることができるかも」と思った。そして「ああ、祝島だ」と思った。通い始める1カ月前のことだ。

続きは本誌で...

はなぶさ あや

1974年東京都生まれ。自由学園卒業。『祝の島』の「祝(ほうり)」はかつて祝島にいたという、航海安全を祈願し、豊かな海への感謝を捧げる神官。中国電力の埋め立て工事着工を受け、今年秋公開予定を早めた。
http://www.hourinoshima.com/
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