WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • インタビュー

インタビュー

非正規公務員の実態を訴える

山岸薫さん

  • 2023.12.15
  • 聞き手…柏原登希子
  • 撮影…柏原登希子

>山岸薫さん

映画『わたしは非正規公務員』より

未来を作る仕事と未来のない我が身

 机の上に手書きのメッセージが書かれた紙を1枚ずつ丁寧に並べ、「こうするとみんなで一緒にここに来たみたいでいいかな」と山岸薫さんは言う。紙には「わたしはハローワーク相談員でした。セクハラした人はまだ働いている。私は雇い止め。 なぜ?」「どれだけ仕事を頑張っても 定期的にクビになるのはおかしい!」「気に入らない人を公募で脅迫するのはやめて!」等、切実な叫びと怒りが溢れる。書いたのは、山岸さんと同じ、非正規公務員の仲間たちだ。  山岸さんは10年も関東のハローワーク窓口相談員を務める非正規公務員。その理不尽な労働実態については、「身バレ」すると「雇い止め」になるのを恐れ、当事者は訴えづらい。

 

 そんな中、山岸さんは実名・顔出しで実情を訴えている。昨年には仲間と共に当事者団体「非正規公務員voices」を立ち上げて、ネット上で悩みを語り合う場を作り、今年は、そこで一番語られることが多かったハラスメントの調査を実施、短編映画『わたしは非正規公務員』も制作した。

国・地方自治体合わせて 120万人以上いるとされる非正規公務員。その8割が女性だ。保育士、学校教員、婦人相談員、生活保護相談員等、公務の重要部分でスキルも必要なのに、短期契約なうえ3年に一度「公募」入れ替えがあり、低賃金、退職金や病気休暇はなく、介護・育児休業は実質取れず、常に雇い止めの不安と背中合わせ。  「voices」が実施したハラスメント調査では、「職場では正規・非正規が対等と思うか」に「思わない」が78・9%、「ハラスメントや差別を受けたことがあるか」に68・9%が「ある」と答えた。

 

山岸さんは、就職氷河期世代。音響技術を学んだが、求人がほとんどなく、やっと就職した関西の映像制作会社は、正規職だが長時間労働で低賃金、雇用保険もなかった。食事も十分に取れず、生理も止まった。

          続きは本紙で...


やまぎし かおる

1972年生まれ。非正規公務員が当事者同士でつながり問題を考える当事者+経験・退職者+専門家+活動家の団体「非正規公務員voices(ヴォイセズ)」を仲間と設立。「voices」では、非正規公務員の評価と公募雇い止めによる市民への影響アンケートを実施中。詳細は7面。 ---

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月800円、3カ月2400円
 6カ月4800円、1年9600円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ