(c)落合由利子
信濃毎日新聞」の記者である河原千春さんは、この春から休職してお茶の水女子大学の大学院に通っている。研究テーマは、女性史家もろさわようこさんをジェンダー史に位置づけることだ。
所属する文化部に異動した2013年、取材対象としてもろさわさんに出会い、19~20年にもろさわさんを紹介する連載記事を執筆。21年に書籍『志縁のおんな もろさわようことわたしたち』(一葉社)にまとめた。同年、『新編 おんなの戦後史』(筑摩書房)も編集した。その過程で、もろさわさんの思想の先駆性をさらに追究したいと思いつつも、ジェンダーやフェミニズムを体系的に学ばなければ先駆性を理解できず、歴史に位置づけられないと痛感したという。
「いつか他の研究者が現れてほしいという期待もこめて、まずは論文を書くのが目標です。記者を続けていくにはジェンダーの視点で社会を見ることが必要だとも思い、入学しました」 もろさわさんの1970年代の著作には早くも男性学・ジェンダー史的な視点が見られる。戦中体験や部落差別への問題意識から、独特の思想を紡いできた。
「いつか他の研究者が現れてほしいという期待もこめて、まずは論文を書くのが目標です。記者を続けていくにはジェンダーの視点で社会を見ることが必要だとも思い、入学しました」 もろさわさんの1970年代の著作には早くも男性学・ジェンダー史的な視点が見られる。戦中体験や部落差別への問題意識から、独特の思想を紡いできた。
「もろさわさんは女性史で知られますが、一貫して部落問題と沖縄の歴史を大切に考えてきた方。地縁や血縁から解放されて個人を尊重する「志縁」という独自の概念にも先駆性があります。もともとは文学少女で、『ふぇみん』での連載をまとめた『わわしい女たち』など古典文学の仕事も多彩です。古典や伝説をベースに現代の問題を語れるスケール感は、ほかに見当たりません。私にとっては巨大な思想家という位置づけです」
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