(C)落合由利子
そんい・じゅごんさんはカジュアルなチョゴリ(韓服/朝鮮服)を提案するブランド「そんいチョゴリ」のデザイナー&制作者。愛知県の朝鮮学校の教員でもあり、2人の息子のオンマ(ママ)として子育てに忙しい日々の中、「きゃわ」の愛称で呼ばれるチョゴリを作っている。
そんいさんは、在日コリアン3世。幼稚園から大学まで朝鮮学校で学んだ。中級部(中学)2年生のとき、いつものようにチマチョゴリ(下衣と上衣)の制服で帰宅する電車の中で、見知らぬ男性に頬を思い切りぶたれ「朝鮮人! 早く北朝鮮に帰れ!」と言われた。怖くなり次の停車駅でトイレに駆け込んだ。それからしばらくチマチョゴリが着られなくなった。
「あまりの衝撃で記憶はとびとびしかないんです。人に話したり本に書いたら、同世代から自分や友達が同じ目に遭っていたと聞きショックでした」
北朝鮮の〝核疑惑〟が報じられていた1990年代半ば、チマチョゴリの制服が切り裂かれるという事件が全国で起きていた。この影響で朝鮮学校ではブレザーなどの第二制服で通うことが定着した。日本社会は在日の子どもたちの服をもはぎとった。あれから20年。 「今でも朝鮮学校の生徒たちは暴言を吐かれ、電車でからまれます。特に女子が標的にされ続けていることがつらいです」
チョゴリへの思いは複雑だった。恐怖を克服しチョゴリが着られるようになっても、長袖のチョゴリは夏は暑く嫌だった。朝鮮学校では教員も生徒も、女だけにチョゴリの着用義務があるのも不自由な気がした。それが、夏に涼しく、着やすく、洗濯をしやすいチョゴリを自分で作ってみたら、もっと作りたいと欲求が止まらなくなった。
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