(C) 飯田典子
子どもの貧困。経済的困難を抱える家庭の子どもたちが、さまざまな体験や教育の機会がなく、また貧困に陥ってしまう。一方で豊かな家庭の子どもたちはさまざまな体験を得ることができる。
渡辺由美子さんは、こうした教育格差をなくそうとボランティアによる学習や体験の場を提供している。
きっかけは、イギリスでの子育て体験だった。 渡辺さんは夫の赴任に伴い2人の子どもを連れて、イギリスに1年間滞在した。ちょっと手のかかる息子は公立の小学校に通うことになった。が、入学時にほとんどお金がかからなかった。さらに英語がわからない息子のために、同級生の保護者が半年間は(有償の)ボランティアでクラスにいてくれた。教材は寄付でまかなわれていたので、お金もかからなかった。
日本に帰国して公立の小学校に通わせると、給食費、教材費、写真代、修学旅行など、お金がかかることがわかり、驚いた。
息子のクラスに、離婚したシングルマザーの子どもが転校してきた。母親も仕事で忙しく、その子も不安でストレスもあったのだろう、保護者の間で「乱暴な子」とうわさになってしまった。息子に誘うように言って家に遊びに来るようになって落ち着いてきた。そんな経験から、子どもたちのこと、教育の格差が気になるようになった。 イギリスにはボランティア団体があったので、日本でも探したが、海外の貧困な子どもの支援団体しかない。「だったら、自分で立ち上げよう」
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