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「共謀罪」法が成立する直前の5月31日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた、共謀罪に反対する集会で、精神科医の香山リカさんは、「私たちは自分の心を人に明け渡さない。これは人間の尊厳のたたかいだ」と訴えていた。
安保法制成立前から、私は個人として、自由と平和と民主主義のためにできることを、誰にも遠慮せずやろうとしてきました。共謀罪法は全容が明らかなってから成立までの過程が、安保法制の時以上に拙速で、多くの人がこの法の危険に気づく間もなく、という感じでしたね。
共謀罪法が成立して精神科医としても一番気になるのが、内心の自由の侵害です。やってもいない犯罪を、するおそれがあるだけで法に抵触する可能性がある。今の憲法では、思想信条の自由があって、それを表現する自由も認められている。でも、ヘイトスピーチや児童ポルノなどの関係で、表現の自由が認められる範囲を、時代ごとに私たちが議論して決めてきました。ところが共謀罪は私たちの議論でなく、捜査関係者が自由を制限する範囲を決めてしまう。憲法の下で暮らしてきた私たちにとってとても危険だし、何より、人間の心を守るのが仕事の精神科医として、心の持ちようが取り締まられるというのは、仕事の存在価値を奪われてしまうように感じます。
私たちには、共謀罪法より上にある憲法があります。憲法を今こそ頼りにしていきましょうよ。まずは共謀罪法を正しく知る。沖縄で基地反対運動をしている人に先日聞いたら、現地では機動隊が「共謀罪を適用するぞ」と言っているそうです。そういう脅し効果や、「これは言っちゃいけないかな」「こういうLINEをしちゃいけないかな」という新たな恐怖症に警戒しないといけないですね。
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