(C) 柏原登希子
多くの若者で賑わう東京・渋谷のハチ公前広場。今年4月26日夕方、内閣府や警察庁が、AV(アダルトビデオ)出演強要問題などを訴えるイベントを開催した。登壇者の一人、くるみんアロマさんはAV出演強要被害に遭い、その体験を公表している。2016年3月に国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」がこの問題に関する報告書を発表して大きな反響を呼んだが、「被害者は実在するのか」などと口汚く非難する声もあった。そこで顔を出して被害を告発したのが、くるみんさんだった。
壇上でマイクを握ったくるみんさんは、力強く訴えた。「私は、被害に遭っている女性を一人でも減らしたい、根絶したいという思いでこの場にいます。夢を利用するとか、何かのステップになるということで、女性が被害に遭っていくことを私は許せないと思っております」
高校生の時に、吹奏楽部でドラムや打楽器を、バンドを組んでボーカルを担当していた、くるみんさん。音楽活動を本格的にやりたいという夢を持ちながら、大学で、倫理学、宗教学などの思想を学んだ。就職活動では、企業の内定も受けた。しかし「その企業に入るために大学に入ったのかというと、違うなと思ってて…」。くるみんさんは、自分の世界観を表現する歌詞を書きためていた。
12年夏、東京・新宿で、「グラビアができる子を探している」というスカウトの男性に声をかけられた。スカウトは初めてではなかったが、「音楽なら興味がある」とくるみんさんが言うと、男性は親身になって聞き、さまざまな活動を提案してくれた。名刺も「ちゃんとしているように見えた」し、事務所の人たちも口を揃えて、その男性は過去に何人も芸能界デビューさせてきた人だと言う。「夢をかなえたい。ここに賭けよう」と、その事務所と契約をした。
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